情報源
本・サイト |
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Question #48
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Q |
今、学校で火山について調べています。
火山にはどんな種類があって、どんな性質をもっているもですか?
またその火山はどのようにしてできるのですか。
(10/14/97)
松本 卓:中学生:15
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A |
火山について興味をもってくれたことは、火山の研究者の一人としてとても
うれしく思います。火山というのは非常に面白い現象だから、みんながもっと
知ってくれたらいいなといつも感じているからです。でも、あなたがこれから
調べようとしていることを、ここで要領よくまとめて伝えることはそんなに難
しくはないけれど、それではあなたが調べたことにはならないんじゃないかな
と思います。何でもそうですが、自分で本を読んだり、博物館に出かけていっ
たりして調べたりすると、すごく実感がわいてきます。そして、時には人から
今まで聞いていた話と全然ちがっていたりして、とたんに面白くなったりしま
す。その中で出てきた疑問なんかを聞いてみたらよいのではないかな。まず自
分で動いてみようよ。
以下には、とてもわかり易く書かれていて、かつ最先端の学問をきちんと踏
まえている、すごく良い本を3冊紹介します。これらは私がいつも感心して読
んでいる本でもあります。
「火山と地震の事典」、藤井敏嗣・著、大日本図書、てのり文庫534、580円。
「火山の話」、中村一明・著、岩波新書、黄版35、580円。
「地震・プレ−ト・陸と海」、深尾良夫・著、岩波ジュニア新書92、631円。
(10/16/97)
鎌田浩毅(地質調査所・大阪地域地質センター)
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Question #66
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Q |
富士山の生成した歴史や構造を調べたいと思います。何か参考となる書籍がありますか?
(3/8/98)
しげ:会社員:34
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A |
Question#64の回答でも取り上げましたが,
つじよしのぶ著「富士山の噴火―万葉集から現代まで」築地書館が格好の入
門書だと思います.肩の凝らない読み物です.ただし,この本は歴史時代のみ
を扱っていますから,それ以前の歴史や構造のことが知りたければ,
町田 洋著「火山灰は語る」蒼樹書房
諏訪 彰編「富士山―その自然のすべて」同文書院あたりがよいと思いま
す.ただし,火山学はいま伸び盛りの学問ですから,これらの本の内容は今後
の研究の進展によって大幅に塗り替えられていく性質のものであることに注意
してください.(3/9/98)
小山真人(静岡大学教育学部)
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Question #74
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Q |
初めて質問させていただきます。場違いな質問かもしれませんが、お許し下さい。
私の住む熊本の阿蘇山は観光地として大変親しまれているのですが、火山ガス(主に亜硫酸ガス)による事故死が数年に一人とわずかではありますが、
絶えません。昨年も2件の事故死が起きたことから、火口周辺への立ち入り規制が厳しくなりました。
そこで他県ではどういった火山周辺への立ち入り規制がされているのか、調べたいのですが教えて頂けないでしょうか。
また、参考になる書籍等がありましたら推薦して下さい。
よろしくお願いします。
(5/7/98)
これ:大学院生:26
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A |
阿蘇山のガス事故の原因になった亜硫酸ガスは、喘息の人が吸うと、ごく微
量(通常人の警戒値の1/100)でも発作を引き起こす性質があります。そのた
め、阿蘇山のロープウエーの乗り場や駐車場には、「喘息の方はご遠慮くださ
い」という看板が前から出ていました。この注意が、必ずしも徹底されていな
かったために、今回の悲劇が発生したと理解しています。喘息のひとや心臓疾
患のあるひと、高齢者などの『ハイリスクパースンについては、特別な扱いを
する』という社会全体のコンセンサスがあまりなかったのが、いけなかったの
でしょう。ただ、今回のように、ハイリスク群の警戒値をすべての人に適用す
るのは、どうかとおもいます。しかし、よく考えて見れば、すべての人が安心
して訪問できることになるので、やっぱり歓迎すべきかな。
ほかの火山の例
(1)群馬県の草津白根山には、東京工業大学の観測所があります。火山ガス
地帯で、硫化水素ガス濃度の連続測定が行われており、決められた警戒値を超
えると、警報が出され避難を促すシステムができています。
(2)富山県の立山の地獄谷では、ガスの多い地帯には柵が設けられており、
危険なので外にでないようにという、看板があります。しかし、冬など風の凪
いだ時には、柵の外でも息苦しいほどです。時々事故もあるようですが、特に
連続観測や警報システムなどはまだないようです。
(3)福島県の安達太良山では、昨年硫化水素ガスで一度に4名もの登山者が
亡くなりました。かなり、登山道からはずれた場所であり、すべての危険箇所
に看板を立てたり、ロープをはったりすることは難しいようです。最近になっ
て、沼ノ平登山ルートそのものが廃止になりました。したがって、対登山者警
報用のセンサーなどはありません。
(4)伊豆大島三原山では、1986-87年の噴火以来、火口周辺への立ち入りが禁
止されてきましたが、10年目の1996年に規制が解除されました。登山道の両側
には柵やロープがあり、火口周辺を自由に歩き回れるようにはなっていませ
ん。この規制は、火山ガスだけが理由ではないとおもいます。
参考書・雑誌
宇井忠英編(1997)火山噴火と災害,東大出版会,217p.
ルポ:安達太良山の遭難から-火山ガスの警笛-
「岳人」1997年11月号(No.605),92-96.
緊急企画:火山ガスその見えない恐怖
検証:9月15日安達太良山・沼ノ平で何が起こったのか(長谷川哲)
解説:火山ガスの特性と対応策を知る(羽根田治)小坂丈予先生に取材
「山と渓谷」1997年11月号(No.748),143-147.
(5/14/98)
千葉達朗(アジア航測(株)防災部)
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Question #81
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Q |
はじめまして。
私はコンサルタントに勤めているのですが、世界中の火山関連機関を調べることになってしまいました。アメリカやインドネシアなどの国は文献である程度まで調べられたのですが、その他の国(中南米、アフリカ等)につきましては、全く手がかりがなく、困り果てております。そこで、どのようにしたら調べることができるのか、お教えください。また、「世界中の火山関連機関のリストがあるはず」と聞いたのですが、本当にあるのでしょうか。あるとしたらどのように手に入れたら良いのでしょうか。
火山に関する質問とは離れていると思うのですが、どうぞ、よろしくお願いいたします。
(5/25/98)
困ったちゃん:会社員:27
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A |
世界中の火山観測所の組織(WOVO:WorldOrganizationofVolcano
Observatories)が発行しているリスト,"Directoryofvolcano
observatories1996-1997",WOVO/IAVCEI/UNESCO,Paris,1997には,世界中の
ほとんどの観測所が網羅されています.市販はされていません.お近くの大学
付属の火山関係の観測所や施設にはおいてありますので,閲覧可能だと思いま
す.
なお,この1994年版は以下のフランスのIPGP(パリ地球物理学研究所)のWeb
siteでも見ることができます.
http://volcano.ipgp.jussieu.fr:8080/wovo/intro.html
観測所以外の研究グループについては例えば以下のWebsite(Linksto
VolcanoWWWsites(scientific))が参考になるでしょう.
http://www.geo.mtu.edu/~boris/otherscie.html
(5/25/98)
中田節也(東大・火山センター)
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Question #98
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Q |
岩手山の活動についての質問です.仮に溶岩を噴出するような噴火が
西岩手カルデラ内で起こったとしたらカルデラ内の沼もしくは帯水層
との接触でマグマ水蒸気爆発が起きるでしょうか?それとも先に水が
枯れてしまって穏やかな溶岩噴出になるのでしょうか?沼はそんなに
深くないと聞きましたがどうなんでしょうか.
(7/1/98)
センダ ヨシミチ:学生:21
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A |
地下から上昇してくるマグマの温度は、化学組成などによって変わります
が、およそ1000℃前後と考えられます。この高温の物体が地表面に到達する
と、溶岩流が流れ出したりするわけです。
しかし、地表に達する以前に地下水や湖水などと接触した場合、水は高温の
マグマによって熱せられて、1000倍の体積の水蒸気に相変化し、その際に爆発
が発生することがあります。これがマグマ水蒸気爆発と呼ばれる噴火様式で
す。ただし、マグマと水の割合によって爆発力はおおきく変化します。マグマ
の割合が高く水が少ない場合や、マグマが少なく水が多い場合はそれ程ではあ
りません。中間のちょうどよい割合で、しかも水蒸気が封じ込められると、よ
り大きな爆発が発生します。
西岩手カルデラ内には、御苗代湖や御釜湖の湖や大地獄谷などの噴気地帯が
あり、地下水も豊富であると考えられます。高温のマグマが上昇してきた場合
には、水と接触しマグマ水蒸気爆発が発生することは多いにありうることだと
思います。マグマの関与は不明ですが、大正8年には大地獄谷に直径10mの火口
が生じ、周囲に礫が飛散したという記録もあります。
御質問の、「マグマの熱によって水が蒸発し、枯れてしまってから穏やかな
溶岩噴出になる可能性」ですが、マグマの温度が低く少量で、上昇速度がきわ
めて遅い場合には、確かにあるかもしれません。しかしながら、岩手山の場
合、これまでの地質調査結果からみると、地下から上昇してくるマグマの温度
は、それ程までには低くはないのではないかと想像します。
なお、この西岩手カルデラの状況は「空撮岩手山のページ」にあるいくつか
の写真をごらんになるのがいいかと思います。URLは、
http://www.geo.chs.nihon-u.ac.jp/tchiba/1wate/Iwate.html
です。
(7/7/98)
千葉達朗(アジア航測(株)防災部)
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Question #93
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Q |
今度、伊豆に行こうと思っているんですが、地形的にどこか面白いところがあったら教えてください。
(6/23/98)
学生21歳:大学生:21
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A |
ここは火山学会のページなので,火山と関連する地形についてお答えします.
まず,天気のよい日を選んで伊東市の大室山に行って,リフトで山頂に登るこ
とをお勧めします.大室山自体が美しい円錐形の火山(スコリア丘)であり,
山頂にスリバチ状の火口があります.また,大室山から流れ出た溶岩流が作る
雄大な裾野(伊豆高原)を上から眺めることができますし,他の火山(一碧
湖,小室山,矢筈山,天城山など)の地形を楽しむこともできます.
