トピック項目表示
QA番号順表示
小中学生から多い質問
「Q&A火山噴火」
に寄せられた意見集
VSJ HOME
Jan. 2012. The Volcanological Society
of Japan.
kazan-gakkai@kazan.or.jp
|
情報源
火山学者になる |
|
Question #267
|
Q |
こんにちは。僕は中学3年生です。
理科の自由研究で、火山の事を調べました。
その時、火山にすごく興味を持ちました。
将来、火山学者になりたいと、今も思ってます。
それで、火山学者になるには、どんな道を歩めば
立派な火山学者になる事が、出来るのですか?
火山に直接関係の無い質問ですいません。
(9/3/99)
一中3年生:学生:14
| |
A |
将来、火山学者になりたいと思っている中学生がいることは、火山の研究者の一人
としてたいへんにうれしく思います。火山学者というのは、最初はみんな火山に興味
を持つことから始まって、勉強を続けていった人ばかりなので、あなたも十分になれ
る可能性があると思います。まずあなたが、火山のどのようなことを知りたいのかを
、明確にしてみてはどうでしょうか。それに従って必要な知識とか概念とかを勉強し
てゆくことが、最も近道だと思います。日本や世界の火山を知るために、火山学会の
ホームページにリンクされている火山のサイトを追いかけてみるのは、居ながらにし
てできる簡単な方法です。次に、本を読んで火山について知るというのが、最もオ
ーソドックスな勉強法でしょう。以前にもこの欄で紹介したことがあるのですが、火
山に関する内容を含んでいて、とてもわかり易く書かれており、最先端の学問をきち
んと踏まえている良い本を3冊紹介しておきます。
「火山と地震の事典」、藤井敏嗣・著、大日本図書、てのり文庫534、580円。
「火山の話」、中村一明・著、岩波新書、黄版35、580円。
「地震・プレ−ト・陸と海」、深尾良夫・著、岩波ジュニア新書92、631円。
さらに実際に火山を訪ねて行き、直接自分の目で見るというのが、とても大事だと
思います。何でもそうですが、本を読んで調べたりした後に、本物を見に行くとす
ごく実感がわいてきます。そして次々と新たな疑問点も出てきて、もっと調べてこれ
らを明らかにしたいと思うようになります。こうして火山の勉強がどんどん進んでゆ
くし、第一こういう作業はとても楽しいものです。初めて火山を見に行くときには、
築地書館から現在順次刊行されている「高橋正樹・小林哲夫編、フィールドガイド・
日本の火山」のシリーズが便利でしょう。地域ごとの分冊になっていて、どこに行け
ばよいかが地形図の上に示されているので、参考になると思います。
火山についての勉強は、中学校では「理科第2分野」で、また高校では「地学」で
すると思います。現在、高校の地学は選択制になっているかと思いますが、あなたの
進学する高校で開講されていたら、是非受講してみると良いと思います。また、さら
に将来大学で火山学を勉強していこうとすれば、地学に関連する学科や専攻(地球科
学・地球惑星科学・地質学・地球物理学・地球化学)のあるところへ進学するのがよ
いと思います。ただし火山を専門にしている教員がいる大学は限られていますので、
本屋さんで大学案内を調べたり、火山学会のホームページにある「全国の地球科学関
係(研究所,教室)」なども、参考にしてみてはいかがでしょうか。また、火山とい
うのは国境を越えて共通する自然現象なので、火山学は国際的に通用する学問です。
従って、中学・高校・大学を通じて言えることですが、英語の勉強をしっかりしてお
くと色々なところで役に立つと思います。例えば、将来外国で噴火が起こった時に、
あなたが調査に行くことになるかもしれません。是非、英語に関しては、読む・書く
だけでなく、聞く・話す能力も身につけるようにして下さい。
火山を専攻することになったら、是非日本火山学会に入って下さいね。学会の後で
開かれる火山巡検(みんなで野外に出て火山を見に行く小旅行)にも参加することが
できます。実際に火山を見に行って色々と疑問が出てきたら、Q&Aのコーナーにまた
質問を寄せて下さい。若き火山学者の誕生を楽しみにしています。
(9/13/99)
鎌田浩毅(京都大学・総合人間学部・地球科学)
| |
Question #1312
|
Q |
火山に関する質問ではないので恐縮ですが、
火山学をやるために物理と化学は必要なのでしょうか?
ぶしつけな質問でごめんなさい。
(12/07/00)
syuji:学生:15
| |
A |
火山学とは、「火山」という対象をさまざまな分野(地球物理学、地球化学、地質
学、岩石鉱物学、気象学、天文学、など)から研究する学問です。人間生活と強く関
わる火山災害を含めると、工学、環境学、心理学、社会学、法律学、などの分野もあ
ります。火山現象を科学的に理解しようとするには、当然、物理・化学的な基礎力が
不可欠です。火山と人間との関わりについての仕事や研究を行う場合においても、物
理や化学に基づく理科知識や思考力は絶対に必要です。将来、火山に関係した研究や
仕事をしたいという希望があるなら、高校で、物理や化学の少なくともひとつは選択
しておきたいですね。
(12/07/00)
中田節也(東京大学・地震研究所・火山センター)
|
|