English
会員ログイン
ロゴ

日本火山学会研究奨励賞 (Young Scientist Award)

第26号 堀田耕平

受賞対象

「複合地盤変動データに基づく桜島火山におけるマグマ蓄積移動過程の研究」

授賞理由

 堀田氏は、地殻変動データを単体として扱うのではなく多様なデータと統合解析する研究を桜島火山など複数の火山を対象として展開してきた。中でも、桜島については、2011年の地殻変動を伴う活動イベントの丹念な解析から、姶良カルデラへのマグマ貫入開始をきっかけとして北岳下へのマグマ貫入率増加が起き、その後、南岳下へのマグマ貫入率と火山灰放出率が増加する経過過程を見出し、桜島火山における北岳下の変動源の重要性を示した。さらに、このモデルを過去の活動にも適用し、南岳や昭和火口の噴火活動活発期には、姶良カルデラ・北岳下で膨張が進行する一方、南岳下では放出過多となり収縮するという一般的な特徴を見出した(Hotta et al., 2016a)。他方、2015年8月の桜島の急激な地盤変動イベントでは、GPS・傾斜ひずみデータを統合解析し、高い貫入率で短期間に成長したダイク活動を見出し、桜島火山の活動の多様性を確認した(Hotta et al., 2016b)。このように、堀田氏は、連続GPS・傾斜ひずみという高時間分解能のデータを複合的に用いて、桜島火山のマグマ供給系を統一的に解釈し、継続的に観測されている火山灰放出量データも併せて考察することで、マグマ放出量と変動源の体積変化から変動源間のマグマの移動量を推定している。これらの優れた成果は、長期間活動を続ける火山の予測手法の高度化に端緒を開くものである。
 堀田氏は、現在も精力的に研究を続けており、将来のさらなる発展も十分期待できることから、日本火山学会研究奨励賞の受賞者とする。

TOP
Copyright © 2024 The Volcanological Society of Japan All Rights Reserved.