大室山や他の伊豆半島の火山についての詳しい解説は,以下のホームページ
や図書にありますので参考にしてください.
http://www.ipcs.shizuoka.ac.jp/~edmkoya/Izu/IzuOpen.html
「フィールドガイド日本の火山(2)関東・甲信越の火山II」,高橋正樹・小
林哲夫編,築地書館.(6月末発売予定)
「写真でみる火山の自然史」町田 洋・白尾元理著,東京大学出版会.
(6/23/98)
小山真人(静岡大学・教育学部)
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Question #114
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Q |
火山の噴火はどうして.起こるのですか??
(8/18/98)
まりや:中学生:12
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A |
火山の噴火はどうして起きるのか,あらためて考えると,なかなか簡単には
答えるのが難しい質問ですね.とりあえず噴火にいたる最終段階で,何が起き
て噴火が起きるのかを説明してみます.
噴火は簡単に言うと,地下のマグマやガスが地表に急速に出てくることで起
こります.
マグマの中には,H2O(水)のようなガス成分が含まれています.サイダーの
ビンを振ってから栓を開けると,たくさんの泡といっしょにサイダーが噴き出
してきますね.これはサイダーに溶けていた炭酸ガスが泡になって膨張し,サ
イダーを押し出すために起こるのです.それと同じように,噴火はマグマの中
に溶けているガスが泡になって,岩盤を壊してマグマを地表に噴き出させるた
めに起こると考えられています.またマグマそのものではなくて,マグマの熱
で温められた地下水などが,水蒸気になっておこる噴火もあります.
ではどういう時に,泡になるのか?またもともとのマグマはどこでどうして
できるのか?などいろんな疑問がわいてくることと思います.これらについて
は,中学生向けの本を紹介しますので,図書館などで探して読んでみてくださ
い.
火山と地震の事典 藤井敏嗣著 大日本図書
火山 (災害とたたかう2) ジャクリーン・ディニーン著 偕成社
まだくわしくはわかっていないことも多いので,火山の研究者はいろいろな
研究を続けています.興味をもったらもっと詳しい本を読むことに挑戦してく
ださい.またわからないことがあったらまた質問してくださいね.
(8/21/98)
川辺禎久(工業技術院・地質調査所・環境地質部)
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Question #208
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Q |
山口県に住んでいます。小規模ながら、噴火時の凄まじさを想像させるに十分な単性火山群にとても興味があります。これまで、阿武(笠山・伏馬山等)や青野山(鍋山・野坂山)、長者原等の県近郊の山を訪れ、写真を撮ったり登ったりして楽しんでいます。参考図書もいろいろ拝見したのですが、質問とお願いがありまして投稿させて頂きました。『お願い:阿武火山群内の1つ1つについて調査した資料(噴火の過程やスコリア丘・溶岩流の位置・個数)が有れば教えてください。これまで『日本の自然 火山と地震の国(岩波書店)』『守屋以智雄先生著 日本の火山地形』『空中写真による日本の火山地形』『中国地方』等の良い冊子に巡り会えましたが、更に詳しいものを読んでみたいのです。』『質問:著書 日本の火山地形に記載されている「阿武火山の地形分類図」ですが、これて全てなのでしょうか?。国土地理院発行1/25,000地形図 「十種峰」では、嘉年上と津々良岳の間にある山や、高峰山北北西の412Mm峰も1員の様に見えてしまいます。1つ1つの山にドラマがあると思い、全てを訪ねてみたいのです。』以上、勝手なお願いですが宜しくお願いいたします。
(4/17/99)
川本 均:会社員:32
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A |
楽しい趣味をお持ちですね.県内の全ての火山が隈無く踏査され,徹底的に調べら
れているわけではありませんから,小惑星が時折発見されるように,新たな火山が見
つかる可能性もあります.過去の噴火に想いを馳せながらいろんな山に登ってご自分
の目で確かめて見て下さい.
1.阿武火山についてのもっとも詳しい資料としては,1995年に発行された下記
の見学旅行案内書があげられます.最近の知識がまとめられています.
角縁 進・永尾隆志・白木敬一(1995)山口の新生代火山岩類.
日本地質学会第102年学術大会見学旅行案内書,157-170.
この資料の入手については,山口大学理学部地球科学教室の今岡照喜(e-mail:im
aoka@po.cc.yamaguchi-u.ac.jp)に連絡下されば,コピーの送付など対応します.阿
武火山の年代については,下記にまとめられています.
西村祐二郎・今岡照喜(1995)山口県放射年代年代図(1:150,000)
山口地学会発行
これについては県庁の刊行物センターあるいは山口県立博物館で入手できます.阿
武火山の成因については下記に解説があります.「山口県の岩石図鑑」に掲載されて
いる写真はすべて実物大ですから,山頂の岩石をこの図鑑で絵あわせすれば,その山
が火山であるか分かりますし,火山岩の鑑定もできます.
山口地学会(1991)山口県の岩石図鑑 第一学習社
2.「嘉年上」と「津々良岳」の間にある山は阿武単成火山の一つです.
「高峰山北北西の412m峰」は確かにきれいな丸い形をした山ですが,既存の資料
(新編島根県地質図20万分の1,1997年版)では錦層群の砂岩・頁岩となっています.
(4/27/99)
今岡照喜(山口大学・理学部.地球科学教室)
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Question #205
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Q |
はじめて拝見させていただきました。とても勉強になりました。これからも期待しております。
さて、当方現在中学生向けの理科の教材を編集いたしております。
3年で火山が出てくるのですが、資料を見て下記の2点について興味がわき、質問させていただきます。
@火山噴火の予知について 具体的にはどのような方法で行っているのですか? 微動の観察以外にありましたら教えて下さい。
A噴火の危険度を数値化するという記事を見たのですが、主な山の数値とその数値の意味を教えて下さい。
どうぞよろしくお願いいたします。
(4/8/99)
黒い呪術師:会社員:38
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A |
(1)火山噴火の予知について
マグマが地下にたまって地表から噴出するときのことを想像してみてください.物
質がたまるのですから,山は膨らむでしょう.この膨らみをGPSといって人工衛星
を使った装置で観測したり,傾斜計や体積歪計などで観測しています.また,物質が
たまって上昇すれば,あちこちに力が加わりますから地震や微動が起きます.また,
マグマそのものやマグマから出てきた高温のガスが上昇して地下水と接触すると微動
が起きたり,火山ガスの成分が変わったり,地熱異常が起きたりします.地下の温度
も上がりますから,岩石の持つ磁場の強さが変化して地磁気の異常が起きる場合もあ
ります.このようなさまざまな観測で異常現象を捉えようとしています.もっともこ
うした多項目の観測を行っている火山はごく限られています.観測を充実させるには
納税者のみなさんの支援(+叱咤)が必要なのです.
また,噴火の予測には異常現象を捉える努力だけではなく,過去の噴火の状態を詳
しく調べて,噴火の平均的な間隔や噴火の様式などを調べる努力も行われています.
よく週刊誌などに「・・・・のおつげで富士山が噴火する」とか「次の噴火は富士山
」などという記事が出たりして,そのたびに問い合わせを受ける火山学者もいます.
観測データからは噴火を示唆するデータは全くないのですが,たとえば「今後1年く
らいは噴火することはあり得ない」ときっぱり否定できないのが実情です.情報の空
白のを埋めるようにいろいろなデマが出てくるわけですから,こうした調査で噴火の
長期的予測をたてる研究も必要です.
(2)噴火の危険度を数値化について
この数値化は火山噴火予知連絡会のワーキンググループで検討されてきましたが,
具体的にはそれぞれの火山の活動状況や地元の社会的環境によって工夫する必要があ
り,その検討が気象庁の方で行われているようです.試案の段階では,活動レベル0
の「静穏な状態」から,レベル4の「火山周辺に影響の及ぶ中〜大噴火が発生か可能
性大」までランク付けして公表するというものです.これまではややもすると「・・
・・なので注意が必要」といった情報だけが出されて,安全になったという情報など
はあまり出ていません.火山学が進歩して,よりわかるようになった情報は納税者に
還元していこうという趣旨と私は理解しています.多くのみなさんがこの趣旨をご理
解いただき,情報を有効に利用していただけたらと考えています.
ところで,こうしたレベル化は,実は日本が世界に先がけておこなうものではあり
ません.アメリカ合衆国ではずっと以前から火山活動をレベル化して情報を出してい
ます.また,米国地質調査所のホームページには,いくつかの活火山の活動状況が掲
載されていて,毎週更新されています.現在の日本の場合は,活動に異常が出て臨時
火山情報が出されても,地元のテレビ・ラジオ・新聞で報道されることはあっても他
の地方でこの種の情報を入手することは簡単ではありません.たとえば,東京からあ
る火山の付近に旅行しようとした人が,その火山について活動状況を知ることはほと
んど不可能です.最近,多地方からの観光客が遭難するニュースをしばしば耳にしま
すが,米国地質調査所のホームページのような体制があれば,こうした事故も少なく
なるでしょう.よりよい情報をみなさんが受け取るためには,納税者としてみなさん
が私たちを支援していただき,かつ納税者の権利として私たちを叱咤して情報を要求
していただくことが大切だと思います.蛇足ながら,火山活動のレベル化は
「先進国」である米国ばかりではなく,多くの方が「途上国」と思っていらっしゃる
インドネシアでも行われていて,その情報がちゃんと機能していることも付け加えて
おきます.
米国地質調査所のロングバレーのページから入るといろいろと示唆に富んだ情報が
得られます.政府がその国の国民を保護するというのはどういうことか?政府は納税
者に対してどのような義務を負っているのか?という明確な思想が感じられます.
http://quake.wr.usgs.gov/VOLCANOES/LongValley/
インドネシアの火山調査所のホームページは最新の活動状況が載せられているわけで
はありませんが,観測体制を知ることはできます.
http://mekira.gsi-mc.go.jp/index.html
もちろん日本も何もしていないのではなく,たとえば国土地理院のページではGPS
を公表しています.
http://mekira.gsi-mc.go.jp/index.html
(5/10/99)
鍵山恒臣(東京大学・地震研究所・火山センター)
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Question #198
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Q |
東大病院の院内学級に勤務している者です。お忙しいところ申し訳ありません。
よろしくお願いします。
理科の授業で関東ローム層を教えている時に次のような質問がありました。
(1)「富士山はいつ頃噴火したの?」
(2)「どうやったら噴火した時期が分かるの?」
ぼく自身地学が専門ではないため、(1)についてきちんと答えてあげることができませんでした。
また、(2)についても「地層を関東ローム層と、上下の地層の年代を比べて年代を調べたんだよ」と
しか答えられませんでした。いろいろ調べたのですがよく分からなかったので、質問したいのですが、
次のことについて教えていただけるでしょうか?
