温泉水を分析すると、その水の起源を知ることができます。例えば、温泉水の
水素や酸素の同位体比を調べると、その水が地下水などの循環水に由来するも
のなのか、岩漿水(マグマ水)に由来するものなのか、それとも、それらが混
合したものなのかを推定することができます。こうした分析を行うと、ほとん
どの温泉で、温泉水の大部分が循環水に由来することがわかります。ただ、す
べての温泉で100%循環水に由来するわけではありません。例えば、別府や
箱根ではマグマによる水がそれぞれ約7%と約5%含まれているという分析結
果もあります。
さて、外城さんが読んだ地学の本の中の、99%や1%という数字の出所や、
この一節の前後の文章が、わからないのではっきりしたことはいえません。あ
くまでも個人的な感想ですが、もしかしたらこの本の著者は「日本の温泉の多
くで、温泉水の99%が地下水に由来し、残りの1%がマグマ水に由来する」
というようなことを言いたかったのではないのかと感じます。
残念ながら私には、このような定義に当てはまる「残りの1%の温泉」がどこ
にあるのかわかりません。もし本当に、そのような温泉があるのならば、私自
身も行って入ってみたいものです。何かの機会に見つけたら教えてください。
(6/16/98)
森 俊哉(東大・理学部・地殻化学実験施設)
|