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日本火山学会賞 (Volcanological Society of Japan Award)

第04号 巽 好幸

受賞対象

「沈み込み帯のマグマ学研究への貢献」

授賞理由

 沈み込み帯でのマグマの成因や物質循環は、長年にわたり我が国の火山学における中心課題の一つである。巽好幸氏は、30年間にわたり数多くの優れた研究成果を継続的に挙げ、日本のみならず世界の「沈み込み帯のマグマ学」の指導的な研究を進めてきた。その成果は、1)沈み込み帯マントルの初生マグマである高マグネシウム安山岩の成因の研究、2)沈み込み帯玄武岩マグマの包括的生成モデルの提案、3)沈み込み帯マグマの生成・固化過程に基づく大陸地殻生成過程の提案、4)沈み込み帯でのスラブ等分別過程に基づく地球化学的マントル端成分の解明および、5)コア・マントル境界”D”層形成過程の提案など多岐にわたり、また岩石学や地球化学のみならず、地震学やその他地球物理学的データも統合した包括的な地球システムとしての研究を進めてきた。その研究成果は「Subduction zone magmatism (1995)」「沈み込み帯のマグマ学(1995)」「安山岩と大陸の起源(2003)」の3冊の教科書としても出版され、多くの火山学・マグマ学を志す若手研究者を引きつけてきた。加えて、雑誌「火山」の編集長としても日本の火山学の発展に貢献した。以上のように、沈み込み帯のマグマ学の学問的進展と我が国の火山学の発展への貢献は大きく、2011年度日本火山学会賞に相応しいと判断する。

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