日本火山学会論文賞 (Best Paper Award)
第33号 宗包浩志
対象論文
Hiroshi Munekane (2021) Modeling long-term volcanic deformation at Kusatsu-Shirane and Asama volcanoes, Japan, using the GNSS coordinate time series.
Earth Planets Space,
73, 192,
doi:10.1186/s40623-021-01512-2.
授賞理由
浅間山、草津白根山周辺の国土地理院、気象庁、防災科学技術研究所のGNSSデータについて東北地方太平洋沖地震の影響などテクトニックな地殻変動の影響を注意深く除去した上で、圧力源の形状や地形の影響を考慮した解析モデルを用いて、客観的なモデル推定手法を適用し、長期間にわたる、両火山の地殻変動源の時間変化を精密に推定した。得られた変動源の時間推移と火山活動との関係を精緻に示し、地殻変動以外の研究も参照してその原因についても論じた。さらに、近接した両火山のマグマ溜まりの関連について示唆を与えるとともに、近い将来、浅間山の火山噴火が少なくなる可能性があることを示した。緻密な地殻変動解析によって火山活動の長期予測にもつながる成果を得た優れた論文である。
以上の理由から、火山学に関する独創的で特に優れた本論文を2023年度日本火山学会論文賞とする。