1.磐梯山が、もうすぐ噴火するというのは本当ですか?
磐梯山は2000年の8月15日には、400回を超える微小地震が発生しました。
このため、気象庁から臨時火山情報が出されて、警戒を呼びかけました。この地震活
動は次第に収まって、現在は静穏に戻っています。
磐梯山は明治21年に噴火をして、小磐梯山が崩壊し、死者461をだしたことから
もわかるように活火山です。日本にある20の活動的な活火山のひとつで、気象庁な
どで火山のようすを常に監視しています。
こうした活火山の地下にあるマグマは時々活発になって、地震活動が活発になる、噴
煙が活発になる、そして噴火活動をする、などをくり返しています。マグマが活発に
なっても、そのすべてが噴火をするわけでなく、噴火までにはいたらないで活動が収
まることもあります。磐梯山の一昨年の夏はそうした活動と考えられています。
このように活火山であれば噴火活動をくり返すのですが、いつ噴火をするかについて
正確に予想するのは、現在の科学技術からは困難です。しかし、常に観測をしている
ので、そろそろ噴火するかも知れないと予想される時は、一昨年のように、警戒情報
を出して、注意を呼びかけることにしています。
現在の磐梯山のようすからは、今日と明日とか噴火をすることはありません。
2.磐梯山は、どのようにして山になったのですか。
火山は地下のマグマが上昇すると、噴火活動をして、溶岩、火砕流、火山弾、火山灰
などを火口のまわりに噴出させます。これが長い期間くり返されると、噴出したもの
が火口を中心に積み重なっていって、円錐形の成層火山として成長していきます。磐
梯山は今から90万年前から噴火を開始して、活動をくり返して、現在のような成層
火山に成長しました。
成長した火山は、地下のマグマの活動が衰えると、マグマを地表に噴出せずに、水蒸
気などの噴気だけが出ることが多くなります。そうした時期になって、地下にたまっ
たガスが突然放出すると、爆発性が強い大規模水蒸気爆発となって、火山の山体が大
崩壊したりします。磐梯山の明治21年の噴火はこうした活動でした。
このほかにも、成長の止まった火山は水の浸食などで次第に山体が削られて、かつて
の大きな成層火山もやがてはその山体は失われていきます。
火山はマグマが噴火活動をくり返して成長し、マグマが衰えるにつれて、やがてその
火山としての地形は失われます。
(08/24/02)
中村洋一(宇都宮大学・教育学部・地学教室)
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