火山についてのQ&A

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「Q&A火山噴火」

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Question #364
Q 連続の質問お許し下さい。
私は幼い頃から火山に興味を持ち得に三宅島には魅せられ5.6回通ってるのですがその三宅島について質問させて下さい。
@ここの所、噴火が21年周期になっています。実際『次の噴火もそろそろなのでは』とおっしゃる島民の方もいました。これに関して気象台で2004年付近に焦点を合わせ観測体性を強める・・っと言った事は行われるのでしょうか。それとも21年周期説は偶然による全く意味のないものなのでしょうか
A伊豆、伊ガ谷地区で近年ほとんど噴火がおきてないのは何か理由があるのでしょうか
B幾つかの83年噴火の記録本をみると”最後のバスが阿古地区を去ろうとした時、真上の鉄砲場に火柱があがった。”という記載があります。しかし正式な記録にはその辺には火口は書かれてないし、実際に行ってみてもその辺りに火口地形は見当たりません。実際の所、阿古の真上で噴火が起こったという事実はあるのでしょうか。
C伊豆大島の噴火割れ目が富士山のと同じですべて一定方向を向いてるのに対し三宅島の割れ目は放射状に分布しています。この違いはどうして起こるのでしょうか。

  以上、よろしくお願いします。 (12/29/99)

yoshiaki:大学生:24

A (1)過去4回の噴火が22年プラスマイナス2年で発生しているという事実を,偶然と いってしまうのは大変難しいと思います.したがって,2004年をにらんで観測体制を 強めるということはもちろん着々と行われています.東京都,東大地震研究所を中心 とした大学のチーム,防災科学研究所,気象庁などが,21世紀初頭の噴火を想定して ,三宅島の監視を強めています.最近のデータでも,地下でのマグマの蓄積が,前の 噴火以降,順調に進んでいることが明らかになっています. (2)放射状に並んだ側火口列のうちのどの方向が活発に活動するのか.それは、ど のようなメカニズムによるものなのか,まだ,観測期間が短いのでわかっていないと 思います.ただ,三宅島では同一方向の割れ目火口が,繰り返し活動する傾向がある ようです.1940年と1967年の火口列はほとんど同じ方向です. (3)1983年の割れ目火口列は村営牧場から新澪池にむかう,やや弓なりの直線上に 並んでおり,それ以外の火口は知られていません.少なくとも阿古の直上で噴火した という事実はないと思います.おそらく溶岩流の先端では次々に樹木に火がつきとき どき大きな火柱があがりましたから,それを見たのではないかと想像します.記録で も「火柱」とかいてあるので,正しい表現だと思います. (4)山体に全体に加わっている広域応力の違いが原因です.プレートの衝突境界に 近い富士山や伊豆大島では,それをのせているフィリッピン海プレートの進行方向で ある北北西南南東方向に圧縮する力が相対的に強いくなっています.そのため,それ に直交する方向の引っ張りの力が働き,進行方向と平行する割れ目噴火や割れ目火口 列が形成され安いようです.それに対して,広域応力があまり偏っていない三宅島で は,ほぼ放射方向に火口列が並んでいます.ただ,三宅島でも火口列を良く見ると, 南西方向に伸びる火口列は弓なりに曲がっています.これは広域応力を反映している といわれています. (1/5/00)

千葉達朗(アジア航測株式会社・防災部)


May 2012. The Volcanological Society of Japan.  kazan-gakkai@kazan.or.jp