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日本火山学会論文賞 (Best Paper Award)

第15号 及川輝樹・他

対象論文

及川輝樹・筒井正明・大學康宏・伊藤順一 (2012) 文献史料に基づく江戸期における霧島火山新燃岳の噴火活動. 火山, 57 (4), 199-218. doi: 10.18940/kazan.57.4_199.

授賞理由

 高精度の噴火シナリオの作成は火山防災上重要であり、噴火予知計画でも盛り込まれている課題である。本論文は霧島火山新燃岳の亨保噴火について、これまで知られていなかった噴火記録を再検討し、噴出物との対比も行い、噴火経緯を詳細に解析したものである。過去の噴火復元は従来、堆積物調査に基づくことが多いが、歴史噴火においては、噴火記録の資料も重要であることを改めて明確にしている。本論文は、噴火推移ツリーの作成にも言及しており、活動中の霧島の噴火推移予測(シナリオ)や分岐点の判断に重要な情報を提供する点で火山学に大きな貢献が期待されるうえ、防災上の観点からも寄与するところが大きい。新燃岳の噴火もまだ予断を許さない状況で、このような論文をタイムリーに出版したことは非常に重要と考える。よって、以上の成果により、日本火山学会論文賞として相応しいと判断する。

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