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日本火山学会論文賞 (Best Paper Award)

第24号 山元孝広・工藤崇・石塚治

対象論文

Takahiro Yamamoto , Takashi Kudo and Osamu Isizuka (2018) Temporal variations in volumetric magma eruption rates of Quaternary volcanoes in Japan, Earth Planet Space, 70, 65, doi:10.1186/s40623-018-0849-x.

授賞理由

 火山の積算噴出量と時間の関係を示す階段図は、火山の消長を把握するのに有用でありNakamura(1964),小山・吉田(1994)等、従来から研究が行われてきた。日本の複成火山の地質調査が進み噴出量の見積もりの精度が高くなる中で、産総研では今回の論文の主著者である山元を中心として階段図を系統的に作成し、2015年にはOpen-file Reportとして「日本の主要第四紀火山の積算マグマ噴出量階段図」を公表している。
 今回のEPSの論文では第四紀火山を29火山の階段図をマグマ化学組成と関連付けて議論し、今後の噴火予測研究の方向の一つを示している。29の火山について、過去101-105年の平均噴出率を求め比較すると、規模の大きな玄武岩質火山は一般に高噴出率で比較的一定の休止期をもって噴火するが、その他の多くの火山では平均噴出率のパターンは多様である。桜島のように噴出率が増加している火山ではマグマ化学組成から見て深部からの新たなマグマ供給が生じていることが見て取れる。同様な噴出率の増加と化学組成の変化は赤城火山や沼沢沼火山でも認められている。一方、那須茶臼岳火山など化学組成の特徴に変化が認められない場合は、噴出率は低下していくことが示されている。
 以上のように、この研究は単純な過去の噴出率の外挿では予測が不正確になり、マグマ供給系の変化を捉える必要を示しており、火山噴火予測研究に重要な貢献となっている。
 以上の理由から、本論文を、日本火山学会論文賞とする。

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