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日本火山学会優秀学術賞 (Distinguished Academic Award)

第06号 相澤広記

受賞対象

「電磁気学的観測・実験・計算に基づく火山噴火準備過程及び噴火現象の総合的研究」

授賞理由

 相澤氏は電磁気学的手法による野外観測を主体とした研究を継続的に実施し、国内の多数の火山において数多くの優れた研究成果を挙げてきた。また、数値シミュレーションや試料の物性測定も実施し、それらの結果も加味することによって、火山体浅部における粘土層が火山性流体の挙動に及ぼす影響ついて単一の火山にとどまることなく一般化した。技術の進歩に伴い3次元比抵抗構造が推定されるようになり、より詳細な情報が得られるようになったが、その分野を常に先駆けてきた。その結果として、比抵抗構造の解釈を通じて提示された深部におけるマグマ上昇過程のモデルは広く受け入れられている。近年の成果として特に注目されるのは、観測により得られた比抵抗構造と、震源分布・地殻変動源との統合解釈により、粘土層の水蒸気爆発における役割を明確化したことである。そこで示された噴火メカニズムのモデルは多く引用されている重要な成果となっている。また、維持するためには困難を伴う定点における連続観測に積極的に取り組み、その経時変化から水蒸気噴火の前駆現象のモニタリングに電磁気学的観測が有効であることを示してきた。後進の育成においては、電磁気学的研究に固執することなく、自由かつ大胆な発想・着想のもとで教育をすることで、独創的で優秀な若手研究者を多く輩出している。
 以上のように、相澤氏は、火山噴火発生場および火山噴火現象の解明のための研究を推進し、従来の枠を越えて理解を深め、火山学の発展に極めて大きな寄与をもたらしている。その学術的貢献は優れたものであり、2024年度日本火山学会優秀学術賞に値すると認めた。

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