日本火山学会普及啓発賞 (Distinguished Public Awareness Award)
第05号 三松三朗・三松正夫記念館
受賞対象
「有珠山を舞台とした火山防災意識の継承と火山との共生を目指す長期的取り組み」
授賞理由
三松正夫記念館は、昭和新山の形成を戦時下に克明に記録した「ミマツダイヤグラム」などの資料を残し、その後の昭和新山の保全に尽くした三松正夫氏を記念して1988年に開設され、その後有珠火山の自然や噴火活動についての普及啓発活動を継続している私立の火山博物館である。またユネスコ世界ジオパークに認定されている「洞爺湖有珠山ジオパーク」の情報拠点施設の一つとして活動している。これらの活動によりわが国有数の活動的な活火山であり国際的観光地である洞爺湖有珠山地域を訪れる多くの観光客に対して、火山学や関連する地球科学分野の普及啓発活動を実践している。同館の活動は、火山学的な理解の普及啓発にとどまらず、三松正夫氏の昭和新山形成過程の観察記録を我が国の火山研究初期の歴史記録として収集・保存するなど、科学史上も貴重な存在である。
三松三朗氏は、三松正夫記念館の代表として博物館の活動を推進するのみならず、三松正夫氏の遺志を継いで、大学研究者や行政、地元関係者との協力のもと火山活動を正しく理解することによる防災活動の普及啓発を積み重ねてきた。また、全国の火山系博物館に呼びかけ「全国火山系博物館連絡協議会」を設立し活動を開始した。この活動により、全国の火山関係の博物館の連携が飛躍的に強化され、博物館同士での噴火の巡回展の実施や情報・知識の共有化など、全国の火山関係博物館における火山学の普及啓発活動の向上が実現した。
これらの功績は日本火山学会普及啓発賞にふさわしいため、三松正夫記念館および三松三朗氏を同賞の受賞者とする。