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日本火山学会優秀学術賞 (Distinguished Academic Award)

第04号 石塚 治

受賞対象

「初期島弧の形成に関する年代学的・岩石学的研究」

授賞理由

 石塚氏は20年以上にわたり、Ar/Ar年代測定システムの構築と改良に従事し、鉱物単結晶あるいは火山岩石基数ミリグラムを用いて高精度に火山活動の年代決定を可能にした。合わせて火山岩の全岩化学組成・同位体組成分析システムを構築してきた。
 これらの装置群を潜水船・無人探査機・掘削船などによって採集した海底岩石試料に適用し、伊豆・小笠原・マリアナ弧形成最初期のテクトニクス・火成活動史を高精度に復元することに成功した(Ishizuka et al., 2018; 石塚, 2016; Ishizuka et al., 2011,Ishizuka et al., 2011)。伊豆・小笠原・マリアナ弧の海溝陸側斜面には、島弧創成期に形成された地殻断面が露出し、その岩相・地球化学的特徴が、海洋地殻断面とされてきたオフィオライト層序と酷似していることが石塚氏らの調査研究によって判明した(Ishizuka et al., 2014a; Ishizuka et al., 2014b)。これは海洋プレート形成モデルにも一石を投じるものであり、海底ダイナミクス分野におけるこの十年で世界的に最も重要な科学的発見の1つと考えられる。
 石塚氏は陸上火山の詳細な地質調査にも卓越し、その知見を海底火山の調査研究に応用できる能力を有している。また調査船を用いた海底地質調査・地球物理探査も長い経験と知識を有し、日本の海洋地質分野を牽引し、これらの分野の若手研究者の育成にも貢献している。これらは、日本の火山学の発展に大きく寄与しており、日本火山学会優秀学術賞の受賞者とする。

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