噴火をとらえる
噴火とは・噴火の原因・噴火の前兆 |
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Question #3915
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Q |
ここのページで火山に興味を持ち、色々な所のホームページを見ていてふと疑問に
思ったのですが、各々の火山の噴火履歴に大噴火の時と普通に噴火と記されて
いる時が有りますが、何をもって大噴火とするのかという定義みたいな物は
有るのですか?
(03/18/03)
シゲ:会社員:29
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A |
火山噴火の規模を表現する方法があります。例えば、一回の噴火(爆発)で放
出される火山灰や溶岩の量を基準にしており、これはその噴火で放出される熱
エ ネルギーの量に対応しています。それによると大規模噴火というのは1回
の噴火でおよそ1億立方mの噴出物量のあるもので、中規模噴火というのはお
よそ1 億〜百万立方mの噴出量のある噴火です。それいかは小規模噴火です。
しかし、火山ごとに数多くある噴火のうち、特に規模が大きい場合に大噴火と
いうこと があります。ホームページに記述されている大噴火では、これらを
混同して使っていると思います。さらに、新聞やテレビ報道などで使われる
「大噴火」は規 模よりも社会的なインパクトや印象を重視して大噴火と表現
されていることが多いと思います。
(03/18/03)
中田節也(東京大学・地震研究所・火山センター)
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Question #107
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Q |
中学校の理科の教科書で、火山の噴火について次のように説明されています。
「マグマは地表へ向けて上昇し地下数kmでいったん止まりマグマだまりをつくっている。ここから上昇したマグマが噴火を起こすもとに
なっている。マグマは水蒸気、二酸化炭素、二酸化硫黄などの火山ガスを溶かし込んでいる。地下のマグマが冷えてくると火山ガスが
地表近くに集まりその圧力が高くなり、ついには上の岩石を吹き飛ばし噴火口が開く。それにともなってマグマも地表に吹き出し噴火
が起こる。」
この説明からはマグマが冷えた時点で、噴火が起こると理解できます。しかしこれでは子供たちは、「マグマが冷える=マグマの活動
が不活発になった時点」で噴火が起こるような捉え方をどうしてもしてしまいます。私もどうも噴火時の地下のようすのイメージが涌きま
せん。地学分野で火山の活動は子供たちにとても興味のあるところです。正しい火山噴火のイメージを伝えてあげたいと思います。
よろしくおねがいします。
(8/1/98)
園田 研之:中学校教員(理科):38
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A |
ご質問の趣旨は,以下のようなことですね.
マグマが冷えてくると,液体のマグマの一部は固体の結晶になる.マグマ中
の火山ガスは,結晶の中には入りにくいので,残った液体のマグマにどんどん
濃集していく.そうすると,火山ガスがマグマにとけ込みうる許容量を越えて
しまって,ついには発泡してマグマが噴出してくる.ご質問を読んでなるほど
と思いました.マグマが冷えると火山が噴火する??たしかに矛盾しているよ
うに思えますよね.やかんの湯が沸騰するのは逆に温度が上昇した時なのに,
その逆をいくわけですからね.
このことを理解してもらうために,私は,ビールを冷凍庫に入れっぱなしに
して忘れていると,ビールがシャーベット状に凍って残った液体の中の炭酸ガ
スが発泡してびんの隙間からこぼれ出ているという例をあげて説明していま
す.また,マグマが地下で発生して,地表に上昇し,冷やされて固まるまでの
一連のプロセスの中で噴火は起こるのだと説明しております.
なお,上記のようにして噴火が起こることもありえますが,ほかにも,地下
のマグマが急激に上昇したり地殻に断列が生じたり,もしくはマグマの頭上の
山体が地滑りなどのためになくなったりして圧力が低下した場合にも発泡して
噴火が導かれることもあります.
(8/12/98)
三宅康幸(信州大学・理学部)
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Question #114
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Q |
火山の噴火はどうして.起こるのですか??
(8/18/98)
まりや:中学生:12
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A |
火山の噴火はどうして起きるのか,あらためて考えると,なかなか簡単には
答えるのが難しい質問ですね.とりあえず噴火にいたる最終段階で,何が起き
て噴火が起きるのかを説明してみます.
噴火は簡単に言うと,地下のマグマやガスが地表に急速に出てくることで起
こります.
マグマの中には,H2O(水)のようなガス成分が含まれています.サイダーの
ビンを振ってから栓を開けると,たくさんの泡といっしょにサイダーが噴き出
してきますね.これはサイダーに溶けていた炭酸ガスが泡になって膨張し,サ
イダーを押し出すために起こるのです.それと同じように,噴火はマグマの中
に溶けているガスが泡になって,岩盤を壊してマグマを地表に噴き出させるた
めに起こると考えられています.またマグマそのものではなくて,マグマの熱
で温められた地下水などが,水蒸気になっておこる噴火もあります.