1;関東ローム層は、富士山の火山灰が噴火してつもった地層という事で良いですよね。
2;富士山は何年前〜何年前ぐらいに噴火したのでしょうか?年代はいつ頃でしょうか?
3;関東ローム層の上下の地層は何年前〜何年前つもったのでしょうか?上下の地層が積もったとき
関東はどの様な様子だったのでしょうか?
簡単な質問で恥ずかしいのですか、よろしくお願いします。
(3/6/99)
土屋忠之(都立北養護学校 東大こだま分教室勤務):教員:30
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A |
(1)
より厳密には,「関東ローム層は,富士山,箱根山,浅間山などの,おもに関東
平野西方に位置する火山の噴火によって地表にもたらされた火山灰が,大気中を運
ばれて降り積もった地層」です.火山灰の大気中での移動方法としては,噴火時の
噴煙によって直接運搬されることもあれば,噴火休止期に火山山麓の荒れ地や河川
敷などから強風によって少しずつ運ばれることもあります.前者の運搬方法を主と
みるか,後者を主とみるかで,まだ学者間に議論があります.
(2)
富士山は,およそ10万年ほど前から噴火を始め(かつて8万年前とよく言われま
したが,最近の年代測定研究の進歩によって若干遡っています),歴史時代にもた
びたび噴火を起こしている活火山です.最近では1707年(宝永四年)に大規模な噴
火を起こしています.なお,1707年以後もまったく静かであった保証はなく,1708
〜09年,1770年,1854年にも小規模な噴火を起こした疑いがあり,現在研究が進め
られています.
富士山の歴史時代の火山活動については,以下のページが参考になるでしょう.
http://sk01.ed.shizuoka.ac.jp/koyama/public_html/Fuji/fujid/0index.html
(3)
関東ローム層の最下部をしめる地層は,およそ40〜50万年前の堆積物です.そし
て,関東ローム層の最上部(つまり現在の地表面)には,いまでも少しずつ堆積物
が堆積し続けています.風の強い日に荒れ地や河川敷・畑などから砂ぼこりが大量
に舞い上がり,それがわずかずつ地面をかさ上げしているのです(あるいは,上述
した富士山の1707年噴火の際に関東平野に灰が降り積もったことからわかるように,
火山噴火による降灰でかさ上げされることもあります).縄文・弥生時代や歴史時
代の遺跡が土中に埋もれているのはそのためです.
関東ローム層は乾いた陸上(湖や川や湿地帯ではないという意味です)で堆積し
た地層です.つまり,関東ローム層がつもった場所はいまの武蔵野台地のような台
地の上です.しかし,関東平野全体に関東ローム層が分布しているわけではありま
せん.たとえば,千葉県の北部には低い丘陵地帯が広がっていますが,そこには40
〜50万年前の海でたまった砂や泥が分布しています.つまり,関東ローム層が堆積
し始めた頃には,いまの東京湾から九十九里浜にかけて洋々とした海原が広がって
いたのです.
(3/10/99)
小山真人(静岡大学・教育学部・総合科学)
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Question #223
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Q |
現在、水中火山岩について調べていますが、解らないことがたくさんです。
ピローローブなどに見られる周辺のガラス質は何故出来るのですか。そのガラス質の部分の性質に特徴はあるのですか。
また、枕状溶岩とニセ枕状溶岩はいったい何の違いからわかれるのですか。特定の条件などがあるのですか。
最後に、陸上で出来たものと水中で出来たものの違いを見分ける方法には、どんなものがありますか。
ぜひ教えて下さい。読むと解る文献などがありましたらそれも教えて下さい。
(6/5/99)
熱帯魚:学生:21
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A |
熱帯魚さんのご質問は溶岩の産状を観察している多くの研究者を悩ましている問題
でもあります.熱帯魚さんはこうした地質学的課題を専門的に勉強しておられるよう
ですので,いつものこのコーナーよりも多少専門的な回答と参考文献についてお答え
します.
最初に,陸上・水中いずれでできたかを問わず,溶岩をその内部構造から以下のよ
うに2大別することができます.一つは,一枚の溶岩流がさらに小さな溶岩のフロー
ユニット(多くは直径数10cm〜数m程度)に分けられるものであり,それぞれの
フローユニットは冷却されたため急速に固結してできた殻をもっていて,その形態か
らローブ(lobe:耳たぶ)またはトウ(toe:つま先)などと呼ばれているといった
溶岩です.もう一つはそのようなフローユニットに分割されない一続きの溶岩です.
Walker(1971)は,前者をcompound lava,後者をsimple
lavaと呼びました(ここでは,それぞれ,集成溶岩,単純溶岩と呼んでおきましょう
).
ご質問の枕状溶岩(pillow lava)は水中でできた集成溶岩の一種です.ローブの
ひとつひとつはピローローブなどと呼ばれます.溶岩が水中を比較的ゆっくりと流れ
ると,多くは枕くらいの大きさのローブがムニュと出てきては表面が固まり,さらに
そのどこかが破れて次のローブができるといったことを繰り返して集成溶岩全体は前
進・形成されます.ですからピローローブの外殻には,マグマが周囲にある無尽蔵の
海水によって冷やされて急冷してできたガラス部分が,少なくとも玄武岩では必ずで
きます.お尋ねのそのガラスの特徴については,Moore(1966)の論文の記載をごらん
ください.私の経験も加味して解説しますと,ピローローブの外縁のガラス層は透明
な薄茶色のガラス(5〜20mm厚)からなっていて,内側へいくと,微斑晶を核と
して苦鉄質鉱物や鉄酸化物などの骸晶状微結晶が成長し,さらに内側では,それが全
面に広がってきます.ただし,ガラスはパラゴナイトという変質物に置き換わってい
ることや,脱ガラス化していることも往々にしてあります.
次にニセ枕状溶岩ですが,これは枕状溶岩と違って,必ずしも集成溶岩とは限りま
せん.これは,一見枕状溶岩のローブに似た岩塊の集合体のようであって,各岩塊の
内部には岩塊表面に垂直な冷却節理が発達しているため枕状溶岩と間違えそうではあ
りますが,実は水中にできた単純溶岩の内部が冷却のために収縮して局面や平面の開
口割れ目ができ,それにそって水が進入したためにできたものです.最初Watanabe
and Katsui(1976)によって阿蘇の水中デイサイト溶岩で記載・定義付けされました
が,玄武岩溶岩にもできます.また,Walker(1992)は玄武岩質枕状溶岩のひとつの
ピローローブの中にできた収縮割れ目に沿って水が侵入し冷却節理を生じたものまで
もニセ枕状溶岩と呼んでいます.ニセ枕状溶岩を枕状溶岩と識別するには,枕状溶岩
のローブが溶岩の流動と同時期に形成されるのに対して,ニセ枕状溶岩は溶岩が定置
したのちにその流動の痕跡(気泡の配列など)と斜交する割れ目によりできることが
決め手(Watanabe and Katsui,1976)とされています.またニセ枕状溶岩の岩塊
の外形からも判断されます.
最後に陸上と水中の溶岩の見分け方ですが,これは難しい問題です.とりわけ,枕
状溶岩と陸上の集成パホイホイ溶岩とは,水か空気かのいずれかに冷却されてローブ
をなしている点では共通しているわけですから,多くの共通点をもっていて,相違点
を明らかにする研究としては,これまで以下の論文があります.とりわけローブの表
面形態(Yamagishi, 1991参照)の相違は重要ですのでその点に注目して文献にあたっ
てください.なお,私の今年の地球惑星連合学会での講演要旨
(http://geogate.shinshu-u.ac.jp/Miyake/CRBabst1.html)
も参考にしてください.
枕状溶岩と集成パホイホイ溶岩を比較研究した文献
Jones, J.G., 1968, Pillow lava and pahoehoe. J.Geol., 76, 485-488
Truckle, P.H., 1979, Pahoehoe and pillow lavas from the Suguta Trough
Turkana, Kenya. Geol.Mag., 116,139-142
Walker, G.P.L., 1992, Morphometric study of pillow-size spectrum among
pillowlavas.Bull.Volcanol., 54, 459-474
Walker, G.P.L., 1971, Compound and simple lava flows and flood basalts.
Bull.Volcanol., 35, 579-590
その他の文献
Moore, J.G., 1966, Rate of palagonitization of submarine basalt adjacent to
Hawaii.USGeol.Surv.Prof.Pap., 550-D, 163-171.
Watanabe, K. and Katsui, Y., 1976, Pseudo-pillow lavas in the Aso caldera,
Kyushu, Japan. J.Japan.Assoc.Min.Petrol.Econ.Geol., 71, 44-49.
Yamagishi, H., 1991, morphological features of Miocene submarine coherent
lavas from the "GreenTuff" basins: examples from basaltic and andesitic
rocks from the Shimokita peninsula, northern Japan. Bull.Volcanol., 53,
173-181.
(6/16/99)
三宅康幸(信州大学理学部地質科学教室)
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Question #267
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Q |
こんにちは。僕は中学3年生です。
理科の自由研究で、火山の事を調べました。
その時、火山にすごく興味を持ちました。
将来、火山学者になりたいと、今も思ってます。
それで、火山学者になるには、どんな道を歩めば
立派な火山学者になる事が、出来るのですか?
