火山学者に聞いてみよう -トピック編-  

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「Q&A火山噴火」 に寄せられた意見集


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Jan. 2012.

The Volcanological Society
of Japan.

kazan-gakkai@kazan.or.jp

身近の火山:北海道・千島

十勝岳


Question #127
Q 北海道十勝岳の62/2火口の噴煙が垂直方向では無く火口一帯に滞留したり、泥流地帯に沿ってたなびいたりする傾向がこのところ目立っています。風が無いときでもこのような傾向が見られ、山腹ではダケカンバなどの樹木が立ち枯れのような状態になっています。また、友人が最近撮影した写真では、火口の周囲に黄色の硫黄がかなり付着しているのがうかがえます。山腹の十勝岳温泉凌雲閣では、このようなケースは昭和63年から翌年にかけての噴火やその前の62の2火口ができた噴火の際にも見られたとのことです。月末には旭川気象台が定期観測をする予定だそうです。前回の噴火からほぼ10年、徐々にエネルギーが貯まって来た証拠という指摘もあるようです。今後動きがあるとすればどんなことが考えられるでしょうか。これだけのデータで何かを語っていただくのは難しいかもしれませんが、御意見を聞かせていただければ幸いです。なお、火山性微動や有感地震などは格別な変化がないということです。 (9/22/98)

コバ:会社員:46

A
 ご指摘の現象は,気象台や北海道大学でも把握しております.表面現象のこ うした変化は,火山の熱的活動が高まりを示している可能性があります.前回 (10年前)の噴火では,この他に,噴火の数年前から62-1火口(62-2火口に隣 接)からの熱泥の噴出,低周波地震や火山性微動の頻発,直前には有感地震の 発生がありました.今後,これらの現象が確認されたら,噴火に対してさらに 要注意となりそうです.
 10年前の噴火は規模が小さく,冬季に発生したにも関わらず幸いにして泥流 等の災害には至りませんでした.噴火が小規模で終わったことから,十勝岳は 前回の噴火の際,それまで蓄積されていたエネルギーをすべて放出し尽くして はいなかったという見方があります.そうであれば,十勝岳は前回の噴火以 降,いつ活発化しても不思議ではなく,その際に前回以上の規模の噴火をする 可能性もある状態にあった,と考えることもできます.
 今後については,観測に携わる側としては,まず観測・観察される事実(デ ータ)をよく注意してみることが第一と考えています.気象台や大学の観測態 勢も,これで十分とは言えないまでも,10年前より強化されております.一方 で,この10年間,十勝岳周辺ではハザードマップや避難経路・施設などが整備 されてきています.防災の観点からは,それらを有事の際に活用できるよう, 常に準備をしておくことがたいせつです. (9/26/98)

西村裕一(北海道大学・有珠火山観測所)


Question #179
Q 十勝岳に登った時、地面が熱かったり、くさいけむりが出ていました。どうして地面があつかったり、けむりがくさかったりしたのかを教えてください。 (1/14/99)

みきみきみっきー:小学生:10

A これは火山ガスが地面から出ているからです。火山ガスは主に水蒸気からなりますが 二酸化硫黄(SO2),硫化水素(H2S),塩化水素(HCl)などのガスを含んでいます 。水蒸気が地面に出てきて,空気で冷やされて水になるとき熱を発生します。このた めに地面が熱くなるのです。くさいにおいは二酸化硫黄(SO2),硫化水素(H2S), 塩化水素(HCl)などのガスのためです。これらのガスはとても臭いが強いのです。 またこれらのガスは有毒で体に悪いので火山に登って臭い場所に入ったらなるべくは やくその場所を立ち去るようにして下さい。 ちなみに火山ガスはもともと地下のマグマに溶けていた成分です。火山ガスが出てい るということは地下でマグマが活動している証拠といえます。 (1/15/99)

大場 武(東京工業大学・草津白根火山観測所)