ではどういう時に,泡になるのか?またもともとのマグマはどこでどうして
できるのか?などいろんな疑問がわいてくることと思います.これらについて
は,中学生向けの本を紹介しますので,図書館などで探して読んでみてくださ
い.
火山と地震の事典 藤井敏嗣著 大日本図書
火山 (災害とたたかう2) ジャクリーン・ディニーン著 偕成社
まだくわしくはわかっていないことも多いので,火山の研究者はいろいろな
研究を続けています.興味をもったらもっと詳しい本を読むことに挑戦してく
ださい.またわからないことがあったらまた質問してくださいね.
(8/21/98)
川辺禎久(工業技術院・地質調査所・環境地質部)
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Question #136
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Q |
さっそく教えていただきありがとうございました。そうやって岩石名がついたと知ると親しみが沸きまし
た。もう1つ質問してよろしいでしょうか?
昔、学校で「マグマだまりでは冷却される過程の中、冷えて固まってしまう順に岩石がつくられる」という
結晶分化作用というのを習って痛く感心したのですが、このとき最後のほうまで残っていられたマグマは
比重が小さいということから、浮力で噴火する、というふうに理解していたのですが、新聞などで、噴火
は「マグマに溶けていた二酸化炭素や水蒸気の圧力でおこる」とあり、一旦は納得しました。でも、考えて
みれば、高温のマグマに、気体が溶けていられるのですか?すこし疑問が残ってしまいました。教えていた
だけないでしょうか?
(10/3/98)
山寺和男:学生:22
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A |
水に二酸化炭素などの気体が溶けこめるように,マグマの中にはわずかな揮発性の
成分(H2O,CO2など)が含まれています.特に地下深くの高圧の条件では,高温でも
マグマの中に溶けていられるのです.マグマの組成にもよりますが,溶けている量
は全体の重さにしめる割合で,H2Oで1-5%程度,CO2で0.数%程度と考えられています.
さて「浮力で噴火する」「揮発性成分の圧力で噴火する」も,どちらか一方が間
違っているというわけではないのです.
マグマが地表に出てくるには,密度が十分に小さいことが必要ですが,揮発性成分が
多く溶け込んでいると,マグマそのものの密度が小さくなります.結晶分化作用で
は,分化が進んだマグマほど揮発性成分も多くなりますが,「結晶分化作用が進んだ
マグマは密度が小さい」は揮発性成分も含んだ上でのお話です.
また揮発性成分が発泡するともっとみかけの密度は小さくなります.密度が小
さくなることは,マグマのみかけ体積の増加→圧力増加を意味しますから,圧力増加
→岩石の破壊→噴火となるわけです.
もっとも実際には,どのように発泡するか,発泡した泡がマグマからどのように
分離するかなどで,噴火するかしないか,噴火がどんな様式になるかが変わって
きます.
他の要因も絡み合っているので,なかなか難しいのも事実ですが,揮発性成分の量
や発泡の過程はこのように火山の噴火に大いに関係するので,非常に重要です.
マグマの中にどんな揮発性成分がどのくらい入っているのかは,高温高圧実験を
行ったり,岩石の中に閉じこめられた発泡していないマグマの残りと考えられる
ものを分析したりなど,様々な研究が進行しています.
(10/8/98)
川辺禎久(工業技術院・地質調査所・火山地質課)
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Question #186
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Q |
マグマ溜りに溜まっていたマグマが、噴火に至るまでのメカニズムについて
質問させて頂きます。
マグマ溜りに溜まっていたマグマを地表に上昇させるドライビングフォー
スは、蓄積による圧力増加と気泡の発泡による浮力の増加と習いました。
ここで疑問に思ってしまう事は、蓄積による圧力増加によりマグマに対す
る揮発性成分の溶解度が上がる事で、気泡の発泡が起こりにくくならない
のかと言う事です。つまり、マグマ溜りでの発泡を促すような現象(温度上
昇・温度下降に基づく結晶分化作用・地震等)の効果を、蓄積による圧力増加
は打ち消す方向に働かないのかと言う事です。例えば、この圧力増加はマ
グマ溜りの周囲の岩石(地表に繋がる天井部分も含む)を破壊する方にだけ使
われたりするだけなのでしょうか?火山について勉強したての身ですので、
見当違いの事をお聞きしているかもしれませんが、よろしくお願いします。
(1/30/99)
山口:学生:20
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A |
質問の現象は,ビールやコーラの瓶を栓したまま振ると泡立ちますが,直ぐに泡
は消えてしまうことに良く似ています.栓を抜くか,瓶が割れないかぎりビールは
自由には泡立たないでしょう.