火山に直接関係の無い質問ですいません。
(9/3/99)
一中3年生:学生:14
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A |
将来、火山学者になりたいと思っている中学生がいることは、火山の研究者の一人
としてたいへんにうれしく思います。火山学者というのは、最初はみんな火山に興味
を持つことから始まって、勉強を続けていった人ばかりなので、あなたも十分になれ
る可能性があると思います。まずあなたが、火山のどのようなことを知りたいのかを
、明確にしてみてはどうでしょうか。それに従って必要な知識とか概念とかを勉強し
てゆくことが、最も近道だと思います。日本や世界の火山を知るために、火山学会の
ホームページにリンクされている火山のサイトを追いかけてみるのは、居ながらにし
てできる簡単な方法です。次に、本を読んで火山について知るというのが、最もオ
ーソドックスな勉強法でしょう。以前にもこの欄で紹介したことがあるのですが、火
山に関する内容を含んでいて、とてもわかり易く書かれており、最先端の学問をきち
んと踏まえている良い本を3冊紹介しておきます。
「火山と地震の事典」、藤井敏嗣・著、大日本図書、てのり文庫534、580円。
「火山の話」、中村一明・著、岩波新書、黄版35、580円。
「地震・プレ−ト・陸と海」、深尾良夫・著、岩波ジュニア新書92、631円。
さらに実際に火山を訪ねて行き、直接自分の目で見るというのが、とても大事だと
思います。何でもそうですが、本を読んで調べたりした後に、本物を見に行くとす
ごく実感がわいてきます。そして次々と新たな疑問点も出てきて、もっと調べてこれ
らを明らかにしたいと思うようになります。こうして火山の勉強がどんどん進んでゆ
くし、第一こういう作業はとても楽しいものです。初めて火山を見に行くときには、
築地書館から現在順次刊行されている「高橋正樹・小林哲夫編、フィールドガイド・
日本の火山」のシリーズが便利でしょう。地域ごとの分冊になっていて、どこに行け
ばよいかが地形図の上に示されているので、参考になると思います。
火山についての勉強は、中学校では「理科第2分野」で、また高校では「地学」で
すると思います。現在、高校の地学は選択制になっているかと思いますが、あなたの
進学する高校で開講されていたら、是非受講してみると良いと思います。また、さら
に将来大学で火山学を勉強していこうとすれば、地学に関連する学科や専攻(地球科
学・地球惑星科学・地質学・地球物理学・地球化学)のあるところへ進学するのがよ
いと思います。ただし火山を専門にしている教員がいる大学は限られていますので、
本屋さんで大学案内を調べたり、火山学会のホームページにある「全国の地球科学関
係(研究所,教室)」なども、参考にしてみてはいかがでしょうか。また、火山とい
うのは国境を越えて共通する自然現象なので、火山学は国際的に通用する学問です。
従って、中学・高校・大学を通じて言えることですが、英語の勉強をしっかりしてお
くと色々なところで役に立つと思います。例えば、将来外国で噴火が起こった時に、
あなたが調査に行くことになるかもしれません。是非、英語に関しては、読む・書く
だけでなく、聞く・話す能力も身につけるようにして下さい。
火山を専攻することになったら、是非日本火山学会に入って下さいね。学会の後で
開かれる火山巡検(みんなで野外に出て火山を見に行く小旅行)にも参加することが
できます。実際に火山を見に行って色々と疑問が出てきたら、Q&Aのコーナーにまた
質問を寄せて下さい。若き火山学者の誕生を楽しみにしています。
(9/13/99)
鎌田浩毅(京都大学・総合人間学部・地球科学)
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Question #263
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Q |
学校の自由研究で温泉について調べてくるように言われたのですが、私は温泉の成分と火山の形(火山のでき方)との関連を、テーマに調べているのですが、あまり関連する資料が見つかりません。もしよかったら教えて下さい。
(8/31/99)
那智王:学生:14
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A |
火山と温泉の関係に関して一般向けに書かれた書物は少ないのですが次のような文献
があります。
1)「岩波講座 地球科学7,火山」 の第8章
2)雑誌,「科学」(岩波書店)の記事,第48巻41−52ページ(1978年)
3)ポピュラーサイエンス,熱水の地球化学 松葉谷治著 裳華房
3は書店で入手できるかもしれませんが1と2は大きな図書館に行って閲覧しなくて
はならないと思います。
(9/2/99)
大場 武(東京工業大学・草津白根火山観測所)
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Question #327
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Q |
はじめまして。石川県金沢市付近の火山について教えて下さい。
わたしは金沢市内で小学校の教員をしているのですが、理科の学習でいくつか疑問が
でてきました。
1.医王山山系の山以外にも火口があったのではないかという話を聞きました。具体的には
犀川の上流の方や鶴来につながる山々の方とのことですが、それは本当でしょうか?
2.金沢の地下のボーリング資料を見ると、金沢のかなり広い部分に凝灰岩層は広がって
いるのでしょうか?(ボーリング資料に凝灰岩の層が含まれているのでしょうか?)
また、それらの凝灰岩は医王山の噴火に起因するものと考えていいのでしょうか?
3.こういった金沢市の地史について書かれた文献はないでしょうか?ぜひ紹介して下さい。
どうぞよろしくお願いいたします。
(11/23/99)
TEG:小学校の教員:39
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A |
1.医王山以外にも火口があるか.
医王山は確かに「火山岩」(流紋岩の溶岩や凝灰岩)でできてい
ますが,約1500万年も前の地層なので,「火口」はもう残っていま
せん.「火山」は地表付近のマグマ活動によって生じた地形(山や
凹み)のことを言うので,既に火山地形が完全に失われている医
王山は「火山」ではありません.なお,医王山と同じ地層(「医王山
累層」)は,確かに犀川上流から鶴来,そして更に小松市南方,
加賀市南方を経て福井市付近まで続いています.しかし,これらの
火山岩を噴出した「火口」がどこにあったのかは,まだわかってい
ません.ところで,医王山山系の金沢市側にある戸室山やキゴ山
は約50万年前の火山ですが,これらは溶岩円頂丘で,表面に
はっきりした「火口」はありません.
2.金沢の地下に凝灰岩層は広がっているか
金沢の地下には多量の凝灰岩層があります.上で述べた医王山
累層(厚さ1000m)は日本海側へ傾斜しており,金沢市の下にも
広がっています.また,医王山累層の上には「砂子坂凝灰質互層」
(170m),七曲凝灰岩層(100m),下荒谷凝灰岩層(30m)などの
凝灰岩の地層が重なっていて,これらは湯涌温泉へ行く道沿いに
露出しています.これらの地層は,金沢市中心部の直下では,
卯辰山層・大桑層・高窪層など泥岩・砂岩の地層の下,地下約
300-500m付近にあるものと思われますが,森本断層より海側で
は,それより更に500m以上深くにあるでしょう.これらの凝灰岩層
を作った火山灰を噴出した火口がどこにあったかは,残念ながら
まだわかっていません.石川県内のボーリング資料をまとめた
本は金沢大学にありますが,上の数字は私の大雑把な推定です.
もし正確に知りたい場合は,大学にいらして下さい.
3.金沢市の地史について書かれた文献
一般向けの本としては,次のようなものがあります(発行年順).
今井功「5万分の1地質図幅 金沢 および説明書」通産省地質
調査所,1959年(絶版です.図書館・大学でどうぞ)
かせ野義夫編著「北陸の地質をめぐって(日曜の地学6)」
築地書館,1979年(絶版です.図書館・大学でどうぞ)
石川県理科教育研究協議会・石川県理科協会編「石川の理科
ものがたり」日本標準,1981年(販売中.小学生向け)
藤則雄監修「理解しやすく・親しめる石川の地形・地質案内
野外観察のガイド」東京法令出版,1985年(販売中)
日本地質学会第97年学術大会(富山)見学旅行案内書.1990
(専門家向き.石川県内のコースもあり.大学でどうぞ)
北國新聞社出版局編「徹底検証地震と防災 石川は安全か」
北國新聞社出版局, 1995年(販売中)
石川県化学教育研究会編「科学風土記 加賀・能登のサイエンス」
裳華房ポピュラーサイエンス,1997年(販売中)
相馬恒雄「富山のジオロジー 富山の大地の成り立ちを探る」
シー・エー・ビー(とやまライブラリー5),1997年(販売中,隣
の県ですが,地元の地史を様々な学説と結びつけて説明)
北村晃寿文,夏目義一絵「暖かい地球と寒い地球」福音館書店,
1998年(販売中,大桑層に関する小学校中・高学年用絵本)
鹿野和彦ほか「20万分の1地質図幅 金沢」通産省地質調査所
1999年(販売中,裏に詳しい説明あり.地図専門店でどうぞ)
なお,私のホームページ
もご覧下さい.
(11/27/99)
石渡 明(金沢大・理学部・地球科学科)
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Question #419
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Q |
1999年12月15日に中央アメリカOアテマラ沖からエキシコに向かう航海中海岸線に火山の噴火を発見。日本の新聞を調べたけれど、載っていません。世界の最近の火山の噴火情報とかどういうふうに調べたらいいんですか?気象庁では海外の火山はわからないとのことなので何かお分かりなら教えてください。(ちなみにピースボートの世界フルクルーズに参加)
よろしくお願いします。
(03/08/00)
タカエ:学生:17歳
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A |
中米で12月15日に噴火した火山としてはニカラグア(グアテマラの南)のサン・クリ
ソトバルという火山があります.火山灰の噴煙が太平洋上に広くたなびきました.グ
アテマラにはフエゴ火山とパカヤ火山という大変活発な火山があり12月下旬から活発
化していますが,12月中旬に噴火の記録はありません.
世界の噴火情報は,衛星を使った火山灰情報センター(Volcanic Ash Advisory
Center)のものが最も新しく世界中をカバーしています.この中でアジアの情報は気
象庁が担当しています.
以下のホームページでご覧になれます.
Volcanic Ash Advisory Center
また,噴火の詳細については,アメリカのスミソニアン自然史博物館の以下のサイト
で速報されます.
Global Volcanism Program
(3/9/00)
中田節也(東京大学・地震研究所・火山センター)
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Question #674
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Q |
小学校の図書館で司書をしています。
6年生の児童が、「世界の火山がいつ噴火したかっていう一覧の資料が欲しい」と
いう相談に来ました。
現在、資料探しをしているところですが、なかなか日本語でのサイトが少なく、
すぐに手渡してあげることができません。どこを調べたら見つかるのか、教えて下さい。
(06/17/00)
りん:学校司書:29
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A |
外国の火山を紹介した日本語のホームページが少なくて申し訳ありません。No.666で
紹介された「火山防災情報」のホームページの中に「世界の火山一覧」があり、そこ
では、代表的な世界の火山や噴火が紹介されています。その他、丸善から出版されて
いる「理科年表」の中の「世界の火山」、朝倉書店から出版されている「火山の辞典
」の「世界の活火山リスト」などでさらに詳しく扱っています。
火山防災情報
(6/17/00)
ホームページ管理者
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Question #531
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Q |
長野県の中学生ですが、浅間山をはじめとする、長野県の火山について調べたいと思いますが、どのようなホームページで情報を収集するのがよいでしょうか。
(05/01/00)
塩尻西部中学校:中学生:14
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A |
長野県の中学生のかたへ.
