火山についてのQ&A

≪前のQ&A≪
≫次のQ&A≫

トピック項目表示

QA番号順表示

小中学生から多い質問

Jump to #
(半角数字)

「Q&A火山噴火」

に寄せられた意見集

Q&A HOME

VSJ HOME

Question #4135
Q 先日初めて富士山に登ってきました。そこでいくつか浮かんだ疑問が気になって仕方ないのでよろしくお願いいたします。河口湖方面から登ったのですが、下山時、日が昇って辺りが見えるようになってくると足下の石や山の肌が赤みを帯びていていることに気がつきました。これはスコリアが酸化したものと考えてよろしいのでしょうか。また、赤みを帯びた石に混じってかなり青み(緑色)を帯びた石もありましたがどうしてあのような色をしていたのでしょうか。 (08/14/03)

若葉登山者:会社員:28

A
 富士山に登ったことがある人なら、このような疑問を持つ方も多いかと思います。
 富士山の5合目より上の斜面には拳くらいの大きさの赤いスコリアが広く分布しています。これらのスコリアは粒子が大きいため高温状態を保ったまま地表 付近で空気と接し、中に含まれる磁鉄鉱などの鉄鉱物は酸化して赤色のヘマタイトという鉱物ができます。このような現象を「高温酸化」と言い、高温酸化し たスコリアは赤く見えます。同じくらいの大きさで黒いスコリアもありますが、これは厚いスコリア層の中心付近に堆積したもので、地表の酸素が達しなくて 高温酸化が生じなかったスコリアです。
 登山道沿いに見えるスコリアの多くは富士山の山頂から約2200-2300年前に噴出したものです。ただし、富士山でも東側斜面は一面黒色をしていま す。南東側ルートの御殿場口登山道を通って下山された方はピンポン球くらいの大きさの黒いスコリアが厚く堆積していて歩き易かったと思います。このスコ リアは1707年の噴火(宝永噴火)の噴出物です。宝永噴火は大爆発だったためスコリアが粉々に砕け、温度が低下してしまったため高温酸化が生じず、黒 色スコリアが作られました。
 「青み(緑色)を帯びた石」についてはどの石を指すのか判らないので正確にお答えすることができません。ただ、黒色スコリアは堆積後、内部の高温なガ スが吹き出し表面が再溶融して薄いガラスの皮が生じることがあります。太陽光がこのガラスに反射して緑がかって見える場合があります。黒色の溶岩でも同 様なことが生じるので、このようなスコリアや溶岩のかけらを御覧になったのかもしれません。
 (08/23/03)

宮地直道(日本大学・文理学部・地球システム科学科)


May 2012. The Volcanological Society of Japan.  kazan-gakkai@kazan.or.jp