火山についてのQ&A |
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Question #4022 | |
Q |
文系人間のものですが、山の景観(特に火山)は大好きで、北海道の火山には大変魅力を感じます。しかし私が住んでいる関東地方にも素晴らしい火山がいっぱい眠っていると知り本当にうれしいです。 本題として、カルデラの定義とは何ですか。 僕の思うところ、榛名山や赤城山もそのような地形を持っているように思うのですが。 立山や穂高岳がこのような地形だという事を知り大変驚いています。 (06/20/03) 山中 雅晴:学生:28 |
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A |
カルデラとは火山に見られる円形ないし楕円形に近い凹地形です。通常の火口とは 大きさで区別しますが、一般的に直径1-2km以上のものがカルデラです。カルデラに はいくつかの種類があります。カルデラの成因で区分(たとえば、陥没カルデラ、侵 食カルデラ)、カルデラの形で区分(たとえば、馬蹄形カルデラ)する呼び方などが あります。北海道の洞爺湖や屈斜路湖はいずれも日本を代表するカルデラ湖ですが、 このようなカルデラは地下にあった大量のマグマが一気に噴出して天井が落ち込んで できた陥没型のカルデラです。大きいものでは直径が数10kmにもなります。こういう でき方がカルデラの典型的な成因でしょう。2000年、三宅島の噴火で山頂部にできた カルデラは、当初は直径1km程度でしたがその後の崩壊もあって直径約1.6kmになりま したが、これも陥没カルデラですね。ただし、地下にあったマグマは地表に噴出した のではなく、側方に移動したことにより陥没しました。 さて、関東地方の北部にある榛名山や赤城山についてです。山頂部には確かにカル デラがあります。赤城山のカルデラは山頂部が大規模に崩壊してできた馬蹄形カルデ ラと考えられています。山が崩れてできた馬蹄形カルデラは鳥海山や磐梯山にもあり ますね。榛名山のカルデラは火砕流を噴出したことにより生じた陥没カルデラと考え られています。カルデラができた後にも火山活動は起こりますので、後カルデラ火山 活動と呼ばれますが、カルデラ内に溶岩ドームやスコリア丘など、中央火口丘ができ たりしてカルデラのもともとの形がわかりにくくなったりします。 北アルプスの立山と穂高岳についてですが、常願寺川の上流部を指す立山カルデラ のことですね。これは、かつては陥没カルデラといわれたことがありますが、最近の 研究では、侵食と崩壊により拡大して大きくなった凹地形だと考えていますので、陥 没カルデラではなくて侵食カルデラですね。私としてはカルデラという名前であまり 呼びたくはないのですが、立山カルデラという名称は地名として一般にも使われてし まっています。穂高岳のことはよくご存知ですね。信州大学の原山さんが書かれた最 新刊「超火山・・・」(山と溪谷社発行)でも読まれたのでしょうか。ここがもとも とはカルデラだったということがわかったのは原山さんのごく最近の研究によりま す。周辺に大規模な火砕流が分布していることはだいぶ前からから知られていました が、穂高岳周辺から噴出したことがわかったのはごく最近のことです。カルデラがで きたのは170-180万年前ということもわかりました。もちろん、現在の槍穂高連峰の 急峻な地形はその後に形成されたもので、当時の地形は現在ではまったく残っていま せん。 (06/23/03) 中野 俊(産業技術総合研究所・地球科学情報研究部門) |