火山学者に聞いてみよう -トピック編-  

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「Q&A火山噴火」 に寄せられた意見集


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Jan. 2012.

The Volcanological Society
of Japan.

kazan-gakkai@kazan.or.jp

身近の火山:北海道・千島

昭和新山


Question #388
Q 先日受けた地学のテストで昭和新山は鐘状火山ということでした。
しかし、以前地理では火山岩尖ということで習いました。
そこでいろいろな書物を調べてみたのですが、地学関係の書物では鐘状火山、
地理関係の書物では火山岩尖ということになってしまいました。
地学と地理では定義の説明が違うのでしょうか?
またこの二つの違いはどこにあるのでしょうか? (01/26/00)

星河:高校生:17

A
 「鐘状火山」は溶岩円頂丘(溶岩ドーム)のことで,最近ではほとんど用いなくな っている言葉です.これはもともと釣り鐘のような形をした溶岩地形に対して用いら れた言葉です.それに対して,「火山岩尖」というのは,鳥のトサカや塔のように, 先が尖った形をなす溶岩地形に用います.後者は,ほとんど固結しかけた(粘り気の 高い)溶岩が火口に押し出されてできたものです.昭和新山はでき方だけから言うと 火山岩尖に近いものですが,昔の地表の堆積物を頭にそのままのせており,地上に露 出した溶岩部分がほんの一部です.昭和新山は火山学的に正確にいうと,潜在(せん ざい)円頂丘(潜在ドーム)というものです.地表までたどり着けなかった溶岩ドー ムというわけです.またまた用語が増えて申し訳ありませんが...(*_*;;)
 地学と地理で使う言葉が違うのは,残念ながら,「教科書」を執筆した先生や教え る先生に認識の違いやいくぶん誤解があるのだと思います.でも,地学・地理の地形 や現象に関する言葉の定義はあまり本質的なことではなく,最も端的な共通の言葉で ,観察される現象をほかの人にいかに伝達できるかという立場で設定されていると考 えて下さい. (1/26/00)

中田節也(東京大学・地震研究所・火山センター)