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日本火山学会学生優秀論文賞 (Best Student Paper Award)

第08号 Theodorus Permana

対象論文

Permana, T., Nishimura, T., Nakahara, H., Fujita, E., and Ueda, H. (2020) Reliability evaluation of volcanic tremor source location determination using cross-correlation functions. Geophys. J. Int., 220, 1300-1315, doi: 10.1093/gji/ggz523.

授賞理由

 火山性震動の解明は火山活動や噴火発生過程の理解だけでなく、火山噴火活動の予測にも役立てられているが、火山体でのP相やS相の多くが不明瞭なため、最も基本的な情報である震源を精度よく決定することが困難であった。本論文では、火山体周辺に展開されている数点の定常地震観測点の連続波形データをもとに、火山性地震や微動の震源決定を行う新しい方法を開発し、伊豆大島のデータで信頼性を検定している。
 火山性地震や微動の震動源から輻射される地震波を2観測点で記録し、それらの地震波形の相互相関をとると、着信時差のラグタイムで大きくなることが期待される。これを利用した2次元的な震央決定方法は提案されていたが、これまで解析対象とされた火山の観測網は数十km以上という大きく、震源決定精度の検定も行われていなかった。本論文では、震源の深さも決定できる方法を開発した。また、伊豆大島で発生した200個の火山構造性地震の波形記録に対して本手法を適用し、P波とS波の着信時から決められた震源と比較し、さらに擬似的な連続微動波形を作成し、震源決定精度を検定した。その結果、推定誤差は概ね 1 km 以下となり、火口や山麓域のマグマや熱水の活動を議論するのに十分な精度が得られることを明らかとした。
 これまで震源決定が難しかった火山性地震や微動に対して、震源決定精度の高い新たな方法を提案するとともに、その決定精度を明らかにしており、今後,国内外の多くの火山に適用され、火山性流体挙動の時空間変化を議論することが可能となるなど、大きな発展性が期待される。
 以上の理由から、本論文を日本火山学会学生優秀論文賞とする。

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