長らく,回答できなくてごめんなさい.信州大学で校舎の建て替えをやっていて,
忙しくて答えることできませんでした.新築の理学部校舎に一度おいで下さい(宣伝
!).長野県と,その近傍には,全国80いくつかの活火山のうちの一割になる,8
つの活火山があるのです.ですから,同じ長野県民として,あなたのような中学生が
火山に興味をもってくれて,大変うれしいです.
さて,お尋ねの,ホームページですが,ほんとうは,私がちゃんとつくらなくちゃ
いけないのですが..すみません..作ってません.それで,群馬大学の早川由起夫
先生が作られているホームページを紹介します.
関東甲信越地方の火山噴火史
さらに,日本全国の火山については,日本火山学会のホームページにある,「日本
の第四紀火山カタログ(CD-ROM版)」をご覧下さい.同じ,日本火山学会のホームペ
ージの,4回公開講座 「信州の火山と地震」テキスト集も参考になると思います.な
お,あまりまとめてませんが,私自身のホームページにも,関連したことが書かれて
います.
http://geogate.shinshu-u.ac.jp/Miyake/index.html
(6/16/00)
三宅康幸(信州大学・理学部・地質科学教室)
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Question #666
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Q |
世界には約64の活火山があると聞いたのですがこれらの火山の、標高、火山帯名、国名、噴火形式、災害状況を調べるにはどうしたらよいですか?
宜しくお願いします。
(06/13/00)
富永宗現:会社員:31
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A |
世界の活火山の数は少なくとも1500以上あると考えられています。このコーナーでし
ばしば回答されているように、日本でも86個の活火山があります。ただし、活火山の
定義がはっきりしておらず、地域や国ごとに数え上げられる活火山の基準、あるいは
その元となる情報量がまちまちです。質問の64個というのは何の数かはわかりません
。世界中の活火山のデータは合衆国スミソニアン自然史博物館の"Volcanoes of the
World"(下の英語サイト)で調べることができます。また、日本の火山については、
例えば、日本火山学会が出版しているCD_RM版火山カタログ(ホームページからのア
クセスは中止)か千代田火災の火山防災情報(下のサイト)にあります。
スミソニアン自然史博物館
火山防災情報
(6/14/00)
中田節也(東京大学・地震研究所・火山センター)
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Question #786
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Q |
理科の一研究で火山について研究するのですが、噴火の被害を防ぐ方法はあるんですか?
あったら、できるだけくわしく教えてください。
あと、私は長野に住んでいるんですが、周辺に火山はありますか?
有珠山と三宅山などの火山のしゅるいに、違いがあったら教えてください。
(07/27/00)
19:学生:15
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A |
19さん
学校で火山のことを勉強しているようですね.とても良いことです.せっかく火山に
興味をもった機会ですので,是非とも本を読んでみて下さい.噴火の被害とその防ぎ
方については,以下の本にくわしく書かれています.高校生(中学ですか?)にも理
解できる部分がたくさんあります.
宇井忠英(編) 「火山噴火と災害」東京大学出版会¥3700
ISBN4−13−060717−0
公共の図書館などにもあると思います.この本に書かれているように,火山の災害に
は実のたくさんの種類のものがあります.ですからそれから身を防ぐ方法も,災害の
種類に応じてたくさんあるのです.また,火山には個性があって,それぞれの火山毎
に災害の種類に特徴があります.ですから,ひとつひとつの火山の個性をちゃんと日
頃から調査しておくことがたいへん重要です.次に長野県のまわりに火山がどれだけ
あるかということですが,以下の本に日本の火山の分布が書かれています.
国立天文台編「理科年表」丸善
地学団体研究会編「新版地学事典」付図付表
気象庁「日本活火山総覧(第2版)」
学校か公立の図書館で上の本がないか尋ねてみて下さい.特に「日本活火山総覧(第
2版)」には,日本の活火山83個について噴火の歴史まで書かれていてたいへん勉
強になると思います.それを見るとわかるように,長野県とその近傍には,草津白根
,浅間,新潟焼,妙高,弥陀ヶ原,焼岳,乗鞍,御岳と,8つの活火山があるのです
.
上にあげた本には,それぞれの火山のマグマが固まってできた火山岩の名前,または
二酸化珪素(SiO2)量が書かれています.これが,その火山の噴火の特徴を決定する
もっとも大事な要素です.三宅島と有珠とでは,それがちがっていることがわかると
思います.信州のまわりの8つの火山はどちらのタイプになるでしょうか?調べてみ
て下さい.
ところで,これだけ調べたらせっかく火山の近くに住んでいるのですから,行って見
たくなりますよね.そうしたら,次の本を手にもって実際に行ってみましょう.
高橋正樹・小林哲夫(編)
「フィールドガイド日本の火山」E中部・近畿・中国の火山」築地書館¥2100
これには焼岳・乗鞍・御岳が載っています.同上の@「関東・甲信越の火山T」には
浅間・草津白根・妙高が載っています.また,同上のA「関東・甲信越の火山U」に
は新潟焼・八ケ岳が載っています.で,わからないことがあったら,松本の信州大学
理学部の私を訪ねてください.
(8/3/00)
三宅康幸(信州大学・理学部・地質科学教室)
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Question #788
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Q |
有珠山と三宅島の具体的なプロフィール(粘性や周期、今回までの歴史etc...)を比較したいのですが、教えていただけないでしょうか?詳しく書いてあると嬉しいです。
(07/28/00)
T.Kspeci@l:高校生:16
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A |
有珠山と三宅島は,どちらも最近は20-30年ほどの間隔で噴火を繰り返している火山
ですね.しかし火山としての特徴は対照的です.有珠山は,最近340年ほどは,粘性
の高いデイサイトを噴出し,軽石噴火や火砕流,潜在ドーム,溶岩ドームをつくる噴
火をします.一方,三宅島は,粘性の低い玄武岩を噴出し,山腹割れ目噴火を起こし
ます.海岸近くでは地下水や海水と接触して,マグマ水蒸気爆発を起こすこともあり
ます.
噴火の詳しい歴史ですが,ここで書くと長くなってしまうので,とりあえず次にあげ
るところを参照してみてください.
「火山防災情報サービス」(千代田火災)の
有珠山と三宅島
「日本の第四紀火山カタログ」(webバージョン)
(ブラウザの検索機能で探してください.有珠山は「洞爺」火山の中にあります)
「有珠山火山地質図」(地質調査所)
「有珠火山のページ」(地質調査所東宮さん)
「三宅島火山災害予測危険区域予測図」(千葉大津久井さん)
「火山土地条件図「三宅島」について」(国土地理院)
(8/3/00)
川辺禎久(工業技術院・地質調査所・環境地質)
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Question #1028
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Q |
楽しく拝見いたしています。
さて、
中国地方にある火山の形跡がある山を、教えていただけませんでしょうか?
分布図なんかあればベストです。
史跡巡りじゃないですが、火山跡巡りをしてみたいと思います。
是非、宜しくお願いいたします。
(09/17/00)
バイク好きなサラリーマン:会社員:26
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A |
秋空のもと,楽しいプランですね。
中国地方限定ということであれば,西日本火山帯を見学ということで,山陰側のコ
ースをお薦めします。日本海に面した9号線をバイクで走るのは爽快でしょう。東か
ら西へのコースとしては,大山→三瓶山→青野山→萩というのはいかがでしょうか。
大山(1729m)は鳥取・岡山県境にあって文字どおり中国地方で最も高い山です。三
瓶山は中国地方でもっとも新しい火山で,男三瓶,子三瓶,孫三瓶,女三瓶などのド
ーム群があります。青野山付近には,9号線沿いに,お椀をふせたような形をした火
山がいくつか見られます。小さい火山が10以上あります。その分布図が「山口県地学
のガイド」の209頁に載っています。また,その風景は「山口県の岩石図鑑」の78頁
にカラー写真で紹介しています。黄金色の稲穂の実った田んぼの中を走る9号線から
の風景は格別です。山口県では,萩市の笠山も小さいながら火山地形を良く保存して
います。笠山山頂から日本海を展望すると,相島,羽島,尾島などの溶岩平頂丘(円
頂丘ではなく)が見られます(山口県の岩石図鑑の74頁)。一見の価値があります。
守屋以智雄著「日本の火山地形」の表紙裏には全国の火山分布図が掲載されています
。中国地方の火山について,詳細をお知りになりたい場合には,下記の本が役立ちま
す。火山の生い立ちがわかれば,さらに楽しい旅になるでしょう。
記
山口県の岩石図鑑 山口地学会編 第一学習社
日曜の地学-12 山口の地質をめぐって 山口地学会編 築地書館
日曜の地学-7 広島の地質をめぐって 鷹村 権 著 築地書館
日曜の地学-25 島根の自然をたずねて 「島根の自然」編集員会編 築地書館
山口県地学のガイド 山口地学会編 コロナ社
日本の火山地形 守屋以智雄著 東大出版
フィールドガイド日本の火山6 中部・近畿・中国の火山 高橋・小林編 築地書館
(9/23/00)
今岡照喜(山口大学・理学部・地球科学教室)
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Question #1403
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Q |
今、三宅島の噴火について調べています。
今回に噴火に関する情報は山ほどありますが、
1983年の過去の噴火や、それ以前の三宅島の噴火に関する情報見つけられません。
よかったら、詳しいことが載せられているURLを教えてください。
おねがいします。
(01/12/01)
ととろ:学生:20
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A |
1983年の噴火について詳しく記述したホームページは確かにあまりありませんね。以
下のいくつかのサイトでは、より地学的な情報について見ることができます。
・地震研究所の嶋野さんのページ 。
地震活動や噴出物について簡単に紹介しています。
・日本火山学会の三宅島フォトギャラリー (英文です)。
噴火の写真がいくつか掲載されています。
・国土地理院の「火山土地条件図。三宅島について」。
1983年噴火についての記述や図と写真があります。
(1/13/01)
中田節也(東大・地震研究所・火山センター)
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Question #1405
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Q |
はじめまして。埼玉で塾の講師をしている学生です。
先日、高校生から「富士山が噴火するとどんな被害があるの?」と聞かれました。学校の授業でレポ−トを書かされるようなのです。質問を受け、私も火山に興味があったので調べましたが、良い資料が無く困っています。噴煙による被害や火砕流など、富士山が噴火してから起こると予想される被害を詳しく教えてください。出来れば資料のあるHPも教えていただけると幸いです。よろしくお願いします。
(01/12/01)
ヒロ:大学生:21
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A |
富士山の火山災害予測についてはいまだにお寒い状況であり,いわゆるハザードマッ
プ(火山災害予測図)についてもきちんとした形で作成・公表されたものはありませ
ん.富士山のまわりには観光依存度の高い自治体が多く,観光への悪影響を懸念する
がゆえに災害予測図の作成がタブー視されてきました.昨年あたりから状況が好転し
つつありますが,災害予測の作業はまだ具体化されていません.したがって,現時点
では残念ながら「良い資料」はありませんので,不十分ながら以下の資料を参考にし
ていただく以外にないと思います.
