>>石川と富山県境の医王山の火山記録について。医王山は火山とききました
が、過去の噴火はどのような噴火だったのでしょうか。?
(答え)流紋岩質の溶岩と火山灰を噴出する激しい活動でした。
>>火砕流、火山灰、溶岩流などの過去の記録として残る、現存の火山活動の跡
は、どのようなところにあるのでしょうか。
(答え)医王山全体が火砕流や火山灰、溶岩流などでできています。夕霧峠に
は流紋岩溶岩が見られますし、黒瀑山周辺には黒曜岩ないし真珠岩の溶岩がみ
られます。しかし、最も量が多いのは、火山灰や軽石が降り積もった流紋岩質
凝灰岩で、夕霧峠から石川県側へ下る林道沿いによく見られます。医王山累層
と呼ばれるこの火山岩の地層の厚さは1000m以上あります。
>>また、石川県側から登った時、奥医王山頂までの小さなピークに小さな池が
いくつかありましたが、これは火口湖と考えていいのでしょうか。
(答え)これらは火口湖ではないと思います。医王山の火山活動が起きたのは
1500万年程度前で、既に火山体は深く浸食され、もとの火山地形をとどめ
ている所はどこにもありません。
>>富山県側の医王山北西部ふもとに「桑山」という小さな山がありますが、
小矢部市南部からみると側火山(寄生火山)の痕跡に見えるのですが、それと
もただの山でしょうか?
(答え)「桑山」というのが地図に載っていないので、どの山かよくわかりま
せんが、上の答えと同じ理由で側火山ではないと思います。そもそも、現在の
医王山の山頂付近が火山体の中心であったかどうかはわかりません。
>>石川県側の戸室山にいくつか池がありますが、これは前述したような火口湖
と考えていいでしょうか?
(答え)戸室山とキゴ山は比較的新しい火山で、清水他(1988)の年代測定によ
ると43-61万年前とされています。そして、戸室山は2〜5万年前に大崩壊し
て、周囲に岩屑流(岩なだれ)を押し出しました。市営放牧場や金沢ゴルフ場
付近の池の一部は、この岩屑流にせき止められてできたものかもしれません。
しかし、見上峠や医王の里付近の池は、南北方向の活断層の運動に関係してで
きた可能性があります。個々の池について詳しく調べたわけではないので、上
で述べたことはあくまでも全体の地質からみた推論です。
(10/21/97)
石渡 明(金沢大学理学部)
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