小学生の皆さんへのお詫び

  1.  平成14年8月の終わり頃から小学生(高学年)の皆さんからとてもたくさんの質問が寄せられています。うれしい一方でそれぞれに回答できなくて困っています。
  2.  先生が学校の授業で、このホームページを宣伝していただいたせいであろうと思います。しかし、いただいた質問はあまりに単純すぎ、しかも同じものがほとんどです。授業で先生が学習課題として出したものをそのままここに質問しているようです(それでは、インターネットに慣れる勉強にはなりますが、肝心の課題の学習にはなりません)。
  3.  先生方へ御願い> 生徒さんがホームページのQ&Aに質問する前に自分でちょっとは調べることをお勧めください。それでも分からなければ、どのへんの何が分からないのかを具体的に書いてこのコーナーに質問させて下さい。
  4.  これまでの質問の内容では、回答するにも範囲が広すぎて、いったい何を答えて良いのか悩むものばかりです。また、すでにホームページ上で回答されたものがほとんどです。そのため、申し訳ありませんが、そのような質問にひとつひとつの回答はできません。「QAの検索(けんさく)」で工夫して調べれば分かることが多いです。
  5. また、同じく下の「小中学生から多い質問」も参考にしてください。質問されたものの多くの回答が載っていますよ。


最近多い質問の例


小中学生から多い質問

最近,中学生や小学生からの質問が増えています.質問は短くて似たものが多いので,以下の3つにまとめて回答をしておきます.文章末尾の( )の中の関連回答は前のページの一番下から番号を検索して見つけて下さい.

  1. 火山やそのできかたについての質問
  2. 火山の噴出物に関する質問
  3. 火山噴火に関する質問


(1)火山やそのできかたについての質問

(回答)

 主に,ケイ素と酸素からできおり高温でドロドロの液体のことを「マグマ」といいます.マグマはもともとは地下の「マントル」と呼ばれる酸素,ケイ素,マグネシウムに富む物質が溶けてできたものです.火山とは地下にあったマグマが「火口」から噴出し,それが火口のまわりにたまってできた地形的な盛り上がりのことです.普通の山は,すでにあった地層が断層やしゅう曲運動によって盛り上がったもので,火山とはできかたがずいぶんと異なります.(関連回答,No. 48, 269)

 マグマは,地下のどこにでもあるわけではなく,地球の表面をおおっているプレートが生産される場所(中央海嶺)やそれが沈み込む場所(海溝)の近くのマントルが溶けてできます.また,ハワイのような「ホットスポット」という高温のマントルが地下から湧き上がっている場所でもマグマが生産されます.日本列島の下には海洋プレートが沈み込んでいますから,地下でマグマが生産されています.このため日本では火山活動が盛んなわけです.(関連回答,No. 61, 163, 165, 220, 244, 289)


(2)火山の噴出物に関する質問

(回答)

 噴火によって火口から飛び出すものは,液体のままのマグマ(溶岩)や泡立った液滴(軽石など)であったり,すでに固まった溶岩であったりします.「溶岩」という言葉は溶けた状態のものにも固まった状態のものにも使います.溶岩や軽石が粉々になったものが火山灰です.溶岩は直接火口から流れて来て溶岩流になります.火山灰は噴火の時に,火口から直接上空に吹き飛ばされて遠方に降り積もったり,溶岩のかけらと一緒に火口から直接地表を流れ下ったりします.(関連回答,No. 117, 141, 178)

 火山は溶岩と火山灰などの噴出物が積み重なってできたものです.これらの噴出物のことを「火山岩」といいます.火山岩は熱いマグマが地上に出てきてから急に冷やされたものですから,結晶がゆっくり成長することができません.このため,火山岩の生地は非常に細かい結晶やガラスからできています.それに対して,マグマが地下深くでゆっくり冷え固まった「深成岩」では,結晶がじゅうぶんに成長できるため,大きな結晶の集まりだけからなります.よく墓石に使われる結晶の粒がはっきりとした白っぽい花こう岩がその例です.火山岩はそれを構成する鉱物の種類・大きさ,それと,化学組成などでさらに細かく分類されています.昭和新山の溶岩はデイサイトと呼ばれる火山岩でケイ素のやや多い溶岩です.(関連回答,No. 132)

 中学の参考書には火山岩と深成岩(まとめて火成岩といいます)の種類をおぼえるのに,しばしば,「シンカンセンハ,カリアゲ」と出ています.これは,「成岩:こう岩>せんりょく岩>んれい岩,山岩:ゅうもん岩>んざん岩>んぶ岩」のことで,深成岩,花こう岩で,それぞれ,ケイ素が多い順です).これを上下を逆に読み替えて,「リカちゃんアセってゲーハいた」とも読めるとどこかの中学の先生が言ったそうです.(関連回答,No. 17, 54, 134)


(3)火山噴火に関する質問

(回答)

 マグマはいったん地下数キロメーターの深さに蓄えられます.このマグマの容れ物のことを「マグマ溜まり」といいます.何らかの拍子に容れ物よりも中身のマグマの体積が大きくなると,容れ物(溜まりの天井の岩石)が壊れ,泡立って軽くなったマグマが上へ移動して噴火が起こります.マグマの体積が容れ物より大きくなる原因としては,1)マグマから結晶ができると同時に,マグマ中に溶け込んでいた水がガス化して(泡立って)全体が膨張すること,2)別のマグマが下から無理やり容れ物に注入してくること,3)ガス混じりのマグマが地震によって揺さぶられてマグマが膨張すること,4)容れ物自身が外から無理やり押しつぶされようとすること,などが考えられています.(関連回答,No.107, 114, 136, 181, 186)

 一回噴火が終わると,次の噴火が起こるまでの休み期間は火山によってまちまちです.一つの火山でも規則性があるように見える時期と見えない時期があります.規則性が見える時期には,次にいつ頃噴出しそうかを大ざっぱにいうことができます.

 これまでの火山災害で最も大きいものは,インドネシアのタンボラ火山で起こった1815年の噴火です.このときには合計で約92,000名もの人が亡くなりました.犠牲者の多くは餓死でした.餓死を除くと,火砕流や泥流,津波などの「火山灰や水などが速い速度で襲ってくる」ことよって大きな被害が起こります.日本では約200年前に,長崎県雲仙普賢岳のふもとにある眉山が普賢岳の噴火直後に大崩壊を起こしました.このときに大津波が発生して,有明海のまわりに住んでいた約15,000人が犠牲になりました.これは世界の火山災害中で5番目の大きさです.(関連回答,No.72)


回答者:中田節也(東大地震研究所火山センター)

作成日:11/27/99

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