火山についてのQ&A |
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Question #52 | |
Q |
先日は質問に答えていただきありがとうございました。今、学校で火山の形について調べています。調べた結果、火山の形が違うのは溶岩の粘り気のせいだということが分かりました。
粘り気が強い火山は昭和新山の様に鐘状でごつごつしていて、粘り気が強くも弱くもない火山は富士山のような成層火山ができる、また粘り気が弱い火山はキラウエアのようなたて状火山ができるということが分かりました。
質問なのですが、その粘り気とは何かわかりません。何か違うものが中に入っているのですか?
(10/30/97) |
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A |
「粘り気」は、物質の流れにくさを表す「粘度」または「粘性」と呼ばれる物
理量を、やさしい言葉で言い換えたものです。身近な物質を例にとると、水
飴、練り歯磨き、マヨネーズ、トンカツソース、グリセリンなどは粘性が高
く、水や灯油などは粘性が低いわけです。粘性の単位は「パスカル秒」(Pa・
s)ですが、昔はポアズという単位がよく使われました。1Pa・sは10ポアズで
す。水の粘性は0.01ポアズ、グリセリンは15ポアズ(いずれも温度20℃)
です。そして溶岩の粘性は、ハワイや富士山のような「玄武岩」では100
−1000ポアズですが、昭和新山のような「安山岩」や「流紋岩」では10
00万〜1000億ポアズに達します。粘性というのは、つまり物体に力を
加えて変形させたときの、内部の摩擦力の大きさです。
粘性は、同じ物質でも温度によって大きく変化します。例えば、水の粘性 は、0℃では0.018ポアズですが、100℃では0.003ポアズになります。一般に 玄武岩の溶岩は温度が高く(1100-1200℃)、安山岩や流紋岩の溶岩は温度が 低い(850-1000℃)ので、まず温度の効果があります。同じ溶岩でも、温度が 下がると、粘性が大きくなり、流れにくくなります。 もう1つ重要なのは溶岩の成分の違いです。溶岩の主成分は珪素と酸素が結 合したシリカ(SiO2)という分子で、玄武岩にはSiO2が50%程度含まれ、安 山岩では60%、流紋岩では70%と多くなります。この分子は次々に結合 (重合)して糸のようになったり網状の構造を作る性質があるので、この分子 が増えると粘性が大きくなります。水に片栗粉を溶かすとトロッとしてくるよ うなものです。従って、同じ温度でも、玄武岩の溶岩より流紋岩の溶岩の方が 流れにくいのです。 そのほか、溶岩の中に含まれる気体(火山ガス)や結晶の量など、いろいろ な要素が粘性に影響しますが、主なものは上に述べた通りです。 (11/1/97) 石渡 明(金沢大学理学部)
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