火山学者に聞いてみよう -トピック編-  

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「Q&A火山噴火」 に寄せられた意見集


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Jan. 2012.

The Volcanological Society
of Japan.

kazan-gakkai@kazan.or.jp

噴火現象と噴出物・岩石・鉱物

チャート


Question #2163
Q はじめまして。私はイギリスで暮らしています。家の周辺にはに黒曜石(obsidian)のような石が多く見られます。イギリス人に聞いたところ、それは「flint」(火打石)だと言っています。見た目は白っぽく丸みを帯びた石ころなのですが、割ると中はきれいな黒いガラスのようで、エッジはシャープです。昔は石器に使われていたらしいのです。黒曜石と火打石は全く別のものなのでしょうか?あと、黒曜石はマグマが急に冷えてできたものと聞きましたが、ここ(suffolk州)も昔は火山活動があったという事ですか?

(02/28/02)

なまこ:馬使い:29

A イギリスからのアクセスありがとうございます. suffolk州ということですし,flintということであれば,おそらく “チャート(chert)”ではないかと思います.特にチョーク層の中の黒色 団塊状チャートのことをそう呼びます.これらは堆積岩の一種で,石英の 微細な結晶の集合で非常に硬く,鉄などに打ちつけて火をおこすのに使われ ました. 黒曜石は,成分としてはチャートと同じく石英成分が多目の火山岩ですが, こちらは石英のような結晶ではなく主に急冷したガラスからなります. どちらも割ると非常に鋭いエッジが生じますので,石器の原材料として 広く使われました.ただ黒曜石のほうがやや柔らかく,加工はしやすかった ようです.

suffolk州があるイギリス・ブリテン島の南部は,主に中生代以降の 堆積岩からなり,火山岩は産出しません.ただイギリスに火山活動が なかったかというとそんなことはなく,若い火山こそありませんが, 大体バーミンガムからシェフィールドを結ぶ線より北西側には,ぽつぽつ と古い火山岩が見られるようになります. 特にスコットランドやアイルランドには第三紀の火山岩が見られ, アイルランドのGiant's Causewayは,玄武岩溶岩が作る柱状節理で 名高い場所です.このほか侵食され残った火山岩頚や岩脈の上に城が 建造されたりしています.
 (2/28/02)

川辺禎久(産業技術総合研究所・地球科学情報部門) --