・富士山火山防災ハンドブック
国土交通省(旧建設省)富士砂防工事事務所・山梨県・静岡県が昨年作成した26ペ
ージのカラーパンフレットで,火山災害についての一般的解説,火山としての富士山
の特徴や過去の歴史などがよくまとめられています.ただし,災害予測までは至って
いません.現時点での入手方法については,国土交通省富士砂防工事事務所調査課,
山梨県砂防課,静岡県砂防室に問い合わせてください.
・海洋出版発行の「月刊地球」2000年8月号(特集号:富士火山の活動史と噴火災害
).富士山の火山災害予測をテーマとし,火山学・火山災害の専門家の論説を集めた
特集号.富士山の火山災害予測についての現状や問題点を知るのに最適です.書店で
注文できます.
・損害保険料率算定会発行の報告書「火山災害の研究」(地震保険調査研究42)
火山災害の整理・解説,火山災害予測・評価の実例についての311ページにわたる
詳しい報告書(1997年発行)です.富士山の災害予測の実例も載せられています.入
手については損害保険料率算定会に問い合わせてください.大きな図書館や大学図書
館で探すとあるかもしれません.
・国土庁防災局(現内閣府防災担当)発行の「火山噴火災害危険区域予測図作成指針
」
自治体向けに火山災害予測図の作成方法を説明したマニュアル(183ページ+付図
31葉).作成例として富士山の災害予測の実例もいくつか載せられています.1992年
発行とやや古いため,入手可能かどうか不明です.大きな図書館や大学図書館で探す
とあるかもしれません.
なお,富士山の将来を予測する上で鍵となるのは,富士山の生い立ちや過去の噴火災
害履歴です.それを知る上で,以下のようなHPや本が参考になるでしょう.
インパク静岡県パビリオン(火山の郷):
http://www.7000m.com/inpaku/top.html
火山としての富士山:
http://sk01.ed.shizuoka.ac.jp/koyama/public_html/Fuji/Fuji.html
富士山の歴史時代の噴火:
http://sk01.ed.shizuoka.ac.jp/koyama/public_html/Fuji/fujid/0index.html
町田洋・白尾元理著「写真でみる火山の自然史」東大出版会(1998)
町田洋著「火山灰は語る」蒼樹書房(1977)
諏訪彰編著「富士山―その自然のすべて」同文書院(1992)
(01/16/01)
小山真人(静岡大学・教育学部・総合科学教室)
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Question #1720
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Q |
「20日午後1時15分ごろ、警戒中の第3管区海上保安本部の航空機が八丈島の南南西約120キロの沖合で、幅約100メートル、長さ150メートルにわたって黄褐色に変色している海域を発見した」という記事を見たのですが、海底火山の活動によるものだとするとどのような反応によって着色したと思われますか?
以前、海底火山活動による変色海域が青色という写真を見たのですが、違いを教えていただけませんか。
(05/21/01)
おんでぃ:学生:22
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A |
同様な質問に対する回答が,過去のQ&A,No.717,No.740にありますのでご覧下さい.
海底噴火に関しては,
「日本近海における海底火山の噴火」小坂丈予著,東海大学出版会
(ISBN4-486-01145-7)
という本があり大変参考になります.
(05/22/01)
大場 武(東京工業大学・火山流体研究センター)
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Question #2454
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Q |
今度、立山カルデラの体験学習会に参加する予定の地学の素人教師なのですが、この貴重な機会を使って体験学習以外にぜひ貴重な資料があれば記録に残したり採集して帰りたい(特に岩石類)と思っています。何かありましたら教えてください。また、それが(漠然としすぎて)困難である場合は事前に呼んで置いたらいいような本、資料があれば教えてください。
(07/31/02)
青葉マーク1号:教員:40
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A |
「立山カルデラの体験学習会」ですか.いい天気に恵まれることを祈ります.実
は,昨年金沢で開催された日本地質学会の見学旅行に「立山カルデラ―新湯・砂防と
跡津川断層」コースがありました.この見学旅行は幸い好天に恵まれ,地形,地質,
鉱物,断層など様々な見どころを予定通り廻って大成功でした.やや専門的になりま
すが,そのコースの見学旅行案内書(赤羽久忠ほか著)があります.しかし,これは
同学会の他の10コースの見学旅行案内書と合冊になっていて,分売はできません.
合冊は若干残部があり,一般の方には\3,000でお分けしています.必要な場合は石渡
まで連絡して下さい.
その他に,次のような最近の書籍が参考になると思います.
「北陸の自然をたずねて」同書編集委員会編,築地書館,2001年,\1,800+税,立山
コースの詳しい解説とコラム記事があります.
「大地の記憶,富山の自然史」藤井昭二著,桂書房,2000年,\2,000+税.火山や氷
河地形について20頁にわたり解説.
「火山・立山大噴火」富山県「立山博物館」編・発行,1999年.直接博物館に問い合
わせて下さい.Tel.076-481-1216.
「1/10万富山県地質図・同解説書」藤井昭二ほか編図,富山県,1992年.\4,800程度
「1/20万地質図 高山」産業技術総合研究所.1988年,\2,200.
地質図は内外地図(東京)や関西地図(大阪)などで取り扱っています.
なお,立山は国立公園ですので,岩石や動植物の採取は原則として禁止されてお
り,例え学術目的の採取でも事前に管理事務所の許可が必要です.道に落ちている小
石を記念に拾ってくる程度なら問題ないと思いますが,露岩を破壊する行為は禁止さ
れています.立山は特に監視が厳しいのでご注意下さい.それから,立山カルデラ内
は地盤が悪くて非常に危険なため,一般人の入山は禁止されています.今回は学習会
の実施機関が事前に管理者の許可をとっていることと思いますが,必ずヘルメットを
着用し身の安全に十分注意して体験学習を行って下さい.
体験学習会が無事に成功し,大きな成果を得られるよう期待します.
(7/31/02)
石渡 明(金沢大学・理学部・地球学科)
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Question #2467
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Q |
以前、先生に次のような問題を出題されました。「関東ロームは( 1 )火山、( 2 )火山より噴出した火山灰の変化したものである。」この(1)、(2)に入る語句を教えてください。
(08/08/02)
お茶っ子:高校生:16
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A |
宿題はあまり安易にQ&Aに頼らず、自分である程度調べてみてこそ意味があります。
火山学会のQ&Aの検索では「関東ローム層」で引っかかります(198番目)。いろん
な検索機能のあるホームページ(例えばyahoo, http://www.yahoo.co.jp/やgoogle,
http://www.google.co.jp/など)でも「関東ローム層」が沢山見つかり、質問の答え
がすぐ見つかりますよ。
そして、さらに疑問がわいたら質問してください。
本屋さんでは、
「東京の自然史」 貝塚 爽平 著(紀伊国屋書店)
「富士山はなぜそこにあるのか」 貝塚 爽平 著(丸善)
「火山灰は語る」 町田 洋 著(蒼樹書房)
等もあります。
(08/08/02)
ホームページ管理者
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Question #2692
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Q |
火山ガス噴出に伴うSPM(特にPM2.5)の挙動について教えてください。当方、行政で健康問題に携わっています。火山ガスのなかで二酸化硫黄はぜん息患者の健康に影響しますが、PM2.5が関与するとより悪い結果になるといわれています。自分なりに探したつもりですが、火山のSPMに関する資料が手に入りません。ご助言をお願いします。
(09/18/02)
SHIROGISU:公務員:42
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A |
三宅島や桜島など,大量の火山ガスを放出する火山では火口からたなびいた火山ガ
スから白い霧が分離して降下する様子がみられることがあります.この霧は火山ガス
のSO2と空気中の水分が結合してできた,硫酸の微小液滴(SPM,エアロゾル)だと考
えられてい ます.
私はこれまで火山ガスの化学的な研究を行ってきましたが,火山ガスから発生する
エアロゾルについては研究の経験がありませんでした.日本では火山性エアロゾルの
研究があまり行われていません.ここでは若干の文献調査を行い,ご質問にお答えし
たいと思います.
巨大火山噴火により成層圏でエアロゾルが発生し気候変動が起きることなどについ
てはいろいろ文献があるようですが,SHIROGISUさんの質問を読むと,そのような全
地球的な現象ではなく,火山ガスが火口から放出された直後に発生するようなエアロ
ゾルのことをお調べになっているようです.そのような研究に関する日本語の文献と
して1)があります.この文献の著者の木下紀正氏は鹿児島大学の教授で,火山ガス
の拡散現象に関してご研究をされています.文献1)に載っているデータを解析する
と,火口から東方に4.6 km離れた山麓で,SO2濃度 X (ppb) とSPMの濃度 Y
(microgram/m3) に以下のような正の相関が見出されました.
Y = 0.3638 X + 39.12
この関係はあくまでも桜島で得られたものであり,普遍性があると断言できません
が,他の事例の目安にはなると思われます.ここでSPMは10ミクロン以下のものを観
測しています.
海外の研究として文献2,3)を見つけました.この二つの文献はイタリアのエト
ナ火山で,火口から出た直後の火山ガスを地上からリモートセンシングで観測した研
究です.これによると火山灰を含まない,白っぽい噴煙の場合,エアロゾルの平均半
径は約0.8ミクロンです.ただ,この平均値は,観測可能なエアロゾルの半径範囲,
0.35〜1.6ミクロンの範囲での平均値なので,これよりも大きな SPMが存在している
可能性はあります.また噴煙に時折火山灰が混ざり,色が黒っぽくなると1ミクロン
よりも大きな分割が増加するとのことです.観測を行った期間で,観測に引っかかっ
たエアロゾルの総放出量は,400〜700 (ton/day) と推定されました.前述したよう
に,このエアロゾルは硫酸の液滴からなると推定されています.この観測期間のエト
ナ火山からのSO2ガスの放出量が論文中で示されていないので,あいまいな比較にな
りますが,別の論文から推定すると,同時期のSO2放出量は約5000 (ton/day) です.
