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日本火山学会研究奨励賞 (Young Scientist Award)

第28号 南 拓人

受賞対象

「能動電磁探査ACTIVEを用いた阿蘇山マグマ噴火時の比抵抗構造時間変化の推定」

授賞理由

 南拓人氏は、制御電流を用いた電磁探査手法 ACTIVE (Utada et al., 2007)で得られた電磁応答関数を用いて、2014 - 2015年阿蘇山マグマ噴火の際の地下比抵抗構造の時間変化を推定した。その結果、2014年11月の阿蘇山マグマ噴火の発生に先行し、地下約400 mの深さで水平に広く、比抵抗が上昇していたことを明らかにした。これは噴火前のマグマ上昇に伴い、地下水温度が上昇・沸騰することで、低抵抗体である地下水(液相)の量が減少したことを示唆する。このようなACTIVEを始めとする能動電磁探査の結果から三次元インバージョンによって比抵抗構造を推定した研究は、国内では前例がなく、噴火時の電磁応答関数の時間変化をデータとして示した点で重要である。これにより、電磁探査による火山監視の可能性を拓いたと言える。
 南氏はこれまで、地球電磁気学による地震や津波の研究を行っており、火山の研究は少ない。今回、他分野の最新の知見を活かしたことが結果に繋がったとも言えよう。南氏は、今後御嶽の調査をはじめとする火山観測調査研究を行いながら、ACTIVEの調査研究を継続し、水蒸気噴火やマグマ噴火前後における火口直下の電気伝導度構造の時間変化を高精度に検知する研究を推進するとのことである。
 これらのことから、南氏の研究は、今後の火山学の発展への貢献が期待できる。日本火山学会研究奨励賞の受賞者とする。

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