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日本火山学会研究奨励賞 (Young Scientist Award)

第27号 風間卓仁

受賞対象

「重力観測を用いた火山性流体移動プロセスの把握およびその高精度化に関する研究」

授賞理由

 風間卓仁会員は、重力の野外調査と観測データの補正に関する研究課題において優れた成果を上げている。まず、陸水擾乱が重力測定に及ぼす影響の研究では、永年、重力観測の際の懸念となってきた降水による重力変化の影響を取り除くために、地下水流動の数値計算に基づく補正手法を開発した。これを浅間山の観測データに適応することによって、火山活動に起因する微小な重力変化の抽出を可能にした。新たな補正手法を開発した上で、陸水擾乱の影響を取り除けば、重力観測によってマグマの移動などの火山活動を直接的に監視できる可能性を示した点が高く評価される。また、陸水擾乱の振幅が相対的に小さくなる周期帯があることに着目し、高サンプリングな相対重力連続測定を桜島火山で実施した。その結果、その帯域であれば火山活動に伴う短周期重力変化を検出し得ることを実証した。これらの研究成果は、重力観測による火山活動把握に向けての新たな展開を促すものであり、学術的のみならず火山防災面においてもさらなる発展が期待される。さらに、陸水擾乱補正ソフトウェアの頒布や短周期重力変化の準リアルタイム監視を実施するなど、重力観測の立場から将来的な火山活動予測に対して貢献している。
以上の理由から、風間氏を日本火山学会研究奨励賞の受賞者とする。

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