高温のマグマと水が接触すると
水蒸気爆発が発生することがあります。
これは、水とマグマの量比やマグマの温度、マグマの噴出率、
水深、マグマ中に含まれる揮発成分の量によります。
水が多すぎず少なすぎずの場合には、時として大水蒸気爆発が発生します。
海底噴火の場合、水は十分にありますので
水深が浅く、噴出率が高いと大爆発が発生しやすいわけです。
伊東沖の海底噴火の時の映像にもありましたが
コックステイルジェットという弾道を描いて飛行する特徴的な噴煙を伴ったり、
水面上を横殴りに高速で広がるサージを発生させたりします。
明神礁の噴火ではサージで調査船が沈没したのではないかと言われています。
このような激しい噴火の映像は、なかなか捉えることはできないものです。
アイスランドのスルツェイ火山の噴火では
そのような爆発的な噴火の映像がごく近くで撮影されています。
「Birth of iland」という映画でで、日本語版のビデオもあります。
レイキャビクのvolcano showというところで入手できます。
ただし、これは海面よりも上の映像です。
残念ながら、このような、
激しい海底噴火を水中で捉えた映像はありません。
ハワイのキラウエア火山では、
1983年からずっと噴火が続いています。
火口そのものは山の上の方にあるのですが
延々と地表や溶岩トンネルの中を流れて
やがて海岸に到達します。
そこでは、水と反応して爆発したりもしますが、
爆発を起こす揮発成分が抜けきっているためか
意外なほど静かに水中に流れ込む場合もあります。
そのような場合には、水中を静かに流れる溶岩流の様子を
ダイバーが撮影することも可能なようです。
水中の溶岩流は急冷され、すぐに表面にガラスの殻ができます。
これが枕のような形をしていることが多いので「枕状溶岩」と呼ばれます。
この枕は、餅が膨らんではガスが抜けるような感じで
次々に子供を産み落とすように、流れていくのです。
この様子を水中カメラで捉えた見事な映像は結構有名です。
はじめて撮影されたのは1976年頃と思います。
その後、いろいろな撮影者がいたようですが、このごろは
コナのアマチュアグループが積極的にやっているようで、
最近のdiscovery channelでも紹介されていました。
くわしいことは、そちらにお問い合わせください。
ただし、これは海底火山の噴火の映像ではありません。
陸上を流れていた溶岩流が
海に流れ込んだあとの水中の映像であって
これを、「海底噴火」と呼ぶかは意見が分かれるかもしれません。
(2/12/99)
千葉達朗(アジア航測(株)防災部)
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