火山学者に聞いてみよう -トピック編-  

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「Q&A火山噴火」 に寄せられた意見集


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Jan. 2012.

The Volcanological Society
of Japan.

kazan-gakkai@kazan.or.jp

身近の火山:東北地方

月山


Question #2262
Q はじめまして。月山、鳥海のふもとに住んでいるものなのですが見上げる山についてその形成の過程を知りたく思い投函させていただいた次第です。月山は現在の山頂部から西に大きく崩れて旧山頂部が消失した成層火山であるように見えます。また鳥海山も北側に大規模な山体崩壊を思わせるカルデラが見られます。資料をみて勉強もしたのですがいまいち昔の姿が想像できません。これらの山が最大であったときはいったいどのような姿をしていたのでしょうか?また月山は死んでいるという話を聞きますが死んだ山とはいえ、かつてマグマの上昇を許したプレートの弱い部分であるはずです。今後その場所で再びマグマの上昇が起こることはないのでしょうか? (05/28/02)

中野:学生:21

A
 まず鳥海山についてですが、火山の層序を基に復元してみますと、最大時には現在 よりも山頂がやや高く、今よりもさらにきれいな円錐形をしていたと考えられます。 約50万年前にそのような姿だったと考えられます。月山の最大の地形的特徴は、山頂 部から北西に開く崩落型のカルデラといって良いでしょう。ご指摘のように、これは 旧山頂部が崩壊した結果でき上がったものです。このほかにも大小様々な規模の崩落 の痕跡が認められます。一方、月山は山体のほぼ中央を北北西〜南南東に走る断層上 に噴出しており、形成後この断層の運動によって東部が相対的に約 300 m盛り上がっ たものと思われます。さらに、月山には複数の噴火口が存在していたことが推定され ています。よって最大の時の姿を復元するのは難しいのですが、やや強引に想像して みますと、最盛期には現在の山頂のやや西方に幾つかの小高い山頂を持ち、その付近 から全方向になだらかな裾野を持つ山容だったのではないかと考えられます。月山の 最後の噴火活動は約30万年前です。また、山体は大規模な断層によって断ち切られて います。よって月山をもたらした地下のマグマは既に冷え固まっている可能性が高い と思われます。新たなマグマが上昇してくる可能性は否定できませんが、現在のとこ ろ全くそのような兆候はありませんので安心してください。
 (06/06/02)

伴 雅雄(山形大学・理学部・地球環境) --