火山学者に聞いてみよう -トピック編-  

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「Q&A火山噴火」 に寄せられた意見集


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Jan. 2012.

The Volcanological Society
of Japan.

kazan-gakkai@kazan.or.jp

噴火現象と噴出物・岩石・鉱物

結晶分化


Question #1388
Q マグマの結晶分化についてご教示ください。教員をしておりますがkにマグマの結晶分化を教えるのが大変難しい。温度が下がるにつれ晶出してくる鉱物に規則的な順序があります。カンラン石→輝石→角閃石→黒雲母里最後に石英の順といわれていますがK則性を支配している法則性を知りたいのです。有色鉱物は]酸塩のネソ→1重鎖イノ→二十鎖イノ→フィロとなり四面体がx降下により単独からより重合していくのは納得します。しかしF鉱物のテクト珪酸塩である石英は最後の最後に晶出するので上の理屈でも合うのですが炎迴oします。上手く説明できません。生徒にわかりやすく説明する方法はないでしょうか。

 もう一つ。花崗岩は昔のマグマ溜が地表に露出したものだと思います。火山の地下にはマグマ溜があるはずなので}グマ溜は火山前線の地下に分布していると考えられます。そうすると白亜紀の花崗岩の分布から当時の火山前線、つまり当時の海溝の形を推定することができR前線との比較からプレ−トの運動の変化の様子が推定できるかなと思うのですが如何でしょうか。 (12/31/00)

迷える親父:教諭:53

A (1つ目の回答) まず、カンラン石→輝石→角閃石→黒雲母そして最後に石英の順ではありません。カ ンラン石→輝石→角閃石→黒雲母は鉄やマグネシウムを含んだ有色鉱物についての系 列で、これとは別に斜長石→石英→(カリ長石)という無色鉱物の系列があります。 また、こうした晶出順はいわば単純化されたきわめて概念的なものであり、いつでも こうなるというものではありません。鉄に富む還元的な雰囲気では珪酸分に富んだマ グマから鉄に富むカンラン石が石英と一緒に晶出しますし、水に乏しいマグマからは 角閃石は晶出しません。またカリウムに乏しいマグマからは黒雲母は晶出しません。 したがってこうした順序から法則性といったものを導き出すことはあまり意味がない かもしれません。こうした鉱物の晶出順序は基本的にマグマの組成に依存していると いえます。マグマの温度が低下すると結晶化が進行し、残液の組成は変化していきま す(結晶分化作用といいます)。カルクアルカリ系列とよばれる組成のマグマでは、 分化が進むと残液の組成は珪酸分に富むようになります。御指摘のように、珪酸分に 富むようになると四面体([SiO4]4-)の重合度が増すので、ネソ珪酸塩→一重鎖イ ノ珪酸塩→二重鎖イノ珪酸塩→フィロ珪酸塩と重合度の大きな珪酸塩が出来やすくな るでしょう。また、他の成分に対して珪酸分が十分に多くなると重合度が大きくて珪 酸だけからなる石英が長石とともに晶出するようになります。何れにしても鉱物の晶 出順は温度のみならず水なども含んだマグマの組成に大きく依存します。カンラン石 →輝石→角閃石→黒雲母といった晶出順序を一般的な法則であるとして絶対視しない 方が無難といえるのではないでしょうか。 (2つ目の回答) 御指摘の通りです。ある時代の花こう岩が出現しなくなる線を結んでいけば、当時の マグマ(火山)前線が描けます。こうしたマグマ前線の移動から過去のプレート運動 を復元するという仕事はごく普通に行われています。 (01/15/01)

高橋正樹(茨城大学・理学部・地球生命環境科学)