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小中学生から多い質問
「Q&A火山噴火」
に寄せられた意見集
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Jan. 2012. The Volcanological Society
of Japan.
kazan-gakkai@kazan.or.jp
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身近の火山:北関東・甲信越地方
八ケ岳 |
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Question #413
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Q |
中学生対象の八ヶ岳登山のしおりをつくっています。八ヶ岳形成の過程を分かりやすくまとめたいと思ったのですが、いろいろな学説が目に入ってきて困っています。特に古八ヶ岳が形成された後、浸食期を経て更新世末期から新八ヶ岳形成期に入る、といった点は共通のようなのですが、現在の赤岳、権現、横岳、阿弥陀、硫黄、天狗、縞枯山、北横岳といった山々の形成について分かりやすくお教えください。
(02/27/00)
塚田智彦:教員:54
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A |
御質問の山々は、まず大きく2グループに分けて考えられます。現在の赤岳、権現
、横岳、阿弥陀、硫黄といったいわゆる南八ヶ岳の東側ピーク群は、必ずしも火山活
動の噴出中心を代表しません。ご理解の通り、長い浸食期に大きく元の火山の地形が
変化しており、浸食で残された高まりそれぞれに山としての名前がついています。こ
れらの山々は、古八ヶ岳期に形成された成層火山列の稜線部にほぼ相当すると考えら
れ、主に安山岩質の溶岩流と火砕物からなります。
一方、(西)天狗岳、縞枯山、北横岳など、北八ヶ岳のピークの多くは、総じて南
よりも活動年代が新しいため良く火山地形を残しており、北横岳などは火口も良く残
っています。これらのことからもわかるように、ピークのそれぞれがほぼ噴出中心に
対応しています。すなわち、多くは安山岩〜デイサイト質の溶岩ドームまたは厚い溶
岩流の最高地点が現在の山になっています。活動の位置が古期山体稜線よりも西側の
斜面にずれたため、標高は南よりも低く、新しい噴出物は主に西側の蓼科高原側に分
布しています。
より詳しい形成史を知るためには、個々の火山活動の年代を調べる必要があります
。しかし特に北八ヶ岳は年代が若いのでK-Ar法が使いにくいこと、八ヶ岳起源のテフ
ラ(軽石や火山灰)がほとんど同定できていないこと、などの理由から、活動年代は
まだあまり良くわかっていません。
(3/4/00)
中村美千彦(東京工業大学・大学院・理工学研究科・地球惑星科学)
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