火山学者に聞いてみよう -トピック編-  

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「Q&A火山噴火」 に寄せられた意見集


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Jan. 2012.

The Volcanological Society
of Japan.

kazan-gakkai@kazan.or.jp

身近の火山:北海道・千島

赤井川カルデラ


Question #3127
Q 地形図を見ていて思ったのですが、北海道余市町近くの赤井川村付近はカルデラなのでしょうか。もしそうであれば、いつ頃活動していたと考えられるのでしょうか。
よろしくお願いします。 (10/26/02)

koyama:公務員:36

A koyamaさん、するどいですね。赤井川村にある盆地は確かにカルデラのように見えま す。赤井川は昔からカルデラの可能性が指摘され、いくつかの調査・研究が行われて きました。カルデラであることを実証するには、地形の他に、カルデラ形成に伴って 放出された大量の火山噴出物(火砕流)が周辺に分布することが必要です。そして大 量のマグマが出たことにより、カルデラ底の地下が軽い物質で占められていることを 重力測定で示すことも重要な証拠となります。赤井川の場合には重力測定によりカル デラである可能性は指摘されていますが、カルデラ周辺の火砕流については確実なも のは見つかっていません。ただし可能性のある火砕流は点在しています。この火砕流 がカルデラ形成に伴ったものであれば、カルデラ形成は150-200万年前頃になりま す。さらなる調査が必要ですが、火砕流が古いために露出が悪かったり、侵食が進ん でいるため、結果は芳しくありません。
 もし北海道の地形に興味がおありなら、北海道の帯広の北、東大雪地域にある十勝 三又盆地をご覧下さい。ここも赤井川と同様に地形的にカルデラの可能性が指摘され ていた所です。ここは最近の研究によって、カルデラ周辺の大量の火砕流を特定する ことができ、また重力測定によってカルデラであることが実証できました。そして火 砕流の年代を測定して、十勝三又カルデラは約50万年前に形成されたことが明かにな りました。 (10/31/02)

中川光弘(北海道大学大学院・理学研究科・地球惑星科学専攻) --