日本火山学会論文賞 (Best Paper Award)
第11号 Sri Hidayati・他
対象論文
Sri Hidayati, Kazuhiro Ishihara & Masato Iguchi (2007)
Volcano-tectonic earthquakes during the stage of magma accumulation at the Aira Caldera, southern Kyushu, Japan.
Bull. Volcanol. Soc. Japan,
52 (6), 289-309.
doi: 10.18940/kazan.52.6_289.
授賞理由
本論文は桜島火山及び姶良カルデラ下で1998-2005年の間に発生した火山構造性地震の震源と発震機構,地殻変動等の地球物理学的観測結果と噴火活動の関係をまとめた労作である。桜島では、2つのマグマ溜りの存在が明らかにされているが、その2つの溜り相互の関係は必ずしも明らかにされていなかった。本論文は、周辺で発生するA型地震の震源およびメカニズムをもとに姶良カルデラ中心部のマグマ溜りから桜島直下のマグマ溜りへのマグマの移動というモデルを提案し、そのモデルから期待される地殻変動が実際に検知されていることを示してモデルの正当性を主張している。新しい桜島のマグマ供給系を提示している点で、今後の火山活動の監視・予測や物質科学的研究にも刺激を与えることになるであろう。以上のことから本論文は2009年度日本火山学会論文賞としてふさわしいと判断される。