火山についてのQ&A

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「Q&A火山噴火」

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Question #1534
Q 私は鹿児島郡の硫黄島に住んでいます。
今、硫黄岳のことについて調べていますが、
硫黄島は、桜島の6合目くらいのところに住んでいると聞きます。
もし、硫黄岳が爆発したらどうなるのですか?
島の被害などはどの程度なのですか? (02/06/01)

ひろこ:中学生:13

A 硫黄島へは私も何回か行きました.温泉はあるし,魚もおいしいし,島の皆さんも親 切で,大好きなところです. 硫黄島(活火山の名前としては薩摩硫黄島)は,6300年前の大噴火でできた鬼界カルデ ラという海底のカルデラの後に,カルデラ縁の北西部分にできた火山です.硫黄岳の 標高は約700mですが,海底から測るとおよそ1000mの高さの火山です.鬼界カルデラ ができてから,硫黄島ではすぐに火山の噴火活動が始まり,現在の硫黄岳付近で火山 が成長を始めました.その後3900年前くらいから3000年前くらいまで,稲村岳で噴火 が起きています.面白いことに硫黄岳と稲村岳ではマグマの種類が違い,硫黄岳では 流紋岩,稲村岳では玄武岩が噴出しています.その後硫黄岳の噴火活動が再開して, 現在に至ります.

今でも細かい火山灰が降ってくることがありますね.この火山灰は,マグマではなく て,古い岩石の粉が降っているものです.今くらいだとちょっといやだなあくらいで 済んでいますが,この量が多くなると火山灰の量が増えて困ったことになりますね. 最近3000年くらい前からの硫黄岳からの噴出物は,大部分がこういった火山灰です. 古い石の粉ではなくて,マグマが出てきた噴火の記録は,1934-35年の新硫黄島の噴 火があります.このときは海底からの噴火でしたが,大きな軽石が海上に浮かんだ り,溶岩が静かに噴出する噴火で,爆発的な噴火活動ではありませんでした.この他 には噴火の記録は見つかっていませんが,硫黄岳展望台周辺や東温泉近くには, 600年前くらいの放射性炭素年代を示す小規模な火砕流堆積物があり,硫黄岳で軽石 を飛ばすような噴火が,数百年前に起こっていたことが,最近わかってきました.こ のようなマグマが出てくるような噴火になると,軽石が降ってきたりするかもしれま せんし,硫黄岳の麓くらいまで小規模な火砕流が流れてくるかもしれません.また海 底で噴火が起きると,場合によっては激しい爆発的な噴火も起こりえます.ただ町が ある長浜付近には,大きな軽石や火砕流が到達した跡はありません. (02/21/01)

川辺禎久(産業技術総合研究所・地質調査所・火山地質)


May 2012. The Volcanological Society of Japan.  kazan-gakkai@kazan.or.jp