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日本火山学会優秀学術賞 (Distinguished Academic Award)

第02号 奥村 聡

受賞対象

「マグマレオロジーと火山噴火ダイナミクスに関する実験的研究」

授賞理由

 奥村聡氏は、火道内の上昇を再現したマグマ変形実験を行い、マグマ上昇過程の理解とモデル化に必要不可欠なマグマのレオロジーをはじめとする物質科学的性質について重要な研究成果をあげてきた。奥村氏は、独自に開発した実験装置を用いた放射光施設のX線イメージングによって、流動・変形するマグマを直接観察することに世界で初めて成功した(Okumura et al., 2013)。この実験により、高歪速度下においては発泡したマグマ中で変形集中が発生し、見かけ粘性が大きく低下することがわかった。さらに変形集中帯では気泡同士の合体と伸長が進行して脱ガス効率が上昇するが、変形集中帯以外では気泡の合体・伸長が進まず脱ガスが進行しないことを明らかにし、マグマの変形集中が爆発的な火山噴火の発生の支配要因となっていることを示した。
 さらに、一度形成された変形集中帯では、マグマの流動様式が粘性流動から破砕帯を利用した摩擦滑りへと変化するとともに、逆に変形速度が低下したり摩擦熱が発生したりすることにより、破砕帯が再溶結しマグマの粘性流動が再開してマグマ全体の変形・脱ガスが進むというサイクルが存在することを明らかにした.そして,粘性流動と摩擦滑りの遷移条件をマグマ粘性・法線応力・変形速度で定量化することにも成功した(Okumura and Sasaki, 2013; Okumura et al., 2015)。
 以上の研究成果は、火山学に関する優れた学術貢献と考えられる。よって奥村聡氏を日本火山学会優秀学術賞の受賞者とする。

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