火山についてのQ&A |
≪前のQ&A≪ ≫次のQ&A≫
|
Question #532 | |
Q |
地球科学系の本を読んでいると「地殻」という言葉と「プレート」という言葉を よく目にします。それぞれの意味は、本などの説明からだいたいわかるのですが、 「地殻」と「プレート」の違いについてイマイチわかりません。 この2つのものは、同じもの、つまり 「地殻」=「プレート」 として構わないものなのですか?それとも、厳密には違うものなのですか? この点について、教えていただけますか。お願いいたします。 (05/02/00) ライアン:大学生:21 |
|
A |
どうも読んだ本の書き方がまずかったようですね. 「地殻」と「プレート」は全く違う概念です.単純に言えばプレート=岩石圏(リ ソスフェア)であり,言いかえればプレート=地殻+最上部マントルです.地表から モホ面までが地殻で,厚さは海洋地域で約5km,大陸地域で約30kmです.その下がマ ントルですが,地下約100kmの深さのマントル中に地震波の速度が数%遅くなる柔ら かい層(低速度層)があり,それより上が硬いプレートです.低速度層はアセノスフ ェア(軟弱圏,軟流圏,岩流圏などと訳す)とも呼ばれます.海嶺や島弧の下では, プレートが薄くてアセノスフェアが地殻の直下まで上昇してきている場所があり,そ こでは地殻=プレートということになりますが,他の多くの場所ではプレートはもっ と厚くて,100km程度の厚さがあるということです. 地殻は長石を主とした花崗岩や玄武岩・斑レイ岩でできていますが,最上部マント ルは長石を含まないカンラン岩でできています.低速度層ではカンラン岩が部分的に 溶けていると言われています. (5/09/00) 石渡 明(金沢大学・理学部・地球学教室) |