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日本火山学会研究奨励賞 (Young Scientist Award)

第03号 下司信夫

研究課題

「マグマ供給系の構造発達とマグマ進化」

選考理由

 下司信夫君はこれまで地質学的および岩石学的手法によりマグマ供給系について研究を行ってきた。対象としては主に設楽大峠火山岩体と2000年三宅島噴火であり有意義な成果をあげた。大峠火山岩体についての岩石学的検討から、マグマ混合と結晶分化作用が浅所の貫入岩脈中で生じたことや、マグマ冷却・固化途中での変形に伴う破砕過程で残液の濃集で生じたことなどを示した。また、マグマ溜まりへのアルカリ岩質高温マグマの貫入により溜まり周辺の岩石の部分溶融が生じてカルクアルカリデイサイトマグマが生じたことも提案した。
 三宅島火山2000年噴火では、下司君は東京大学地震研究所のグループの一員として観測等に従事するとともに、その噴火活動の重要性を把握しカルデラ形成過程およびマグマ供給系について素早く論文で公表した。小規模な水蒸気噴火に伴って出現したカルデラが約50日をかけて拡大していく過程を記述し、マグマ溜まりの天井の筒状ブロックが連鎖的に沈降してカルデラが拡大したモデルを提案した。さらに、カルデラ形成後にそれまでの活動とは異なる組成のマグマが上昇してきたタイミングも明らかにした。
 以上のように下司信夫君は、火山体の観察・分析を通してマグマ供給系の進化と分化過程の理解に優れた成果を残しており今後もおおいに期待されるので、火山学会研究奨励賞を授与するに値する。

主要な研究業績


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