日本火山学会普及啓発賞 (Distinguished Public Awareness Award)
第03号 白尾元理
受賞対象
「写真集や著作を通じた火山に関する知識の一般普及」
授賞理由
白尾氏は、国内外の火山の地形や地質、噴火の様子を写真に収め、火山学的解説を加えた写真集や書籍を多数出版してきた。
「写真で見る火山の自然史」(1998:町田洋 氏と共著)「火山全景」(2017:下司信夫 氏と共著)「地球全史─写真が語る46億年の奇跡」(2012:清川昌一氏と共著)「日本列島の20億年」(2001年:斎藤靖二・小疇 尚 両氏と共著)を出版した。白尾氏は、我が国の月面探査が本格化する前から「惑星火山学入門(共著)」(1995)を著し、日本の月探査計画「SELENE計画」では、月周回衛星「かぐや」搭載の地形カメラの設計・運用に携わった他、NHKハイビジョンチームの一員として、月の火山地形などの撮影・広報に関わった。これらの著作におけるバランスは、東京大学大学院在学中の伊豆半島達磨火山の地質学的研究や「空中写真による日本の火山地形」(1984年:日本火山学会編)の編集協力などを基礎とし、積極的に第一線の研究者と交流・議論する自己研鑽によって培われた。
白尾氏は40年近くに及ぶキャリアの中で、火山を中心とした地球惑星科学全般の研究・探査・普及に、得意とする写真を通して情熱を注ぎ、学術的に高い水準を維持しつつ、平易な解説で数多くの一般読者を獲得し、我が国の火山学を支える多大な貢献をしてきた。この活動は、現在の我が国において比類無く、日本火山学会普及啓発賞の受賞者とする。