火山起源の硫黄成分のかなりの部分がエアロゾルとして運ばれていることになりま
す.お示しした論文は専門的な内容ですが,多くの参考文献が載っています.
以上,はなはだ不十分な回答ですが,私はSHIROGISUさんの質問に回答を考える過
程で, 火山起源のエアロゾル(SPM)の研究が不十分な段階にあり,火山ガスの研究
者として真剣に取り組まなくてはならない課題だと認識しました.火山Q&Aの回答
者をやっていて良かったと思いました.
文献リスト
1)木下,他(1999)桜島火山周辺におけるエアロゾルと火山ガスの高濃度事象の
解析,鹿児島大学教育学部研究紀要,自然科学編,50,p11〜
2)Watson,I.M. and Oppenheimer,C. (2001) "Photometric observations of
Mt.Etna's different aerosol plumes", Atmospheric Environment, vol.35,
3561-3572.
3)Watson,I.M. and Oppenheimer,C. (2000) "Particle size distributions of
Mount Etna's aerosol plume constrained by Sun photometry", Journal of
Geophysical Research, vol.105(D8), 9823-9829.
(09/30/02)
大場 武(東京工業大学・火山流体研究センター)
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Question #2689
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Q |
偏光顕微鏡を使用して、岩石の同定等を命ぜられました。何がどういう風にすればよいのか全くわかりません。花崗岩、安山岩、玄武岩くらいの説明をしなければなりません。なにかひんとをください。取り留めのない質問ですみません。
(09/17/02)
くずきり丸:アルバイト:30
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A |
あなたが偏光顕微鏡や岩石についてどの程度の知識と経験をお持ちなのかわからな
いので,具体的な指導はできませんが,大学で一通り偏光顕微鏡の原理を理解し,使
い方を覚え,岩石学の基本を学習し,岩石鑑定の実習を受けて,一応普通の岩石を同
定できるようになるまでには最短でも1年間かかります.大学の地学関係の先生と相
談し,「科目等履修生」として勉強させてもらうのが最も早道だと思います.岩石は
動物や植物と違い,それぞれの種類が固有の色や形を持つわけではないので,図鑑と
見比べただけでは同定困難な場合がほとんどです.従って独学での鑑定はどうしても
間違いが多くなりますが,それでもやってみようという場合は,次の書籍のうちのど
れかを購入し,よく読みながら勉強して下さい.いずれにしても,偏光顕微鏡で見る
岩石の世界は非常に美しくて奥が深く,単に「鑑定技術を身につける」以上の経験が
できると思いますよ.
「かわらの小石の図鑑. 日本列島の生い立ちを考える」千葉とき子・斉藤靖二東海
大学出版会,\2,500+税.
「岩石学I. 偏光顕微鏡と造岩鉱物」,「岩石学II. 岩石の性質と分類」都城秋穂
・久城育夫,共立全書.\2,300+税, \1,900+税.
「偏光顕微鏡と岩石鉱物. 第2版」黒田吉益・諏訪兼位,共立出版,\5,300+税.
「岩石学概論上. 記載岩石学.岩石学のための情報収集マニュアルCD-ROM付」周藤
賢治・小山内康人\3,700+税(最近「下」も出た).
「日本の岩石と鉱物」地質調査所編,東海大学出版会,\8,000+税(フルカラーの
美しい岩石・鉱物図鑑).
「日本の火成岩」久城育夫・荒牧重雄・青木謙一郎,岩波書店,\4,400+税,
「日本の変成岩」橋本三男,岩波書店,\4,000+税,
「日本の堆積岩」水谷伸治郎・斎藤靖二・勘米良亀齢,岩波書店,\4,500+税.
「新版顕微鏡観察シリーズ4. 岩石・化石の顕微鏡観察」井上勤監修,地人書館,
\3,000+税.
「偏光顕微鏡鉱物鑑定表・干渉色図表下敷き」石渡明・加藤丈典,日本地質学会,
\300(実際の偏光顕微鏡鑑定に便利).
(09/19/02)
石渡 明(金沢大学・理学部・地球学教室)
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Question #3842
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Q |
はじめまして、私は会社で地盤調査、地質調査を担当している者ですが、火山地形の中に、火山斜面、溶岩流地形、火山山麓扇状地と3つありますが具体的にどんな地形なのかを教えて下さい。
(02/09/03)
AC:会社員:23
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A |
はじめまして。
土木・建設業界では,学術的に定義されていない用語をその場の雰囲気で安易に使
う傾向があり,ACさんも同じギョーカイの方なので,ひょっとしてギョーカイ内に出
回っている報告書や文章をそのままお読みになって質問しているのでは?!とちょっと
危惧します。
「火山斜面」という言葉をいろいろ探してみましたが,明確に定義しているものはは
く,「火山斜面」という用語を用いている文献は見渡す限り「国土地理院発行,火山
土地条件図」だけみたいです。さらに,同じ火山土地条件図でも「火山斜面」という
用語を用いているものとそうでないものがありました(他にあったら教えてくださ
い) 。
火山土地条件図で「火山斜面」という用語を用いているものでは「1/50,000火山土
地条件図 十勝岳」があります。この「火山土地条件図 十勝岳」では,溶岩流や火
砕流など,地形の成因が明らかなものに対して「溶岩流地形」,「火砕流地形」な
ど, 地形の成因がわかるように名称を与え,それ以外の成因ははっきりしないが,
明らかに火山活動によって形成されたと判断できる開析段階の火山体斜面を「火山斜
面」として取り扱っているようです。
ですから,「溶岩流地形」は,溶岩流が流下することによってできた地形のこと
で, 溶岩じわ,溶岩堤防,溶岩側端崖,溶岩末端崖などの微地形が,航空写真判読
や現地 調査で明瞭にわかるものを指しています。
火山山麓扇状地は,火山体の浸食により供給された物質が火山のすそ野に扇状に堆
積してできた地形のことを指します。ちなみにギョーカイでは,火山の谷出口付近に
存在する扇状の平滑面で平均勾配1〜14°程度の地形のことを指していることが多い
ように見受けられます。
せっかくの機会ですので,ギョーカイ用語ではなく正しい火山用語を勉強されては
いかがでしょうか?以下の本が大変わかりやすく,私も時々使っています。
守屋以智雄(1983) 日本の火山地形.東京大学出版会
守屋以智雄(1992) 自然景観の読み方1 火山を読む 岩波書店
日本火山学会(1984) 空中写真による日本の火山地形
(04/28/03)
伊藤英之 (砂防・地すべり技術センター総合防災部)
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Question #4023
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Q |
歴史を専攻しているものですが、今思うに卒論を、火山の噴火というテーマにすればよかったと悔やんでおります。
歴史地理という観点からは言うにおよばず、文献史学という観点から噴火の歴史を体系的に論述できるのはいつの時代からですか。
伊藤和明著 「地震と噴火の日本史」 岩波新書
を読み、古代は日本書紀から現代に至っては言うにおよばず大量の記録に恵まれています。
特に古代、中世の噴火の記録についての史料の量はどの程度のものなのでしょうか。
(06/20/03)
山中 雅晴:学生:28
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A |
ご質問ありがとうございます.「体系的に論述」というのが,どの程度のものを指
しておられるのかよくわかりませんが,科学的視点からの分析にたえる噴火記録は,
一般的に言って飛鳥・奈良時代以降のものです.具体的には日本書紀のうちの7世紀
末以降のものに,そのような記録が出始めます.以後は日本三代実録まで続く六国史
に日本各地の噴火記録があり,中には相当具体的な記述をもつものがあります.その
ような記述と,火山山麓での地形・地質調査結果とをつき合わせることによって,噴
火の位置・規模・様相をつきとめた研究がいくつかなされています.
ただし,朝廷による国史編纂が絶えた9世紀末以降は,地方での火山噴火の記録が
激減します.これは六国史の終了にともなって地方の歴史記録の全体量が少なくなる
ためであり,実際の火山活動の消長とはほとんど無関係と考えられます.この点は火
山活動だけでなく,地震活動についても同様です.日本の火山のほとんどは,当時の
首都があった畿内から遠く離れていますから,地方の記録が減ることは,火山噴火の
記録そのものが減ることを意味します.
9世紀末以降の古代の噴火記録については,記録の量・質ともに六国史には及びま
せん.中世に入ると,たまたま運良く公卿・僧の日記や,寺社年代記等に記されたも
の以外の噴火記録は,見つけることすら困難になります.このような状態は,基本的
には近世初期まで続きます.
以上のように,現存する古代・中世の噴火史料はごく限られたものです.しかし,
地形・地質という別の詳細な「史料」がありますから,研究上まったく歯が立たない
というわけでもなく,限られた情報を総合して噴火を復元してゆく醍醐味がありま
す.歴史時代の火山・地震研究者が情報交換をおこなっている集まりを,以下に2つ
紹介させてください.
歴史地震研究会
http://sk01.ed.shizuoka.ac.jp/koyama/public_html/Shiryou.html
メーリングリスト「musha」
http://sk01.ed.shizuoka.ac.jp/koyama/public_html/musha/Welcome.html
なお,上記研究グループに属する方々の成果(ただし,近世と近代が対象)が,この
夏に国立歴史民俗博物館で開催される企画展「ドキュメント災害史1703-2003」で紹
介されます.
http://www.rekihaku.ac.jp/kikaku/index75/index.html
(06/26/03)
小山真人(静岡大学・教育学部・総合科学教室)
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Question #4179
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Q |
学校の先生に富士山は玄武岩質だと聞いたんですがでは何故富士山は楯状火山ではなく、形の綺麗な成層火山になったのですか??先生も分からなかったので教えてください。富士山の岩はどちらかというと玄武岩というよりは安山岩に近いのかな??という意見も出たのですがこれは正しいのでしょうか??
