火山についてのQ&A |
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Question #2344 | |
Q |
世界の海底地形図を見ていて思ったのですが、太平洋プレートの生産地である東太平洋海嶺は、はるか未来には大西洋の拡大に伴って西進してくる南北アメリカ大陸と衝突してしまうのではないでしょうか?もしそうなったら海嶺や大陸はどうなってしまうのでしょうか?
(06/23/02)
しろしろ:フリーター:24歳 |
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A |
東太平洋海嶺は,実はもうすでに北米大陸と「衝突」しています.南米沖の東太平洋
海嶺はメキシコの沖で北米大陸に接近し,カリフォルニア湾で北米大陸に割って入っ
ています.そして米国北部沖〜カナダ沖で再び海底に現れます(ファンデフーカ海
嶺).両者の間の部分は,サンアンドレアス断層に代表される長大な横ずれ断層系に
なっています.この地域の内陸側では,大陸下のマントル上昇流が地殻の構造に大き
く影響しており,ネバダ州〜ユタ州のベーズン・アンド・レンジ地域では大陸の地殻
が薄くなっていますが,これらの原因が海嶺衝突かどうかはわかりません.
また,南米沖ではココスプレートとナスカプレートの境界のガラバゴス海嶺がエクア ドル〜コロンビア付近で大陸と「衝突」していますし,ナスカプレートと南極プレー トの境界のチリ海嶺がチリ南部で大陸と「衝突」していますが,そこで特に変わった 現象が起きているわけではありません.しかし,インド洋中央海嶺がアフリカ大陸と 「衝突」している部分ではアデン湾と紅海の海嶺がアフリカ大陸からアラビア半島を 分裂させていますが,これはアファー三角地帯(ジブチ付近)にホットスポット(マ ントルからの上昇流)があって,そこが東アフリカリフト帯とこれらの海嶺との三重 点になっていることが原因と考えられます. つまり,海嶺が大陸と衝突するだけなら,たいしたできごとは起きませんが,大陸の 下に大きなホットスポットがきて,そこから3本の海嶺が派生するような状況になる と,大陸が分裂すると考えられます.最近は,日本海のような縁海の形成も広域的な マントル上昇流(ホットリージョン)の働きによるという説があり,地球上の大陸が 全部集まった「超大陸」の形成やその分裂には,マントル底部からの数千km規模の上 昇流(スーパープルーム)が関与したという説が有力です.地球の固体部分の変動 は,プレートの動きだけでは説明できず,もっと深いところのマントルの動きが重要 視されるようになってきています. (07/03/02) 石渡 明(金沢大学・理学部・地球学教室) -- |