火山についてのQ&A

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「Q&A火山噴火」

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Question #5960
Q 鬼界カルデラ噴火の年代についてなのですが、サイトによっては「約6300年前」と「約7300年前」の2種類の説明があるようです。このQ&Aサイトでは「約6300年前」でほぼ統一されているようですが、気象庁ホームページ中の火山の解説では統一されてません。阿蘇山の説明ページでは「約6300 年前のアカホヤ火山灰...」、薩摩硫黄島の説明ページでは「約7300 年前に広域火山灰であるアカホヤ火山灰を噴出...」となってます(2005/11/5現在)。いったいどちらが正しいのでしょうか?あるいはこのどちらにも有力な根拠があって論争中なのでしょうか。 (11/05/05)

みぞいぬ:社会人:30

A
 鬼界カルデラの噴火年代は炭化物の放射性炭素年代測定によって求められているのですが,暦年補正が施されたかどうかで年代値が異なります。施された年代が7300年前,施される前の年代が6300年前です。放射性炭素年代(C14年代)は、標準試料のC14濃度と,試料がCO2の供給を絶たれた時の大気中のC14濃度が一定であるとして算出されています。 ところが実際には,過去の宇宙線強度や地球磁場の変動,水圏からのCO2の供給量の変動,化石燃料からのCO2供給,核実験の影響などにより14C濃度が変化しているので,C14年代と暦年代の間にはずれが生じているということが最近わかってきました。このずれを補正してより正確な年代を得るために,樹木の年輪年代と放射性炭素年代測定の比較、サンゴ化石の放射性炭素年代とウラン?トリウム年代の比較などにより暦年補正曲線を作成して年代値を求めています。これが暦年補正と呼ばれるものです。最近は,暦年代(Calendar age)の方が実年代により近いので暦年代の方を使うようになりつつあります。しかし完全に入れ替わったわけではなく,未だ両方の年代値が共存しているというのが現状です。暦年補正された年代と補正されていない従来の放射性炭素年代は、ハッキリと分けて用いなければ年代値の混乱の要因になり,ご質問のような疑問を抱かせる結果となったわけです。最近は暦年補正した年代値は「暦年代」や「cal.BP」ないし「cal.BC」と断って書かれている文献も増えてきています。
(11/18/05)

鎌田桂子(神戸大学・理学部・地球惑星科学科)

May 2012. The Volcanological Society of Japan.  kazan-gakkai@kazan.or.jp