火山学者に聞いてみよう -トピック編-  

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「Q&A火山噴火」 に寄せられた意見集


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Jan. 2012.

The Volcanological Society
of Japan.

kazan-gakkai@kazan.or.jp

噴火をとらえる

火山関係機関


Question #81
Q はじめまして。 私はコンサルタントに勤めているのですが、世界中の火山関連機関を調べることになってしまいました。アメリカやインドネシアなどの国は文献である程度まで調べられたのですが、その他の国(中南米、アフリカ等)につきましては、全く手がかりがなく、困り果てております。そこで、どのようにしたら調べることができるのか、お教えください。また、「世界中の火山関連機関のリストがあるはず」と聞いたのですが、本当にあるのでしょうか。あるとしたらどのように手に入れたら良いのでしょうか。 火山に関する質問とは離れていると思うのですが、どうぞ、よろしくお願いいたします。 (5/25/98)

困ったちゃん:会社員:27

A
 世界中の火山観測所の組織(WOVO:WorldOrganizationofVolcano Observatories)が発行しているリスト,"Directoryofvolcano observatories1996-1997",WOVO/IAVCEI/UNESCO,Paris,1997には,世界中の ほとんどの観測所が網羅されています.市販はされていません.お近くの大学 付属の火山関係の観測所や施設にはおいてありますので,閲覧可能だと思いま す.

なお,この1994年版は以下のフランスのIPGP(パリ地球物理学研究所)のWeb siteでも見ることができます.

http://volcano.ipgp.jussieu.fr:8080/wovo/intro.html

観測所以外の研究グループについては例えば以下のWebsite(Linksto VolcanoWWWsites(scientific))が参考になるでしょう.

http://www.geo.mtu.edu/~boris/otherscie.html

(5/25/98)

中田節也(東大・火山センター)


Question #643
Q
 有珠山は、火山性地震が起こった後に山腹から噴火しましたが
岩手山は、火山性微動は確認されながら未だに噴火していません。
北海道大学の岡田教授は、「有珠山は、嘘をつかない山と言いま
したが、火山によって噴火する性格があるのですか?逆に、火山
性微動があれば、どんな地形でも噴火するのですか? (06/02/00)

たあさん:大学生:21

A
 有珠山は,珪酸分の多いマグマの火山としては頻繁に噴火を起こす世界でもめずら しい火山です.しかも,過去の噴火の前には必ず地震が群発しました.この癖を利用 して今回も噴火を上手く予想できたわけです.
 火山性微動はいくつかの理由でおこると考えられています.今回の有珠山の噴火前 には,はっきりとした火山性微動は観測されていません.逆に,火山性微動があれば 必ず噴火をするわけでもありません.
 火山性地震や火山性微動が多発してもなかなか噴火には至らない火山がいくつもあ ります.今のところ,岩手山もその例です.噴火を起こすには,山の地形やマグマの 性質によるのではなく,山ごとにもっと複雑な背景があるようです.山によって噴火 にまで至る経緯はさまざまです. (6/3/00)

中田節也(東京大学・地震研究所・火山センター)


Question #1366
Q 火山噴火予知連絡会について質問です。今年になって、有珠山や三宅島の噴火予知が初めて成功しましたが、今までとはどこが違ったからでしょうか? (技術的なもの?統計的なもの?組織の仕組み?)また、有珠山では岡田教授、三宅島では井田教授の名前がよく新聞で見受けられたのですが、山ごとに責任者的な立場の人がいるのですか? その「予知連・・・部会」ごとに特色があったりするのですか?(玄武岩の専門家の集まりとか?)また、それぞれどのような仕組みになっているのでしょうか? (12/21/00)

keiyuu:学生:20

A
 これまでにもこのコーナーでお答えしたことがあります。有珠と三宅島で噴火の開 始時期がうまく予知できたのは、もちろん昨今の観測技術の向上のせいもあります が、ふたつの火山とも噴火と噴火の間隔が短く、観測された噴火が過去に何度もあっ たからです。このため、これらの「噴火の癖」が日本のほかの多くの火山よりも良く 分かっていたのです。人間でもある病気を繰り返していれば、体調がおかしくなる と、いつ頃症状が悪くなりそうだと分かるのに良く似ています。でも、ひとたび始ま った噴火の推移については、残念ながら、有珠山でも三宅島でも上手く予想できませ んでした。特に、三宅島では過去の噴火観測の記録にないできごとが起こったからで す。
 活発な噴火活動が予想される火山については、火山毎に観測の責任的立場の大学観 測所(あるいはセンター)や国立研究機関があります。火山によっては、そこにある 大学の火山観測所の先生がホームドクターとマスコミや地域の人からよばれているこ ともあるようです。また、気象庁は国の火山活動の監視機関で、多くの活発な火山の 監視を常時行っており、防災に役立てるために火山情報(緊急火山情報、臨時火山情 報、火山観測情報、定期火山情報)を発表します。
 火山噴火予知連絡会は全国の活動的火山の活動の判断をするためのあつまりです。 1974年から組織されました。学識経験者、関係機関の専門家から構成され、事務局は 気象庁におかれています。必要なときには火山活動についての見解を発表します(現 在は井田先生が会長)。予知連の下に、これまでは、伊豆諸島や伊豆半島の火山(三 宅島を含む)の活動評価をする伊豆部会と、有珠山噴火を評価する有珠山部会とがあ りました。 (1/13/01)

中田節也(東大・地震研究所・火山センター)