竹山は確かに変わった形の山ですよね.3月に近くまで行きましたが,海岸へりにぬ
っと烏帽子のように立っている姿はとても印象的です.この山はどうやってできたん
だろうと不思議に感じられるのも当然でしょう.
さて,トロイデ,コニーデなどの言葉は,20世紀の始めごろドイツ人のシュナイダー
が,火山を地形で分類した言葉です.簡単に言うと,トロイデは釣鐘のような,急傾
斜で上に凸の山腹を持つ火山,コニーデは富士山のような円錐形で,上に凹な山腹を
持つ火山のことです.シュナイダーの分類には,他にもアスピーテやホマーテなどが
あり,学校の地理の授業で習った方も多いのではないでしょうか.ところが現在では
日本や世界の火山研究者の間では,使われていないのです.理由の一つには,火山を
外形だけで分類しているので,実際の内部構造や発達成長史を反映していないことが
あります.そのため現在では,構造や成因を反映した,成層火山や溶岩ドーム,盾状
火山という言い方を使うようになっています.おおまかには,トロイデは溶岩ドーム
,コニーデは成層火山に相当しますが,実際には異なることがよくあるので,できれ
ばシュナイダーの分類は使わないほうが良いかと思います.
さて肝心の竹山です.正確な年代はわかっていませんが,これは古い火山のマグマの
通り道が,硬いために侵食に耐えて残ったものと考えられています.こういうものを
,火山岩頸(かざんがんけい)と呼びます.竹山は,もとは地下にあったものが,今は
侵食されて地表に飛び出しているように見えるわけです.
(6/05/00)
川辺禎久(工業技術院・地質調査所・火山地質)
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