火山についてのQ&A |
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Question #98 | |
Q |
岩手山の活動についての質問です.仮に溶岩を噴出するような噴火が
西岩手カルデラ内で起こったとしたらカルデラ内の沼もしくは帯水層
との接触でマグマ水蒸気爆発が起きるでしょうか?それとも先に水が
枯れてしまって穏やかな溶岩噴出になるのでしょうか?沼はそんなに
深くないと聞きましたがどうなんでしょうか.
(7/1/98) |
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A |
地下から上昇してくるマグマの温度は、化学組成などによって変わります が、およそ1000℃前後と考えられます。この高温の物体が地表面に到達する と、溶岩流が流れ出したりするわけです。 しかし、地表に達する以前に地下水や湖水などと接触した場合、水は高温の マグマによって熱せられて、1000倍の体積の水蒸気に相変化し、その際に爆発 が発生することがあります。これがマグマ水蒸気爆発と呼ばれる噴火様式で す。ただし、マグマと水の割合によって爆発力はおおきく変化します。マグマ の割合が高く水が少ない場合や、マグマが少なく水が多い場合はそれ程ではあ りません。中間のちょうどよい割合で、しかも水蒸気が封じ込められると、よ り大きな爆発が発生します。 西岩手カルデラ内には、御苗代湖や御釜湖の湖や大地獄谷などの噴気地帯が あり、地下水も豊富であると考えられます。高温のマグマが上昇してきた場合 には、水と接触しマグマ水蒸気爆発が発生することは多いにありうることだと 思います。マグマの関与は不明ですが、大正8年には大地獄谷に直径10mの火口 が生じ、周囲に礫が飛散したという記録もあります。 御質問の、「マグマの熱によって水が蒸発し、枯れてしまってから穏やかな 溶岩噴出になる可能性」ですが、マグマの温度が低く少量で、上昇速度がきわ めて遅い場合には、確かにあるかもしれません。しかしながら、岩手山の場 合、これまでの地質調査結果からみると、地下から上昇してくるマグマの温度 は、それ程までには低くはないのではないかと想像します。 なお、この西岩手カルデラの状況は「空撮岩手山のページ」にあるいくつか の写真をごらんになるのがいいかと思います。URLは、 http://www.geo.chs.nihon-u.ac.jp/tchiba/1wate/Iwate.html です。 (7/7/98) 千葉達朗(アジア航測(株)防災部)
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