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日本火山学会賞 (Volcanological Society of Japan Award)

第06号 林 信太郎

受賞対象

「キッチン火山実験による火山学の啓発普及活動」

授賞理由

 キッチン火山実験は、食材など身近な材料を用い様々な火山現象を再現することにより、知識としては知っていても実感する事の難しい火山現象を紹介する優れたアナログ実験手法である。また、発泡・流動・変形などの多様な過程を間近に観察する事により、火山現象について実感を持って理解することができるため、火山学に係るアウトリーチ活動や火山教育に活用されている。近年では、火山学に係る学会や集会におけるアウトリーチ活動の定番となっている。林信太郎氏は、このキッチン火山実験の開発から実践を通じ、火山学に多大な貢献をしてきた。
 林氏は、火山学の普及啓発・教育活動の一環として、わかりやすく印象的な教材としてキッチン火山実験の開発を進め、小中学校の出前授業などでその効果の検証を行いながら改善を行ってきた。その一つのまとめとして、これらの実験と火山噴火についての小中学生向けの解説書である「世界一おいしい火山の本─チョコやココアで噴火実験」(小峰書店)が2006年12月に出版されている。本書は、理科教育者やマスコミの注目を集めるとともに、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞し、また青少年読書感想文の課題図書として指定されるなど、様々な分野で評価されている。近年ではジオパークにおけるガイド活動や教育活動にキッチン火山実験を応用するために全国のジオパークで出前授業やガイド講習会を開催している。また、火山学会の公開講座でもキッチン火山実験による普及活動は定番となり、林氏も講師を5 回連続で務めている。これらの活動の成果は各種新聞、雑誌などへの紹介も多くなされている。キッチン火山実験による火山学の啓発普及活動は、火山学に対する広い一般の興味を得るためにも、将来の自然科学者・火山学者の候補を増やす意味でも、火山学の発展に不可欠な活動であり、その活動を推進してきた貢献は大きい。
 キッチン火山実験の開発や普及啓発活動は、林信太郎氏の他にも、様々な個人・団体が、時にボランティアとしてその発展を支えてきたものであるが、これら活動全体を評価するためにも、その活動の代表的存在である林信太郎氏が日本火山学会賞に相応しいと判断する。

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