マグマが発泡するには,液体部分(メルト)に融けている揮発性成分量が,その
溶解度を「大きく」上回ることが必要です.このような現象は,冷却による結晶作
用の進行や,上昇による減圧によってもたらされます.マグマを閉じ込めている容
れ物(マグマ溜まり)の体積や形が変化しなければ,栓をしたビール瓶と同じで,
メルトが飽和状態からやや過飽和状態になったまま発泡せず,不安定な状態で地下
に居続けようとします.しかし,冷却による結晶作用の進行でメルトの固化が進む
と,内容物(メルト+結晶)全体の体積が小さくなるため,容れ物のすき間を補う
ように,過飽和状態になったメルトからは気泡が成長します.このような軽い気泡
の成長によって,マグマの平均密度が急に小さくなるために浮力で容れ物に変形が
おきることがあります.あるいは,下から新たなマグマが無理やり注入されて圧力
が高まれば,ついには容れ物が破壊されてマグマは上昇し始めることになります.
この結果,減圧によってマグマでは急激な発泡がおこり,噴火に至ることになりま
す.
大きな地震など外からの振動が,揮発性成分に過飽和状態のマグマに対して,発
泡の引きがねや発泡の促進を行う作用となる可能性が考えられます.この結果,内
圧が高まっている容れ物の変形や破壊がおこり,さらにマグマが激しく発泡・上昇
して噴火が誘発されることがおこりうるでしょう.
(2/15/99)
中田節也(東京大学・地震研・火山センター)
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Question #181
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Q |
火山の噴火の定義を教えてください。教科書などには噴火の一形態として、マ
グマの流出を伴わない水蒸気(ガス)爆発も表の中に入れてあります。しか
し、先日、火山の水蒸気爆発は噴火とは言わないという話を聞きました。用語
の意味を厳密に考えると爆発と噴火はなるほど違う気がしますが、ガスもマグ
マの組成の一部だといえます。液体のマグマの流出を持って噴火というのかど
うか、定義を教えてください。
(1/21/99)
吉永:unknown:unknown
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A |
たとえ「液体のマグマ」だけが噴出する噴火であっても,その噴火が激しくなれば
爆発的なものになります.いわゆる「水蒸気爆発」も,噴火とみなすのが普通です(
*).ただし,特殊な条件下で発生したごく小規模な「水蒸気爆発」(**)を噴火と
みなすかどうかについては,学者間の議論があります.
(*)噴火によって地表にもたらされたマグマ量を研究上重視する立場に立つ場合,
水蒸気爆発の中にはマグマが直接関係しないもの(つまり,噴出物は既存の岩石のみ
という場合)もあり得ますから,そのような爆発は噴火としてカウントしない,とい
う立場もあり得ます.ただし,防災科学的な視点に立てば,そのような水蒸気爆発も
噴火として当然カウントすべきものです.
(**)工事などによる人為作業が引き金を引いたものや,地熱地帯で起きた地滑りが
引き金を引いたものなど.
(1/21/99)
小山真人(静岡大学・教育学部)
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Question #1923
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Q |
火山が噴火する直前は、どのようになっているんですか!
(10/18/01)
崋山君:小学生:10歳
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A |
火山が噴火する直前には、火山の中や火山の下に高温のガスやマグマがたくわえら
れます。たとえば、高温のガスだけが出てくる場合には「水蒸気爆発(すいじょうき
ばくはつ)」になりますし、マグマが出てくるときには溶岩流をともなう噴火になり
ます。地下にたくわえられたものがどういう出かたをするかで「噴火のスタイル」が
決まります。
また、噴火の直前にはいろいろな変化が地上にあらわれます。このような変化を前
兆現象(ぜんちょうげんしょう)と呼びます。たとえば、地下のガスやマグマの量が
増えると、地上にもれだす火山ガスも増えるばかりか、今までなかったところに新し
く火山ガスが出るようになったり、ほんのわずかですが火山がふくらみます。また、
火山の近所だけで感じる地震の回数が増えることがあります。
どのような形で前兆(ぜんちょう)があらわれるかは、火山によってさまざまです。
(10/18/01)
筒井 智樹(秋田大学・工学資源学部・地球資源学科)
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Question #5343
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火山からまぐまが出るのはどう言うふうな時期や季節、気候の時に出て来るのか。その天気や気候、季節、時期によって火山の出方、噴火の仕方は、変わって来るのですか・・・
(11/29/03)
木村:小学生:11
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A |
噴火が始まることには季節や気候の影響はほとんどありません。ただし、潮汐と噴火が関係していると考えられるケースもまれにありますが、それは噴火活
動が活発化している場合にだけ限られるようです。
災害のような噴火による影響には季節や気候が大きく関係します。空を漂う火山灰は風下に流され、風下地域に被害を与えます。山頂部に積雪がある場合に
は、マグマの熱で雪がとけて泥流(あるいは土石流)が発生することがあります。噴火直後に雨が降ると泥流がよく発生します。できたての熱い溶岩に大雨が
降り注いで、小爆発や溶岩の崩壊を起こした可能性も指摘されています。
(11/30/03)
(お願い。同じ質問を10回も続けて送信しないで下さい)
中田節也(東京大学・地震研究所・火山センター)
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