日本火山学会論文賞 (Best Paper Award)
第14号 小園誠史・他
対象論文
Tomofumi Kozono & Takehiro Koyaguchi (2010)
A simple formula for calculating porosity of magma in volcanic conduits during dome-forming eruptions. structure of a column of magma.
Earth Planet Space,
62 , 483-488.
doi: 10.5047/eps.2010.02.005.
授賞理由
マグマの上昇・噴火過程のモデル化は火山学の主要課題の一つであり、近年の火道流モデルの発達により、その定量的な理解は急速に進展している。本論文は、簡潔に定式化された火道に沿ったガスの放出を含む一次元火道上昇流のモデルを解析的に解くことにより、様々なマグマの供給速度、物性、圧力条件下での溶岩ドーム噴火時の火道内の空隙率の変化を明らかにした成果である。本論文で用いられた解析的なアプローチにより、それぞれのパラメータの空隙率の変化に及ぼす影響の評価が可能となり、その結果、溶岩ドーム噴火時の地表近傍でのマグマ空隙率の急激な低下が、マグマ粘性の増加により生ずる事が明らかにされた。本論文は、噴火過程における様々な物性値の関係性の評価を行い、溶岩ドーム噴火時の火道上昇マグマの挙動を定量的に明らかにした成果であり、2012年度日本火山学会論文賞として相応しいと判断する。