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日本火山学会学生優秀論文賞 (Best Student Paper Award)

第03号 高野智也

対象論文

Takano, T., Nishimura, T., Nakahara, H., Ohta Y., and Tanaka, S. (2014) Seismic velocity changes caused by the Earth tide: Ambient noise correlation analyses of small-array data. Geophys. Res. Lett., 41, 6131-6136, doi: 10.1002/2014GL060690.
Takano, T., Nishimura, T., and Nakahara, H. (2017) Seismic velocity changes concentrated at the shallow structure as inferred from correlation analyses of ambient noise during volcano deformation at Izu-Oshima, Japan. J. Geophys. Res., 122, 6721-6736, doi: 10.1002/2017JB014340.

授賞理由

 近年、火山噴火活動や大地震の発生に伴い、地盤浅部や地殻、火山体の地震波速度が1%程度変化することが、世界各地で報告されるようになってきた。地震波速度変化の要因のひとつとして考えられている、媒質への載荷応力、の効果について、高野氏は、地震波干渉法をもちい、地球潮汐や火山性圧力源により生じる応力によって変化する地震波速度を検出し、上記の国際誌論文を発表した。地球潮汐と雑微動を用いた地震波干渉法による応力感度の測定では、独自の小アレー地震観測を岩手山で実施し、地震波干渉法による周波数帯(数Hz以下)の応力感度は、人工震源の結果(数10Hz以上)とほぼ同じであることを示した。また、伊豆大島で観測されている数ヶ月から1年程度の周期で発現した山体変形を用いて、応力感度の測定を行った。異なる周波数の解析により速度変化量の深さ分布を明らかにすることに成功した。高野氏の論文は、火山活動の活発化の際に発現する微小な地震波速度の時間変化を理解するために必要な応力感度を定量的に求めたこと、また、人工震源などを用いなくても簡便に測定できる新しい方法を提示した点が高く評価できる。異なるタイプの火山の構造の比較、活断層や大陸地殻などの異なる地域の媒質特性の評価など、今後の発展も期待できる。
 本論文は、学生の研究として特に優れており、2018年度日本火山学会学生優秀論文賞に相応しいと判断される。
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