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日本火山学会優秀学術賞 (Distinguished Academic Award)

第05号 角皆 潤

受賞対象

「火山ガス安定同位体組成観測手法の革新」

授賞理由

 火山ガス組成は、マグマの脱ガス条件、地下水の寄与や噴気孔温度などの定量化を通じ、火山活動の評価や噴火メカニズムの理解に必要な情報であるが、従来はその定量化のためには噴出孔への接近が必要であり、危険性のために活動的な火山での観測が実質不可能であった。角皆氏は、噴出口から離れた場所で、大気により希釈された火山ガスである噴煙を観測することにより、活動中の火山においても火山ガス成分の安定同位体組成の観測を可能とする手法を開発し、さまざまな火山に応用してきた。手法の開発は、高感度・高精度分析のための分析機器・手法の改良から、ドローン搭載型の自動噴煙採取装置の開発、噴煙組成から火山ガスの安定同位体組成を決定する解析手法の開発と多岐に渡る。その成果として世界に先駆け、遠隔観測による火山噴煙中のH2O, H2, CO2 などの安定同位体組成の定量を実現し、桜島火山における火山ガス放出温度や阿蘇火山における火山ガスへの地下水の混入を明らかにしてきた。また、角皆氏の先進的な同位体分析技術は、さまざまな火山において実戦的に活用され、数多くの成果を挙げている。
 以上の理由から、観測手法の革新とその応用による学術貢献は優れた角皆氏を2023年度日本火山学会優秀学術賞授賞者とする。

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