火山についてのQ&A |
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Question #104 | |
Q |
1 岩手山が噴火した場合、それはどのような形態の噴火となるので
しょうか。
2 また、雲仙の時ほどの規模になる可能性はあるのでしょうか。
3 噴火した場合、どのような被害が予想されるのでしょうか。
(1) 火砕流
(2) 溶岩の流出・それに伴う火災
(3) 土石流
等の可能性は。?
4 今後の活動については。
(7/16/98) |
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A |
これまでの岩手山の観測経験が少なく,岩手山がこれから噴火が噴火するの かも含めて,確実なことを言うのはかなり難しいでしょう.ただ岩手山の過去 の歴史噴火記録が参考にするとある程度の推測はできます. これまで岩手山では比較的大きな噴火記録として,1686年と1732年の噴火が あります.1686年の噴火では,岩手山の山頂火口から噴火し,スコリアを放出 しました.噴火の初期にはマグマ水蒸気爆発を起こしたようです.このときは 盛岡市内にも降灰があったようです.まだ雪が残っている時期に噴火が起きた ため,噴火で融けた雪が泥流となって,岩手山東部山麓のいくつかの集落に被 害がありました.記録からは活発な噴火は1日ほどで終わり,その後は火山灰 を火口周辺に降らせる程度の噴火が半年ほど続いたとされています. 1732年の噴火は,岩手山近傍で有感地震があったあと,岩手山北東山腹で側 火口が開いて,噴火が始まりました.側火口の数は4つで,最も低位置の火口 から,焼走り溶岩流が流れ出しています.地震で住民が避難したという記録は ありますが,噴火による直接の被害は生じていないようです.この活動も半年 ほどで終了しました.このほかそれほど規模は大きくありませんが,1919年に 西岩手の大地獄付近で,水蒸気爆発が起きています. 地質学的な記録では,降下スコリアや溶岩流のほかに数万から数千年前に岩 屑なだれも起きています.
川辺禎久(工業技術院・地質調査所・環境地質)
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