(08/24/03)
中本 伸志:高校生:16
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A |
一口に玄武岩と言っても,その粘性(ねばりけ)には幅があります.富士山は,たとえば1万年前ころのように,粘性が小さいために薄く広くひろがる溶岩
(パホイホイ溶岩と呼ばれるハワイでよく見られるタイプの溶岩)を大量に流出した時期もありましたが,その後はやや粘性を増したアア溶岩というタイプの
溶岩を多く噴出するようになりました.アア溶岩はパホイホイ溶岩に比べて厚く,火口からさほど遠方まで流れないため,火口付近を高くして山を成長させま
す.富士山の西側に切れ込む大沢崩れの断面を観察すると何十枚ものアア溶岩が積み重なっており,富士山が溶岩を流出しながら高度を増していった様子がよ
くわかります.パホイホイ溶岩やアア溶岩の写真や詳しい説明については,たとえば
http://www.edu.gunma-u.ac.jp/~hayakawa/fieldguide/book/073.html
http://www.edu.gunma-u.ac.jp/~hayakawa/fieldguide/book/072.html
をごらんください.ネット検索すれば他にも色々なページが見つかると思います.
(08/29/03)
小山真人(静岡大学・教育学部・総合科学教室)
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Question #5462
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Q |
初めて書き込みさせていただきます。宮崎県の小林市に住んでますので、小説『死都日本』を読んで以来、周りの地形を見るようになりました。
そこで、お尋ねしたいことがたくさんあるのですが、とりあえず幾つか質問させていただければと思います。
人吉盆地は、火山地形ではないようですが、どうやって出来たのでしょう。過去のお答えを拝見していると、「鹿児島地溝」というものらしいですが、それは霧島から国分にかけて緩斜面が存在し姶良カルデラの壁が判らないのと同じなのですか? とすると、小説のような大爆発があり、何らかの要因が重なると、霧島も鹿児島湾と繋がったりするんでしょうか。運がよければ(?)かなり後の時代、人吉まで海になったりするとか。考えすぎですか。
姶良と阿多の両カルデラの間は、火山に起因したものではないということですが、それでも大隈半島の高隈山地が中央火口丘で……、と考えると面白いのですが、高隈は火山地形なのでしょうか?
小説で、鹿児島湾を失踪する火砕流のシーンがありましたが、あんな事件があった場合、その後鹿児島湾はどうなってしまうのでしょう。イメージ的には軽石で姶良カルデラが埋まってしまうように思えますが、いずれ外洋に流れ出し、錦江湾は元の姿を保つものなんでしょうか。
小説に則した質問になってしまい、大変申し訳ありません。
(03/14/04)
小林市のにわか火山ファン:社会人:32
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A |
「死都日本」は,火山学的にみてもよくできた小説です.あの小説がきっかけで,地形をよくみるようになったというのはすごいですね.作者の石黒さんも
喜んでいらっしゃると思います.さて,ご質問について一緒に考えてみましょう.
人吉盆地は,鹿児島地溝の北の終点と考えられていますが,その成因についてはよくわかっていないところがあります.人吉盆地に堆積している地層は,古
いものほど大きく傾いていますから,この盆地が激しい地殻変動を受けながら形づくられてきたことは間違いありません.人吉盆地の南東縁には活断層の存在
も指摘されています.これらのことと人吉盆地内で火山活動があったという証拠がないということから,人吉盆地は,断層運動によって相対的に落ち込んでで
きた盆地(構造性盆地)であると考えられています.しかし,どうしてあそこに構造性盆地があるのかはよくわかっていないのです.宮崎県の都城盆地も人吉
盆地と同様に成因がよくわかっていない盆地です.
人吉盆地よりも南にある,加久藤盆地の中,すなわち加久藤カルデラの中は数100mに達する厚い堆積物で埋積されていますが,いずれも湖に堆積した地
層で,海が入ってきたという証拠はみつかっていません.加久藤盆地は加久藤火砕流の噴出以降,数十万年以上にわたって鹿児島湾と通じたことがなかったよ
うなので,これから先もそれくらいの期間は海が深く入ってくることはないでしょう.
大隅半島の高隈山は大箆柄岳を主峰としたいくつかの山の総称で,日本のブナ林の南限として知られています.高隈山系は,今から1200万年前くらいに
できた花崗岩とその熱に焼かれて堅くなった堆積岩でできています.熱で堅くなってしまった堆積岩をホルンフェルスといいます(それぞれの岩石がどんなも
のかは,お近くの図書館で地学事典などを見て調べてみて下さい).大箆柄岳などのピークのほとんどは堅いホルンフェルスが浸食に抵抗して残ったもので
す.ですから,高隈山は火山が作った地形とは言えません.鹿児島地溝の形成に関与した可能性が指摘されている最も古い火山噴出物の年代は300万年前く
らいと考えられています.
大規模火砕流の後の鹿児島湾については難しい質問ですね.専門家でも意見が分かれるかも知れません.気候変動に伴って海水準も変化していますから答え
は単純ではありません(たとえば,入戸火砕流が噴出したころは今よりも海面が100m以上下がっていたことが知られています.単純に100m海面を下げ
ると鹿児島湾はかなり浅くなり,一部は干上がって外洋と分離されます)が,現在の状況で大規模火砕流が鹿児島湾を走ったとすると,その後はどうなってい
るでしょうか?
私自身は水面を軽石で覆い尽くされた,やや浅くなった鹿児島湾が残っていると思います.陸上部は厚い火砕流堆積物で埋め尽くされますが,海域部では,
摩擦が少ないために,火砕流の大部分は駆け抜けてしまうと思います.とはいえ一部は海中に入り,堆積すると思われます.海中に入った火砕流の細粒部分
は,そのまま海底に沈みますが,軽石はプカプカ浮いて海面を覆い尽くすでしょう.鹿児島湾で行われた音波探査などでは,鹿児島湾の底に古い時代の大規模
火砕流堆積物が何層もあることがわかっています.また,鹿児島湾の北岸,国分市や姶良町周辺では,古い時代の鹿児島湾に堆積したと考えられる水中堆積の
火砕流堆積物を観察することができます.大規模火砕流といえども,そう簡単に海を埋め立てることはできないようです.そう考えると,あっという間に埋め
立て地を作ってしまう人間はすごいですね.
(03/29/04)
井村隆介(鹿児島大学・理学部・地球環境科学科)
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Question #5414
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Q |
はじめて質問します。
私は宮崎県の出身です。理科の教師を目指していることもあり、大学のお正月休み中に前から気になっていた地元の“大崩山・行縢山・可愛岳”の形成について調べることにしました。しかし、地元の図書館に行ってもそれほど多くの資料もなくインターネットで調べても得たい情報が得られません。ぜひ、私の質問にお答え下さい。
1.花崗岩と花崗斑岩とはどうちがうのですか?
2.花崗岩の貫入により大崩山が形成されたのち、花崗斑岩の貫入によって行縢山・可愛岳などの環状岩脈(リングダイク)が形成されましたが、その形成について調べていたら1種のカルデラであると出てきました。阿蘇のカルデラは負の重力異常により形成されたカルデラであるが、大崩山のカルデラは正の重力異常により形成されたカルデラで“バリアス式カルデラ”とも呼ばれるとも書かれてありました。このバリアス式カルデラとは一体どんなものなのか、またどのように形成されるのかいまいち分かりません。あるものにはカルデラの落下を引き起こした円筒形の断層に、マグマが進入して環状岩脈ができたとも書かれてあり、一体どうなっているのかさっぱりです。
3.大崩山はすべて花崗岩ではなく、途中8合目辺りから四万十地層がありますが、これは四万十地層群が始めあった所に花崗岩が貫入したからこうなったと考えてよいのでしょうか?
ぜひ、教えてください。
(01/12/04)
さくら:高校生/大学生:18
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A |
まず入手可能な日本語の文献として以下のものがあります.
(1) 高橋正樹著「花崗岩が語る地球の進化」シリーズ自然史の窓7 岩波書店(1999)
147P:一般向けの本で第4章「花崗岩が生まれた現場を歩く」で大崩山花崗岩の解説がしてあります.大きな図書館に行けばこのシリーズの本は置いてあ
ると思います.
(2) 奥村公男・酒井 彰・高橋正樹・宮崎一博・星住英夫 著 地域地質研究報告
5万分の1地質図幅「熊田地域の地質」工業技術院地質調査所(現・産業総合研究所) (1998) 100p:詳しい地質解説と地質図がついています.
質問1:花崗岩は粗粒等粒状(鉱物の粒が粗くて大きさが同じくらい)ですが,花崗斑岩は大きな結晶(斑晶といいます)とその間を埋めたやや細粒の結晶
(石基といいます)からなります.斑状なので花崗斑岩といいます.花崗岩とくらべて,より急冷した条件下でマグマから結晶化した岩石です.
質問2:カルデラは地形的な用語なので,地形的にへこんでいないと使えません.カルデラのうち陥没カルデラの仲間にバイアス(Valles)型カルデラ
というのがあります.バイエス型とよぶこともありますが,もともとスペイン語なのでバイアスが最も原語読みに近いと思います.バリアスではありません.
バイアス・カルデラはアメリカ合衆国西部にある大規模なカルデラで,環状の割れ目に沿ってカルデラの内側がピストンシリンダーのようにスポッと抜けたよ
うに陥没したカルデラであると考えられています.環状割れ目からは陥没の後に溶岩ドームが噴出して,やはり環状に並んで配置しており,地下では環状の岩
脈を形成していると考えられています.こうしたカルデラが後の時代に隆起浸食を受けると,山岳地帯にカルデラの地下構造が露出するようになります.こう
したカルデラの地下構造は陥没構造はありますが全体としては隆起して山を作っているので,地形的なカルデラとはよべません.そこでこうしたものをコール
ドロンとよんで区別することが一般的です.大崩山岩体の環状岩脈はこうしたコールドロンの一部を構成しています.バイアス型カルデラは負の重力異常を示
しますが,過去のカルデラであるコールドロンはカルデラを埋めた軽い堆積物が失われていることが多いので,必ずしも負の重力異常を示すとは限りません.
ただし,現在の大崩山花崗岩付近は負の重力異常を示しています.これは花崗岩体が周囲の岩石よりも軽いためと思われます.大崩山岩体では,最初に花崗斑
岩が貫入し,最後に花崗岩体が貫入しています.花崗斑岩の環状岩脈が後ではありません.
質問3:その通りです.よく観察していますね.大崩山では花崗岩体の水平な天井部がよく残されています.四万十層の堆積岩中に頭部の平たい花崗岩体が貫
入したためにこうした構造が残されているのです.ここでも堆積岩よりも花崗岩が後から貫入しています.
(1/13/04)
高橋正樹(日本大学・文理学部・地球システム科学科)
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