火山学者に聞いてみよう -トピック編-  

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「Q&A火山噴火」 に寄せられた意見集


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Jan. 2012.

The Volcanological Society
of Japan.

kazan-gakkai@kazan.or.jp

身近の火山:東北地方

蔵王・御釜


Question #1575
Q 今度野外活動で山形蔵王に行くのですが、なぜ御釜には水がたまって、水の色が緑色なのでしょうか??火山となにか関係があるんですか?教えてください。
あと御釜について色々教えてください (02/17/01)

寺岡中学1年M、S:中学生:13

A
 御釜はまさに火山活動によって形成されたものです。今から1000〜2000年前の噴火 よってできた窪地(火口)に水が溜まってできたと考えられています。溜まった水 は、地下から沸きあがってきたもの、雨水、雪解け水が集まったものです。御釜の湖 水が緑色であることの理由は、やさしそうで難しい問題です。湖水の色は、含まれて いる物質の色、その数、あるいは周囲の風景の色などによって決まります。御釜の場 合、酸性度が強くて、緑色の藻などは多く棲んでいないでしょう。また、御釜の周り は黒色、褐色、赤色などの岩でできていますから、その色が反射して緑色に見えるこ ともないでしょう。そうすると、含まれている物質(20マイクロメートル以下の非常 に小さいもの)の数によると考えるのが適当なようです。数が少なくてとても透明度 が高いと青く見えます。それよりも透明度が少し低いため緑色に見えるのではないで しょうか。御釜はこれまでに何回も噴火を繰り返しています。その活動が活発化する ときは、湖水の色も地下から沸き上がってきたイオウなどのために乳白色になった り、様々な変化が見られます。
 御釜の周りは、夏でも白っぽいく見えます。近づいてみると白いものは雪ではな く、粘土質の物質です。これは、明治28年の噴火のときに、湖底に溜まっていた泥が 撒き散らされたものと考えられています。また、御釜の東方には、御釜より少し古い 時代にできた火口跡も見られます。注意して見てください。 (02/19/01)

伴 雅雄(山形大学・理学部・地球環境)


Question #1778
Q 仙台市近郊の太白山は、富士山のような独特の山容や、山頂東側に大規模な柱状節理が存在しています。これは大昔の太白山の火道へのマグマの貫入、あるいは溶岩ドーム成長で形成されたと聞きましたが、実際これらはどのようなケースで形成されたのでしょうか?
また、仙台北方には泉ヶ岳や七つ森、山形県境の面白山、船形山などの火山が存在しますが、太白山を含め、これらはひとまとめの火山群としてとらえるべきなのでしょうか?それとも蔵王や鳴子などの延長として扱うべきなのでしょうか?作並や秋保、定義など温泉の多さも気になってしまいます。拙い質問ですが、ご回答いただければと思います。

(06/30/01)

鳥の海:会社員:43

A
 太白山は、約8百万年〜5百万年前にマグマの活動によって形成されたもので、マ グマが地表付近で固まって生じたものと考えられています。柱状節理はマグマが固結 する際に冷却収縮して生じたものと思われます。太白山の富士山のような形は、中心 部に硬い円柱状の火山岩があり、その周囲がより柔らかい堆積岩があっために、侵食 に対する強さが異なってできたものと考えられます。


 ここにあげられた山々は確かにいずれも火山岩からなりますが、それらの形成され た時代が異なり、これらをひとまとめの火山群と考えることはできません。約8百万 年〜5百万年前にできた太白山、約3百万年前〜2百万年前にできた面白山・七つ 森、そして約2百万年〜百万年前にできた船形山・泉ヶ岳があります。特に中央蔵王 を形づくっている蔵王火山や、鳴子火山の活動はこれらよりも概して新しく、百万年 前以降に活動したと推定され、歴史時代の活動記録も残されています。


 作並、秋保、定義などの温泉と、これらの火山岩の分布とが関係があるという確か な証拠はありません。むしろ、これらの温泉は、約8百万年前から5百万年前にかけ て形成されたカルデラの分布と密接な関係がある様です。
 (07/02/01)

吉田武義(東北大学大学院・地球物質科学,地殻化学及び火山体地質学研究室)