火山学者に聞いてみよう -トピック編-  

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「Q&A火山噴火」 に寄せられた意見集


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Jan. 2012.

The Volcanological Society
of Japan.

kazan-gakkai@kazan.or.jp

身近の火山:九州・南西諸島

小林カルデラ


Question #899
Q 九州の小林カルデラについて、その推定範囲と活動時期、カルデラからの噴出物質その他、今までに得られている知見について教えて下さい。火山学会の第四紀火山カタログでは、加久藤カルデラとあわせて取り扱っていますが、本来これらのカルデラは同じものなのでしょうか。 (08/21/00)

棚橋道郎:団体職員:52

A
 小林カルデラは,田島・荒牧(1980:地震研彙報)によって-15mgalに達する重力 異常の存在とその周辺に分布する火砕流堆積物の存在から提唱されたものです.外形 は,小林市北西部を中心とした直径18km程度のものが推定されています.小林火砕流 は,南九州では珍しく,黒雲母斑晶を特徴的に含んでいます.この火砕流の噴出年代 は,それと同時の火山灰の層位から,50数万年前と推定されます.
 火山学会の第四紀火山カタログを作成された方が,どういう理由で小林カルデラと 加久藤カルデラとをあわせて取り扱ったのかわかりませんが,小林カルデラはその後 に噴出した加久藤火砕流や入戸火砕流に厚く覆われていて,実際のところ,よくわか っていないのが現状です.小林カルデラの重力異常は,加久藤カルデラのそれ(- 10mgal)とは明らかに異なった目玉を描いていますから,この2つのカルデラは同じ ものではなく,隣接した2つのカルデラと考えた方がよいような気もします.同じよ うに隣接して大きなカルデラを作っているものに北海道の屈斜路カルデラと摩周カル デラがあります. (8/31/00)

井村隆介(鹿児島大学・理学部・地球環境科学科)