日本火山学会賞 (Volcanological Society of Japan Award)
第12号 篠原宏志
受賞対象
「マグマ揮発性物質の観測・実験・モデリングに基づく火山現象解明への貢献」
授賞理由
篠原氏は、高温の火山ガスに含まれる塩化水素濃度を決める要因を解明するためメルトと流体相間の塩化物分配実験やモデル化を行い、塩化物の存在下では流体相のHCl/NaClは圧力が低いほど上昇することを明らかにするなど、火山ガス研究分野で国内外における火山学への多大なる貢献があった。その他にも、薩摩硫黄島での観測により着想を得た火道内対流モデルの提案等、独創的な研究成果による火山学への寄与にとどまらず、モニタリングの重要性をふまえた火山ガス観測手法の研究開発も行う等、国際的にも評価される火山ガス研究の第一人者であり、国内外を問わず本研究分野を牽引してきた。さらには、日本火山学会会長、IAVCEI執行役員や、JVGR誌等の国際誌の編集者を務め、国際的な火山学コミュニティにおける日本の地位向上に寄与した。
以上の理由から、日本の火山学の発展に対し長年において特段の貢献があった篠原氏を2022年度日本火山学会賞授賞者とする。