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日本火山学会研究奨励賞 (Young Scientist Award)

第21号 三輪学央

研究課題

「火山噴出物の組織解析に基づく火山噴火機構の解明」

選考理由

 マグマの上昇減圧による発泡・結晶成長からマグマの破砕や脱ガスに至る過程は、噴火ダイナミクスを規制する主要な要因であるが、地下で起きるこれらの現象を直接観察・観測することは困難であり、噴火過程の理解を妨げてきた。三輪氏は、噴出物の物質科学的解析に基づき、噴火時のマグマの減圧・破砕過程や物性の変化を明らかすることにより、噴火過程の理解を進め火山学に大きな貢献をしてきた。
 三輪氏は、主に桜島におけるブルカノ式噴火の発生過程を理解するために、火山灰の形態・岩石組織・化学組成の分析結果に基づき減圧・発泡・結晶化過程の定量的解析を行うとともに、地震活動や空振強度との比較を行うことにより、噴火の強度の規制要因を明らかにした。結晶や気泡サイズ分布・石基の結晶組織から噴火過程を解析する研究は近年盛んに行われているが、多数の噴火の噴出物を地球物理的データと比較検討することにより噴火過程の支配要因を明らかにしている点で、これらの研究は突出している。噴火の進行過程を明らかにするために、数分単位での高時間分解能の火山灰採取を行い、火山灰の組織変化の解析に基づき、噴火進行と伴にマグマの破砕条件がより高圧下低粘性に変化する事を示した。物質科学データは分析処理時間を要するため、地球物理観測データと比較してデータ密度が低いことが欠点であった。この欠点を解消するために、火山灰の簡易観察解析手法の開発も実施した。この一連の研究により、噴出物の岩石組織解析により減圧速度や粘性の変化を噴火直前の地球物理観測結果と比較可能な高時間分解能で把握出来る事が示されており、噴火過程の物質科学と地球物理観測の融合として重要な成果である。三輪氏は、IAVCEI2013 のセッションでは共同コンビナーを務めるなど、日本の火山学の将来を担う研究者として、特に融合的研究の推進役として期待される。以上の成果により、日本火山学会研究奨励賞として相応しいと判断する。

主要な研究業績


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